幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『チベットの仏教音楽 3 ― 大慈悲タントラ・マハーカラの秘呪』

チベットの仏教音楽 3 ― 大慈悲タントラ・マハーカラの秘呪』
Tibetan Buddhism - Tantras of Gyütö: Mahakala 
Reocrded at Gyütö Tantric College 
Dalhouse, Himachal Pradash 
by David Lewiston 


CD: ワーナーミュージック・ジャパン 
シリーズ: Nonesuch Explorer 50+ 
WPCS-16056 (2013年) 
¥945(税込)(税抜価格¥900)

 


帯文:

「奥深い山々に響き渡るチベット僧侶たちの祈り」


帯裏文:

チベットの仏教音楽がもたらすメディテーションの深みは、喧騒に慣れてしまっている都会の人々にとっては、日常から解き放たれ、深い究極のヒーリング効果を生み出す神秘的な魅力を持ち備えています。このアルバムは、チベットの仏教音楽をいち早く世界に紹介し、世界中で一大センセーションを巻き起こした名盤です。」


チベットの仏教音楽 3 
Tibetan Buddhism - Tantras of Gyütö: Mahakala 

[現地録音] 採録:デイヴィッド・ルイストン

1.ラハモへの祈り 18:30
Part 1 
2.マハーカラへの祈願 19:25
Part 2 

[録音] 1972年 西北インド、ヒマチャル・ブラデッシュ州、ダラハウズィ地区、ギュトォ・タントリック・カレッジ 

Recorded at Gyuto Tantric College, Dalhouse, Himachel Pradesh 
by David Lewiston 
field assistant/Sarah B. Larrabee 
mastering/Robert C. Ludwig (Sterling Sound, Inc.) 
coordination/Teresa Sterne 
cover design/Jo Ann Berg 
art director/Robert L. Heimall 

Cover illustration is a detail from an 18th-century Tibetan tanka poster, courtesy of KUmar Gallery, New Delhi 

Total timing: 37'59" 


「現地レコーディングのため、一部に収録時のノイズ等がありますがご了承ください。」


◆本CD日本語解説より◆

「マハーカラとは、サンスクリットの単語として、大きな(マハー)黒(カラ)、と訳す事ができる。大きな黒、それに神性の天を加えて大黒天と直訳できるが、これは、笑顔で袋を担ぎ、米俵の上に立つ日本の大黒天とは全く違う。顔を怒らせ、六本の手を持ち、左右の足下に、裸形で血ヘドを吐いてのたうつ男と女をそれぞれに踏み潰し、足を踏んばる。左手には、血のしたたるされこうべの皿に、血にまみれた脳塊を盛り、振り上げた右手に血油の粘りつく鎌刃、その下の左手は人の皮または、獣の皮を裂いて作った紐を握る。右手は上から順に、鎌刃、さそり(蠍)または金剛杵、胸元に引く第三の手に、鋭い刃をそのぐるりに研ぎ澄ませた円型の武器(法輪)を持つ。左手のもうひとつは、眼玉の飛び出たされこうべの中身、胸に掛けるのは、人の頭部を首から切り落し、紐でつないだ生乾きのミイラの(またはされこうべの)苦悶する表情をその儘に残したネックレスである。(中略)マハーカラは、決定的危難における守護神であるという。」
「マハーカラの怒りとは何であろうか? ―それは悲しみに裏付けられた怒り、法を直す為の怒り、それと知らずに生まれただ滅するものの罪の怒り、生まれ得ぬ怒り、誤れる認識への、仏の慈悲あふれる悲しみの喚起の怒りである。マハーカラの怒りとは、仏の慈悲の姿そのものに他ならない。」


◆本CDについて◆

1973年にノンサッチ(Nonesuch)からLPとしてリリースされたもののCD化です。

ブックレット(全4頁)の外側はオリジナルLPのジャケット(表・裏)を縮小したもの(ジャケット裏解説はDavid Lewiston。内側にクレジットとモノクロ写真図版6点(LP裏ジャケより)。投込ライナーノーツ(巻四つ折クロス二つ折)にYeshe Gyaltsen(鈴木弥太郎)による日本語解説(「このライナーノーツは、LP発売時の解説からの流用です。」)および譜面&解読用譜号。

日本版LP(輸入盤国内仕様)は1978年リリース。ノンサッチ・レーベルの「チベットの仏教音楽」シリーズは全4枚で、『1』は1973年、『2』『3』は1972年、『4』は1977年録音で、『2』と『3』は同じ場所で収録されています。『2』は楽器が入らない声(チャント)だけの録音、『3』(本作)はチャントに一定の間隔を置いて鳴らされる太鼓とシンバル(演奏の最初と最後には大ホルンが加わります)が被さっています。声の重なり合いが作り出す異空間に身を委ねるなら『2』、覚醒的なパーカッションの轟きを堪能するなら『3』、といったところだと思います。

ちなみに日本以外では本作は未CD化ですが、#1のみ『2』全曲とカップリングで『Tantras of Gyütö: Sangwa Dupa / Mahakala』としてCDリリースされています。

★★★★★

 

Tantras of Gyütö: Mahakala 
Part 1