幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『伽倻琴・散調~韓国古典音楽の粋』

『伽倻琴・散調~韓国古典音楽の粋』
Korean Kayagum Music: Sanjo
ワールド・ミュージック・ライブラリー 44


CD: キングレコード株式会社
KICC 5144 (1991年)
税込定価2,500円(税抜価格2,427円)

 

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1.民俗風流(ミンソクプンニュウ) Minsok P'unru 8:42 
2.伽倻琴散調(カヤグムサンジョウ) Kayagum Sanjo 52:55 

竹坡(金蘭草): 伽倻琴
Chukp'a: Kayagum
金東俊: 杖鼓 
Kim, Tong Jun: Changgo

Recorded Sept. 28, 1985 at the No. 1 Studio, KING RECORDS, Tokyo, Japan
Supervisor: Takeo Kusano
Producer: Katsuhiko Nishida
Engineer: Hatsuro Takanami
監修: 草野妙子 

Cover Design: 美登英利 
Cover Photo: 鳳山仮面劇の面(富浦隆則 撮影・国立民族学博物館 蔵) 


◆本CD解説(草野妙子)より◆ 

「伽倻琴(カヤグム)は、韓国伝統音楽の宮廷音楽から民俗的な音楽に至る広い分野で用いられており、なんと言っても、弦楽器の花形である。」
「このディスクで演奏されている伽倻琴は、民間で用いられている形で、特に散調伽倻琴と呼ばれる。」
「韓国の伝統音楽は、チャンダン(長短)と呼ぶリズムの型の明確なものが大変多く、そのためアジアの音楽の中では、とりわけ個性的で、独特の躍動感を感じさせる。(中略)そのような音楽的な特徴からであろうか、韓国には、古くから、多種多様の打楽器がある。なかでも杖鼓は最もよく使用され、宮廷音楽や室内楽、そして農楽やシャーマニズムの音楽など、実に広範囲で使用されている。」

「1)民俗風流(ミンソクプンニュウ) 
 風流という言葉は、音楽の分野では、主に2つの意味をもっている。第一は、竹風流や絲風流というように、室内楽的な管楽合奏や弦楽合奏、あるいは管弦合奏など、小規模の音楽を指し、第二は、自然の景色や自己の境地を、詩や歌に託して節をつけて詠ずることである。」
「金竹坡女史の民俗風流と呼ぶ楽曲も、そのような伝統を受け継いで作曲され、伽倻琴独奏用に編曲された音楽である。本来は15楽章からなっているが、ここでは、後半の6楽章から抜粋してまとめられている。」
「2)伽倻琴散調(カヤグムサンジョウ) 
 散調とは、独奏楽器のための一種の楽曲形式である。その旋律は、南道(全羅道地方)で培われたシナウィ系の民俗音楽を源泉としており、一曲は、いくつかの楽章から成り立っている。それらの楽章は、それぞれ異なるチャンダン(リズム型)に基づいて構成され、その上、多分に即興演奏が加えられることも一つの特色である。」
「伽倻琴散調は、それほど古い形式ではない。19世紀末の伽倻琴の名人金昌祖(キムチャンジョ 1865~1918)が始めたと言われているが、つづいて多くの名人たちが、それぞれ独自の散調を創作したので、種々のものが今日まで伝承されている。しかし、散調は、師から教えられた楽曲をそのまま演奏し続けることは稀である。名人への道は、師匠の散調を基礎としながらも、受け継いだ音楽を完全に消化し、さらに、新しい楽句と入れ替えたり、加えたりして、自作自演を行うことである。(中略)さらに、その演奏には、深い精神的な音楽性が求められている。
 ところで、名人たちの作品が、散調として一つのジャンルを作っているのは、使用されるチャンダンが決まっているからである。チンヤンジョウ、チュンモリ、チャジンモリの3つのチャンダンを基本の楽章としているのである。そして、これらの3種のチャンダンの間に、あるいは、後に、いくつかの違ったチャンダンの楽章を加えて創作される。しかも、楽曲全体は次第に緩から急に移る。したがって、チャンダンというリズム型の制約のなかで、個性を存分に発揮することができるのが、散調なのである。」


◆本CDについて◆

ブックレットに日本語および英語解説、写真図版(モノクロ)1点、「ワールド・ミュージック・ライブラリー」CDリスト、地図2点。
本作は1988年に『彩(いろどり)・散調 韓国の伽倻琴』としてリリースされ、本シリーズに編入後、1999年に『韓国の伽倻琴―魂の散調』、2008年に『韓国の伽倻琴―金竹坡』として再リリースされています。

★★★★★ 


Kayagum Sanjo

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