幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『ハインリヒ・イザーク: インスブルックよ、さらば/シャンソン、フロットラ、リート集』 ロンドン中世アンサンブル

『ハインリヒ・イザークインスブルックよ、さらば/シャンソン、フロットラ、リート集』
Heinrich Isaac
Chanson, Frottole, Lieder
ロンドン中世アンサンブル
ピーター&ティモシー・デイヴィス
Medieval Ensemble of London
Peter & Timothy Davies


CD: ポリグラム株式会社 
オワゾリール NEW ベスト 50 
POCL-5205 (1996年) 
¥1,800(税込)(税抜価格¥1,748) 

 

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帯文: 

ルネサンスきっての名曲「インスブルックよ、さらば」を含むイザークの名曲集。」


帯裏文: 

「●15世紀頃、つまり盛期ルネサンス時代に一大勢力を成したのが、いわゆるフランドル楽派と呼ばれる音楽家でした。デュファイに始まるこの楽派の、黄金時代を築いた代表的な作曲家がこのCDに登場するイザークと言えましょう。彼は宗教音楽にその本領を発揮しましたが、ここで聴けるような美しい世俗音楽――シャンソン、リート、フロットラ等も数多く残しています。中でも「インスブルックよ、さらば」は、オリンピックのテーマ曲にも使われる等、高い人気を誇っています。
●中世、ルネサンス音楽を再現することで結成されたロンドン中世アンサンブルの見事なアンサンブルで聴けます。」


ハインリヒ・イザーク 
HEINRICH ISAAC (c. 1450-1517)
インスブルックよ、さらば 
シャンソン、フロットラ、リート集 
CHANSONS, FROTTOLE & LIEDER

1.お前、身持ちが Fille vous avez mal gardé 1:46 
P. クウェラ(S)/R. カヴィ・クランプ(T)/P. エリオット(T)/P. ヒリアー(Br)
2.ある日、朝方 Par ung jour de matinee 0:57 
R. クーパー(レベック)/G. ノウルズ(ダルシマー)/P. デイヴィス(ハープ)/T. デイヴィス(リュート) 
3.わが胸のうちの悩みを Et quila dira, dira 2:05 
M. フィルポット(A)/R. カヴィ・クランプ(T)/P. エリオット(T)/P. ヒリアー(Br) 
4.ああ、私の心は Helas que devra mon cuer 2:15 
C. カイト(オルガン) 
5.嫉妬を最初に見つけた者は Maudit soit 1:57 
T. ペンローズ(Ct)/P. エリオット(T)/T. デイヴィス(リュート)/P. デイヴィス(フルート) 
6.私は恋におち J'ay pris amours 2:02 
G. ノウルズ(ダルシマー)/T. デイヴィス(リュート)/P. デイヴィス(ハープ) 
7.私は安楽には暮せない Jene me puis vivre 8:31 
P. クウェラ(S)/R. カヴィ・クランプ(T)/P. エリオット(T)/P. ヒリアー(Br) 
8.従僕 Le serviteur 1:37 
P. デイヴィス(フルート)/R. クーパー(フィドル)/W. ハント(フィドル) 
9.父さん私に夫をくれた Mon pere m'a donné mari 1:14 
M. フィルポット(A)/P. ヒリアー(Br)/T. デイヴィス(リュート)/P. デイヴィス(フルート) 
10.たっぷり飲んで Et je boi d'autant 1:05 
R. クーパー(レベック)/G. ノウルズ(ダルシマー)/P. デイヴィス(ハープ)/T. デイヴィス(リュート) 
11.奥様、あなたの家の中には Donna di dentro 1:32 
P. クウェラ(S)/R. カヴィ・クランプ(T)/P. エリオット(T)/P. ヒリアー(Br) 
12.手に負えない運命の女神よ Fortuna desperata 2:35 
C. カイト(リーガル) 
13.これほど美しく立派な女神たちは Ne più bella 3:11 
M. フィルポット(A)/R. カヴィ・クランプ(T)/P. エリオット(T)/P. ヒリアー(Br) 
14.今や五月 Hora e di maggio 1:26 
P. クウェラ(S)/M. フィルポット(A)/A. キング(T)/P. ヒリアー(Br) 
15.半鐘 La martinella 1:56 
P. デイヴィス(フルート)/R. クーパー(フィドル)/W. ハント(フィドル) 
16.私にはしあわせな日など Un di lieto giamai 4:18 
T. ペンローズ(Ct)/P. エリオット(T)/T. デイヴィス(リュート) 
17.ラ・モルラ La morra 1:32 
C. カイト(オルガン) 
18.お百姓に娘がいた Es het ein Baur 1:53 
P. クウェラ(S)/M. フィルポット(A)/A. キング(T)/P. ヒリアー(Br) 
19.おお、情熱に燃えるヴィーナス O Venus bant 1:05 
P. デイヴィス(フルート)/R. クーパー(フィドル)/W. ハント(フィドル) 
20.インスブルックよ、さらば Insbruck, ich muss dich lassen 3:00 
M. フィルポット(A)/R. カヴィ・クランプ(T)/P. エリオット(T)/P. ヒリアー(Br) 
21.楽しいふし Ain frewlich wesen 2:02 
R. クーパー(レベック)/G. ノウルズ(ダルシマー)/T. デイヴィス(リュート)/P. デイヴィス(ハープ) 
22.これはほんとに驚いた Mich wundert hart 5:49 
P. クウェラ(S)/R. カヴィ・クランプ(T)/P. エリオット(T)/P. ヒリアー(Br) 
23.山と深い谷の間に Zwischen berg und tiefem tal 1:46 
C. カイト(リーガル) 
24.朝早く起きてみると Wann ich des morgens frü auffstehe 0:57 
P. エリオット(T)/P. デイヴィス(フルート)/T. デイヴィス(リュート)/R. クーパー(フィドル) 
25.犬 Der Hund 4:14 
P. デイヴィス(リコーダー)/R. クーパー(フィドル)/W. ハント(フィドル) 
26.こぼし屋、けんか屋、すすりあげ Greiner, zancker, schnöpffitzer 1:10 


ロンドン中世アンサンブル 
MEDIEVAL ENSEMBLE OF LONDON
ディレクター: ピーター・デイヴィス&ティモシー・デイヴィス 
directed by Peter Davies & Timothy Davies

パトリツィア・クウェラ(ソプラノ)
Patrizia Kwella (Soprano)
マーガレット・フィルポット(コントラルト)
Margaret Philpot (Contralto)
ティモシー・ペンローズ(カウンターテノール) 
Timothy Penrose (Counter tenor)
ロジャーズ・カヴィ・クランプ(テノール) 
Rogers Covey-Crump (Tenor)
ポール・エリオット(テノール) 
Paul Elliott (Tenor)
アンドリュー・キング(テノール) 
Andrew King (Tenor)
ポール・ヒリアー(バリトン) 
Paul Hiller (Baritone)

ロバート・クーパー(フィドル、レベック) 
Robert Cooper (Fiddle & Rebec)
ウィリアム・ハント(フィドル) 
William Hunt (Fiddle)
グレゴリー・ノウルズ(ダルシマー) 
Gregory Knowles (Dulcimer)
クリストファー・カイト(オルガン、リーガル) 
Christopher Kite (Organ & Regal)
ピーター・デイヴィス(フルート、ハープ、リコーダー) 
Peter Davies (Flute, Harp & Recorder)
ティモシー・デイヴィス(リュート) 
Timothy Davies (Lute)

Recording
Producer: Peter Wadland
Engineer: John Pellowe
Location: Henry Wood Hall, London
Date: January 1983


◆本CD解説(礒山雅)より◆ 

「ハインリヒ(ヘンリクス)・イザークは、フランドル楽派(ネーデルラント楽派)の最盛期、つまりルネサンス音楽たけなわの時代に活躍した作曲家である。音楽史家は彼を、その幅広く多彩な創作活動において、ジョスカン・デ・プレと並び立つ大家であるという。生まれは1450年頃のフランドル。生いたちについては、はっきりとしたことは判らないが、おそらくフランドルで歌唱と対位法の技術を身につけたものと思われ、1484年にインスブルックを経由して南下、翌85年からフィレンツェメディチ家に仕えた。(中略)当時のフィレンツェといえば、華麗公ロレンツォ・デ・メディチの庇護の下、ルネサンス芸術が今を盛りと開花していたところである。(中略)ロレンツォはみずから筆をとる詩人でもあった。ロレンツォとイザークの共作の模様は、このディスクでも二つの作品によってしのぶことができる。」
イザークの作品をジャンル別に見ると、まず宗教声楽曲に大作が多くある。」
「約100曲に及ぶ世俗曲の概要は、このディスクを通じて、ほぼ摑むことができるだろう。それらはタイトルにある通り、シャンソン、フロットラ、リート(ドイツ歌曲)の三つのジャンルに大別することができる。シャンソンはフランス語の歌詞を用い、フランドル楽派特有の洗練された対位法技巧を用いたもの。(中略)フロットラは対照的にホモフォニックな和音様式による単純明快な作風のものである。歌詞はイタリア語による。ドイツ歌曲(中略)は、ドイツ語の定旋律をテノールに置き、そこに時に対位法的、時に和声的な、多声の装いをまとわせる。」


◆本CDについて◆ 

ブックレット(全20頁)に解説(礒山雅)、「アーティスト紹介」(今谷和徳)、「歌詞対訳」(今谷和徳/礒山雅・訳)、写真図版(モノクロ)1点。

1984年にLPとしてリリースされたもののCD化(の廉価盤)です。

★★★★☆


Jene me puis vivre

youtu.be

 

「私は安楽には暮せない、
気に入ったことにも出会わない。
悩みはこの世で最悪だ、
それは日増しに悪くなる。
気に入ってくれる人など知りはしない。

腹を立てたり、鎮めたり、
話をしながらふと口つぐむ。
嘆いて、笑って、溜息をつく。」

「愛すべきものを憎んだり、
気に入るはずのない人が好きになる。
悲痛に、不愉快に、怒りながら死にかけて、
気分のひどさの半分も 
見せたりいったりする勇気はない。」

 

 

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