幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『ロビン・フッドの音楽』 ジョン・サズコット指揮セント・ジョーンズ・カンツォーナ

ロビン・フッドの音楽』 ジョン・サズコット指揮セント・ジョーンズ・カンツォーナ 
A Tapestry of Music for Robin Hood and His King 
ASV古楽コレクション》 第2期Ⅲ 


CD:  クラウンレコード株式会社 
ASV-70 (1989年) 
税込定価¥3,008(税抜価格¥2,920) 

 

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帯文: 

ロビン・フッド伝説を背景とする美しいシャンソンとバラッド、舞曲の集成
民衆の夢が育てた英雄へのオマージュ」 


ロビン・フッドの音楽
A Tapestry of Music for Robin Hood and His King

《序幕: 広場にて》
Ouvert: In the Market Place
1.イングランドエスタンピー(13世紀イギリス舞曲) 2:00
The Englilsh Estampie (anon., 13th centy.)
2.マリオンの歌~牧歌劇「ロバンとマリオンの戯れ」 4:38
(アダン・ド・ラ・アール、1275?年作)
The play of Robin and Marion (la jeu de Robin et de Marion)
- extracts (Adan de la Halle, 1275?)

獅子心王の十字軍遠征》
Richard's Departure for the Crusades
3.ファンファーレ(ジョン・サズコット) 1:16
Fanfare (John Sothcott)
4.囚われ人の歌(獅子心王リチャードⅠ世) 4:30
Ja nuns hons pris (Richard I, 1192)
5.トリスタンの嘆き(14世紀イタリア舞曲) 2:52
Tristan's lament (Lamento di Tristan) (Italian, 14th cenry.)

《間奏曲》
Interlude
6.2声によるエスタンピー(13世紀イングランド舞曲) 2:02
Two-voiced estampie (anon., 13th centy.)
7.泉のほとりで(13世紀のトルヴェールのシャンソン) 3;03
A la fontenella (Fr. Trouvère song, 13th centy.)

獅子心王の戴冠》
Clos: Ransomed and Restored
8.わが未熟の時代にあって(ブロンデル・ド・ネル、1170?年作) 5:56
Quant je plus sui en paour (Blondel del Nesle, ca. 1170)
9.コンドゥクトゥス「再び来たる栄光の時代」(1189年初演) 2:45
Redit aetas aurea (anon English, 1189)

《宮廷に於けるロビン・フッド
Sir Robin at Court
10.月の乙女(17世紀のバラッド) 1:26
The maid in the moon (17th centy.)
11.ああ、ロビン(ウィリアム・コーニッシュ) 2:10
Ah, Robin! (William Cornish)
12.サリーの気まぐれ~乙女の恥じらい(17世紀の舞曲) 2:19
Sally's fancy ~ The maiden's blush (17th ceny.)
13.ボニー、優しいロビン(16世紀ノバラッド) 3:10
Bonny, Sweet Robin (16th centy.)
14.さあロビン、きみの弓を貸しておくれ(トマス・ラヴェンスクロフト) 2;08

《緑の森に帰ったロビン・フッド
My Robin Is to the Greenwood Gone
15.ロビン・フッドと皮革屋(16世紀バラッド) 2:44
Robin Hood and the tanner (16th centy.)
16.牧師様の告別~女神たち(17世紀舞曲) 1:14
The parson's farewell ~ Goddesses (17th centy.)
17.木の実拾いの少女(モリス・ダンス) 2:26
The Nutting Girl (Morris dance)
18.スティンゴ(17世紀バラッド) 2:05
Stingo (17th centy.)
19.羊飼い達の踊り(モリス・ダンス) 0:45
Shepherds hey (Morris dance)
20.わがロビン(17世紀) 0:36
My Robin (17th centy.)
21.緑の森~ダルガソン(17世紀舞曲) 2:25
Greenwood ~ Dargason (17th centy.)


ジョン・サズコット指揮
John Sothcott (Director)
セント・ジョーンズ・カンツォーナ
St. George's Canzona

Music realised and arranged by John Sothcott
Programmed and produced by Frank Grubb

録音: 1976年、8月 ロンドン、コンウェイ・ホール
Recorded at Conway Hall, London, in August, 1976
Producer: John Boyden
Engineer: Tony Faulkner

歌手 Sung by
レイ・アトフィールド Ray Attfield
デレク・ハリソン(カンター・テノール) Derek Harrison (Counter-Tenor)
ローズマリー・ハリソン Rosemary Harrison

演奏者 Played by
打楽器 Percussion: レイ・アットフィールド Ray Attfield
イカーズ、打楽器 Nakers and Percussion: マイク・グレゴリー Mike Gregory
チャイム、バス・ヴィオール、バリトン・ヴォイス Chimes, Bass Viol, Bariton Voice: フランク・グラッブ Frank Grubb
シトール、ギターン、バンドーラ、シターン、リュート Citole, Gittern, Bandora, Cittern, Lute: ジョン・グラッブ John Grubb
テナー・レベック Tenor Rebec: デレク・ハリソン Derek Harrison
リコーダー、クラムホルン Recorder, Crumhorn: ジョン・ローズ John Lawes
リコーダー、クラムホルン、ラウシュプファイフ、パイプ Recorder, Crumhorn, Rauschpfeife, Pipe: マイケル・オクスナム Michael Oxenham
ヴィエール、シトール、リコーダー、クラムホルン、ラウシュプファイフ Vièlle, Citole, Recorder, Crumhorn, Ruschpfeife: ジョン・サズコット John Sothcott
ショーム、クラムホルン、リコーダー Shawm, Crumhorn, Recorder: リーラ・ウォード Leila Ward


◆本CD解説(金澤正剛)より◆

ロビン・フッドが活躍したのは現在のイギリス中部、ノッティンガムシャー州のシャーウッドの森、あるいはヨークシャー州のバーンスデールの森ということになっている。裕福な権力者を襲い、かれらから奪った金銀を貧しい弱者たちに分ち与えるという、イギリス版鼠小僧次郎吉といった男で、それだけに一般庶民の間における人気には根強いものがある。腹心の仲間であるリトル・ジョンと共に彼が狙うのは、私腹を肥やすノッティンガムの悪代官であり、ヨーク大修道院の生臭修道僧たちである。ただし、権力者たちの頂点に立つイギリス国王に対しては首尾一貫して忠誠を誓っている。その国王とは、一説によれば獅子心王の異名で知られるリチャード1世(1189-1199在位)であり、他の説によればエドワード4世(1461-1483在位)ということになっている。」
「16世紀も終わりに近づいて、(中略)エリザベス朝末期ともなると、ロビン・フッドは実は貴族の出で、権力階級の横暴にいや気がさし、緑の森に行って義賊となった、ということに話が進展する。一説によればロビンの忠節な働きに、リチャード1世爵位を与え、宮廷に住まわせたが、ロビンにとってはやはりシャーウッドのほうが住心地が良いと、緑の森に戻って行ったということになっている。」
「ところでこのディスクでは、そのようなロビン・フッド伝説を背景として、ロビンが活躍していたといわれる12~13世紀の世界を当時流行中の舞曲や騎士達の作になるシャンソンで描き、また一方ではロビンの人気が最高潮に達した16~17世紀のバラッド歌曲やモリス・ダンスをたっぷりと聴こう、という意図のもとに組まれた楽しいプログラムである。つまりそのうち前者がこのディスクの前半の主題であり、後者が後半の主題となっている。」


◆本CDについて◆

ブックレット(全22頁)に金澤正剛による解説と歌詞対訳。
#1、3、5、6、10、12、13、16、17、19~21はインスト。
オリジナルLPは英Enigma Recordsよりリリースされ、1978年にビクターから『シャンソンとバラッドでつづるロビンフッドの世界』として日本盤LPが出ています。その後1981年に英ASVからLP再発されています。
ムジカ・レセルヴァータ(Musica Reservata)、アルビオン・ダンス・バンド(The Albion Dance Band)のジョン・サズコット率いるセント・ジョーンズ・カンツォーナによるコンセプト古楽アルバム。「ASV古楽コレクション」には「Tapestry of Music」シリーズのうち『オリヴァー・クロムウェルと円頭党のための音楽』(ASV-72)と『チャールズⅠ世と騎士党のための音楽』(ASV-71)が入っています。

★★★★☆


Tristan's lament

youtu.be


Redit aetas aurea

youtu.be

 

「再び来たる栄光の時代」:

「栄光の時代は戻り来たり、
この世は新しく生れ変わり、
富める者は引き下げられ
貧しい者は引き上げられ
そのすべての基礎を
民びとたちはほめ讃え、
汚れた場所は見あたらず、
災いは葬られて、
争いは消滅した。」