幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

Maddy Prior  『Flesh & Blood』 

Maddy Prior 
『Flesh & Blood』 


CD: Park Records 
PRKCD38 (1997) 

 

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1. Sheath & Knife (Trad. arr. Prior/Holland/Donockley) * 
2. The Rolling English Road (G.K. Chesterton/Prior/Holland/Donockley) 
3. Honest Work (Todd Rundgren
4. Finlandia (Sibelius) 
5. Hind Horn (Trad. arr. Prior/Holland/Donockley) 
6. Bitter Withy (Trad. arr. Prior/Holland/Donockley) 

DRAMATIS PERSONAE 
7. Who Am I? (Prior/Kemp) 
8. Cruel Mother (Prior/Kemp) 
9. Boy On A Horse (Prior/Kemp) * 
10. Jade (Prior/Kemp) 
11. Brother Lawrence (Prior/Kemp) * 
12. The Laugh And The Kiss (Prior/Kemp) 
13. The Point (Prior/Kemp) 

14. Heart Of Stone (Kemp) * 


Maddy Prior: vocals 
Nick Holland: keyboards, backing vocals 
Troy Donockley: uilleann pipes, electric & acoustic guitars, low whistle, tin whistle, cittern, backing vocals 
Terl Briant: drums & percussion 
Andy Crowdy: acoustic bass* 

Produced by Nick Holland & Troy Donockley 
Engineered by Steve Watkins 
Recorded at Warehouse Studios Oxford 
Mastered at County Masters by Denis Blackham 
Maddy photo by David Herrod 
Boy photos by Jay Alice Preece 
Sleeve design based on Raku fired pot by Terri Donockley 
Graphics & artwork by Roger & Juanita at Riverline Reprographics, Oxford 
Coordination and executive producer: John Dagnell 


◆本CDについて◆ 

ティーライ・スパンのマディ・プライアのソロ第6作(リック・ケンプと連名の『Happy Families』を入れると第7作)。1997年リリース。

キーボード中心の音作りで、イリアン・パイプ奏者のトロイ・ドノックリー(The Enid、Iona、Clannad等にゲスト参加、他にギター、シターン、ホイッスルを演奏しています)をフィーチャーしていて、ケルトニューエイジ色が濃いです。

#1は王女とその兄のインセスト(近親相姦)バラッドで、マーダー(殺人)バラッドでもあり、エリザベス朝の劇作家ジョン・フォードの『'Tis Pity She's a Whore』を連想させます。
「自分の嗜好やスタイルがいかに1960年代のフォーク・リヴァイヴァルに基づいたものであるかをますます自覚するようになった。」(楽曲コメントより)。
#2は子どもの頃に父親が読んでくれたG・K・チェスタトンの詩に曲をつけたもの。
#3はトッド・ラングレンの曲で、アカペラで歌われています。
#4はシベリウスの「フィンランディア」より。
#5はF・J・チャイルドによると14世紀以前のロマンスに起原をもつバラッドで、王女と恋に落ちたハインド・ホーンが航海に出て七年後に戻ってくると王女の結婚式の当日で、乞食になりすました彼が王女から貰った指輪を見せると王女は乞食がハインド・ホーンであることを知り、二人でその場から駆け落ちするという話です。
#6はいたずら小僧(トリックスター)としてのイエス(キリスト)の幼年時代を歌った民間伝承バラッドで、A・L・ロイドによる歌唱がCD『英国のバラッド』(English & Scottish Folk Ballads)に収録されています。 
#7-14はマディ&リック・ケンプ作曲のソング・サイクルで、さまざまに違った人間が共存することによって世界は成り立っている(「dramatis personae」は「劇の登場人物」)という、ニューエイジ思想に基づいた啓発ソングです(楽曲コメントではチャクラや禅について言及されています)。全世界は舞台であり(All the world's a stage)、「みんなちがって、みんないい」、そういうことだと思います。

★★★★★ 


Maddy Prior Flesh and Blood Album Sampler