『英国のバラッド』
A. L. ロイド/イワン・マッコール/アン・ブリッグス/ルイス・キレン/マイク・ウォーターソン/ノーマン・ケネディ
English & Scottish Folk Ballads
sung by
A.L.Lloyd
Ewan MacColl
Anne Briggs
Louis Killen
Mike Waterson
Norman Kennedy
CD: Topic Records
TSCD480 (1996)
Manufactured in the EEC
輸入・配給元: Vivid Sound Corporation
VSCD-2722 (I) (1996年)
¥2,500 税抜
直輸入盤・解説付
ENGLISH & SCOTTISH FOLK BALLADS
A.L.Lloyd, Ewan MacColl, Anne Briggs, Louis Killen, Mike Waterson & Norman Kennedy
In 1964 Topic Records released the original version of this album.
This collection expands that album with additional material from Anne Briggs, Louis Killen, Mike Waterson and Norman Kennedy.
The folk ballad is a folk tale put into verse and set to music.
Among British ballads are some of the oldest as well as greatest folk songs we have. - A.L.LLOYD
1. HENRY MARTIN 3:18
A.L.Lloyd (with Alf Edwards, concertina)
2. THE BARON OF BRACKLEY 5:04
Ewan MacColl
3. REYNARDINE 2:55
Anne Briggs
4. THE BRAMBLE BRIAR 5:01
Louis Killen
5. JACK ORION 3:54
A.L.Lloyd (with Dave Swarbrick, fiddle)
6. THE CRUEL SHIP'S CARPENTER 4:38
Mike Waterson (trad. arr. M. Waterson)
7. THE CRUEL MOTHER 6:39
A.L.Lloyd (with Alf Edwards, concertina)
8. LORD RANDAL 3:31
Ewan MacColl
9. THE BITTER WITHY 2:42
A.L.Lloyd (with Alf Edwards, concertina)
10. THE FORESTER 3:54
Norman Kennedy
11. WILLIE O WINSBURY 5:27
Anne Briggs (acc. Anne Briggs, Johnny Moynihan, bouzoukis)
12. THE 'SWEET KUMADIE' 4:21
Ewan MacColl (with Alf Edwards, concertina)
13. THE DEMON LOVER 3:52
A.L.Lloyd
14. YOUNG EDWIN IN THE LOWLANDS 3:09
Louis Killen
15. HUGHIE THE GRAEME 4:39
Ewan MacColl (with Alf Edwards, concertina)
16. DRUMDELGIE 2:11
Norman Kennedy
17. THE PRICKLY BUSH 3:27
A.L.Lloyd (with Alf Edwards, concertina)
18. THE BEGGAR MAN 6:07
Ewan MacColl
Produced for CD by Tony Engle
Photograph: Collections / Robin Williams
Design by The Art Surgery, Edinburgh
Notes by A.L.Lloyd
◆本CD解説(白石和良)より◆
「本CDは64年に同タイトルで発表されたイワン・マッコールとA. L. ロイドによる不滅の名作LPの全10曲を核に、他の様々なシンガー達のLPから8曲がプラスされている。」
「英文ブックレットで明記されていない本盤の出典について記しておきたい。ついでながら各曲の英文解説はそれぞれの出典盤から転載されたものだが、その筆者はブックレット記載のロイドだけではない。まず1、2、7、8、9、12、13、15、17、18の10曲が先に記した通りマッコールとロイドによる "ENGLISH AND SCOTTISH FOLK BALLADS" (TOPIC 12T103)からの曲で録音はビル・リーダー、解説はロイド。(中略)3、11はアン・ブリッグスのファーストLP "ANNE BRIGGS (12T207、’71)からでプロデュースと解説はロイド。4、14はルイス・キレンの "BALLADS & BROADSIDES" (12T126、’65)からで、録音はリーダー、解説はアンジェラ・カーターによる。5はロイドのソロLP "FIRST PERSON" (12T118、’66)からで解説は勿論彼自身。6はマイク・ウォーターソンの唯一のソロLP "MIKE WATERSON" (12T332、’77)からでプロデュースはイングル、解説はロイド。10、16はノーマン・ケネディの唯一のソロLP "SCOTS SONGS AND BALLADS" (12T178)からのものだが、実はこれは米国FOLK LEGACY盤(FSS-34、’68)が元々の原盤で録音(66年)はサンディー・バートン、解説はピーター・ホールによる。」
「〔曲目について〕
1、18世紀中頃の事、ポルトガル船に父親の商船を略奪されたアンドリュー・バートンは、スコットランド王国から公認の許可を貰って復讐を開始するが、彼は本来の敵であるポルトガルに止まらず各国の船を無差別に襲う海賊ヘンリー・マーチンと化し、そしてついには国王ヘンリー八世によって討ち取られる。これはフランシス・ジェームス・チャイルド(1825-96)による集大成本 "ENGLISH AND SCOTTISH POPULAR BALLADS" 収録の所謂チャイルド・バラッドの250番に当たる歌で、ドノヴァン等を含む多数の歌手が録音している。」
「2、17世紀半ばのスコットランドでの二つの家系の血で血を洗う争いを歌ったチャイルド・バラッドNO. 203。近年では再編ペンタングルによる録音もある。」
「3、若い女性を魅了して自分の城に連れ去る狐の魔物。(中略)バート・ヤンシュやフェアポート、ジョン・レンボーン・グループなど様々なスタイルで録音されているが、ここでの歌は英国フォーク・リバイバルのヒロイン、アン・ブリッグス。」
「4、妹と召使の恋を知った兄達が召使を殺害する。"BRUTON TOWN" の名でペンタングルが録音した事でも広く知られる代表的な悲劇のバラッドの一つだが、ボッカチオの『デカメロン』の中の物語との類似性も指摘されている様にその起源は計り知れない。」
「5、神業の腕前のフィドル弾きジャック・オライオン。召使のトムはジャックの名を語ってお姫様と一夜を共にするが、翌朝嘘がばれてジャックに吊るされる。ロイド自身が退屈な?チャイルドNO. 67の "GLASGERION" をパワフルな歌に改作したというバラッド。ペンタングルの演唱が有名だが彼らは更に結末を作り変えている。
6、身篭った恋人を誘い出して殺害した営繕係の水夫。犯行がばれないように船長を促して出航しようとする。しかし翌朝、船内で殺人が行われたと船長は言う。そして犯行を否認する彼の前には殺害した恋人が現われる。」
「7、産み落とした嬰児を密かに殺して森に捨てた母親。彼女の目前に殺した子供が現れて地獄の刑罰を告げる。チャイルド・バラッドNO. 20として余りに有名なスコッチ系の歌でフランキー・アームストロングの名唱を始め録音は数え切れない。」
「8、帰宅した息子と母親の対話だが、ラストで息子は恋人に毒を盛られて死にかけている事が明かされる。チャイルドNO. 12の高名なスコッチ系のバラッド。
9、身分の差を理由に、裕福な子供達から一緒にボール遊びをする事を断られた幼いイエスは、陽の光で橋を作って水の上を渡り、真似をしたその子供達を溺れさせてしまう。子供達の母親の訴えでマリアはイエスの尻を柳で打つが、イエスは柳に逆恨みみして柳をしなった木に変えてしまう。良く知られた "CHERRY TREE CAROL" と同様に「裏の」聖人伝を物語るフォーク・キャロルの一つ。
10、田舎娘を誘惑した騎士は、名前を尋ねられて身分を偽るためにラテン語名で答えるのだが、娘には分かってしまう。チャイルド・バラッドNO. 110の "THE KNIGHT AND SHEPHERD' DAUGHTER" というイングランド起源のバラッドのスコットランド版。」
「11、姫を誘惑された老王は激怒して、その相手「ウィンズベリーのウィリー」を捕らえるが彼の余りの美男ぶりに心を変え、姫と領地を与える。しかし彼は老王の領地などには目もくれず、姫を馬に乗せて去ってゆく。ジャッキー・マクシー(ペンタングル)の名唱でも広く知られているこの曲は、チャイルド・バラッドのNO. 100。」
「12、南北米遠征を試みた16世紀英国の軍人探検家、サー・ウォルター・ローリーと彼の船SWEET KUMADIE号の物語(但しこの内容は全く架空の話だが)。」
「13、お金目当てで、恋人の船乗りを裏切って船大工と結ばれた娘。船乗りは、彼女を船と共に海の底に沈めてしまう。チャイルド・バラッドNO. 243。
14、ヒロインは恋人の船乗りについての不吉な夢を見る。何と彼は彼女の両親によって殺害されていたのだった。
15、カーライルの主教の馬を盗んだ罪で処刑されるヒュージー・ザ・グレーミー。オーストラリアのネッド・ケリーなどバラッドではヒーローとして歌われる盗賊は珍しくないが、この歌の人物は実在か否か不明らしい。
16、スコットランドの季節農場労働者の小屋をボシーという。これは彼らに歌われた所謂ボシー・バラッドの一つでウィットに富んだ詞で激務の一日を描写している。
17、捕らえられた男が首吊りを待ってくれと叫ぶ。父親が金を持って来てくれるから、と。しかし父親は処刑を見に来たのだった!(中略)しかし最後に恋人だけは金を持って来て、主人公は救われる。
18、一夜の宿を求めて、とある家の戸口に立った物乞いがその家の娘を誘惑して連れて行ってしまう。チャイルド・バラッドNO. 279の "THE GABERLUNYIE-MAN" のバリエーションの一つ。」
◆本CDについて◆
ブックレット(全12頁)にA.L.Lloydによるプログラムノートと楽曲解説(英文)。投げ込みに白石和良による解説、歌詞(英語/#1,2,7,8,9,12,13,15,17,18のみ)。
★★★★★
The Bramble Briar
Jack Orion