『砂漠のアラベスク~アラビアの音楽』

『砂漠のアラベスク~アラビアの音楽』 
Music of Iraq 
ワールド・ミュージック・ライブラリー 4


CD: キングレコード株式会社 
KICC 5104 (1991年) 
税込定価¥2,500(税抜価格¥2,427) 

 

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帯文:

「器楽に声楽、娯楽と献身、様々な民族が入り乱れた歴史。
アラブ世界の多様性を凝縮したディスク。」


帯裏文: 

「繊細さの中に確固としたリズム。絨毯のように緻密な芸術音楽から強烈な宗教儀礼ジクル、砂漠の民ベドウィンのアターヴァ。器楽に声楽、娯楽と献身、様々な民族が入り乱れた歴史。アラブ世界の多様性を凝縮したディスク。」


1.カーヌーン・タクシーム Qanun Taqsim 4:53 
カーヌーン:ハサン・アル・シャカルチ 
Quanun: Hassan al-Shakarchi 

2.パスタ Pasta 3:10 
歌:シタ/ウード伴奏:アリ・アリ・イマーム 
Sung by Sita / Oud: Ali Ali Imam 

3.イラキ・マカーム Iraqi Maqam 4:49 
歌:サレ・アブドル・ガーフォル 
Sung by Saleh Abdul Gafor 

ベドウィン民謡》 Folksongs of Bedouins 
4.アターバ Ataab'a 1:53 
5.モハメダウィ Mohammedawi 1:46 
歌:イブラヒーム・アブドゥラー 
Sung by Ibrahim R. Abdullah 
6.ナッカーラ独奏 Naqqare Solo 2:26 
7.マトブッチ独奏 Matbudj Solo 2:17 
ナッカーラ、マトブッチ:アブドル・カリーム・ハルブッド 
Naqqare, Matbudj: Abdel Karim Halbud 
8.ズルナ、タブル、ナッカーレ Zurna-Tabl-Naqqare 2:17 
イラク情報省伝統音楽グループ 
Iraqi Traditional Group, Ministry of Information
9.マトブッチと歌「スウェヘリ」 A Song with Matbudj "Sweheri" 3:10 
歌:イブラヒーム・アブドゥラー 
Sung by Ibrahim R. Abdullah 
マトブッチ:アブドル・カリーム・ハルブッド 
Matbudj: Abdel Karim Halbud 

10.ドラム・アンサンブル(タブル、ナッカーラ、ハッシュシャビ、レグ、タブラ) Drum Ensemble (Tabi, Naggare, Hashshabi, Rag, Tabla) 5:52 
イラク情報省伝統音楽グループ 
Iraqi Traditional Group, Ministry of Information

11.スーフィのジクル(イスラム神秘主義の儀式) Zikr of Sufi 24:40 
カリフ教会での実況録音 
at Masjid al-Khalifa

現地録音(1977年9月=1,4,5,6,7,9/1977年4月=2,3,8,10/1975年11月=11)
監修: 小泉文夫 

Cover Design: 美登英利 
Cover Photo: イラク・イルムードの象牙飾板(出光美術館提供) 


◆本CD「楽曲解説」(小泉文夫)より◆ 

イラクの音楽全体のジャンルとしては、イスラム教の宗教音楽、アラブ諸国と共通する芸術音楽、地方の特徴が現われる民俗音楽、それにイラク独特の都会的な流行歌がある。」
「[1][2][3]は芸術音楽で、他のアラブ諸国と共通する要素が強い。[1]はカーヌーンの独奏である。(中略)カーヌーンは、台形の箱形をしたチター属の楽器で、3本ずつ同じ音に調律した弦を左右に渡し、その音域は約3オクターブである。」
「[2]は、イラクの古典的な声楽の形式、パスタ Pasta である。パスタという語は、もともと“作品”を意味するペルシャ語から来ている。アラブの中でも特にバグダッドは、早くからイラン系の文化を受け入れており、イラクのアラビア音楽には、このようにペルシャ語の理論用語が数多く現われる。」
「[3]はイラキ・マカームという都会のはやり歌である。一般に〈マカーム〉という言葉は、旋法とか旋律型とかに訳されるが、ここでいうマカームは都会風の小唄の意を持つ。これは、アラビアの中心的な都市、バグダッドで発達したもので、(中略)有名なポピュラー歌手を中心にして伴奏者が加わり、4、5人で一団をなす。(中略)チャイハナ(茶屋)など人々の大勢集まる所で歌われ、民衆に絶大な人気がある。しかし、民俗音楽として庶民が歌う、というようなことはなく、専門家が職業とするもので、中には優れた芸術家も現われている。つまり、イラキ・マカームは芸術音楽と民俗音楽との中間に位置するものと言えよう。」
「[4][5]は民俗音楽を紹介しよう。アラビアではどこの国でも遊牧民であるベドウィンがいて、独自の文化を持っており、民謡も彼らの生活を反映した独特のものがある。」
「[6]は、ナッカーラという太鼓の演奏である。」
「[7]は、民衆の間で最も広く用いられている管楽器、マトブッチの独奏である。マトブッチは、一本の葦の上端にさらに細い別の葦を入れ、口に当たる所に斜めに切れ目を入れた楽器で、その切れ目がクラリネットの役割を果たしている。これが2本束ねてあるので、最も原始的な双管クラリネットと言えよう。」
「[8]のズルナ=タブル=ナッカーレは管楽器のズルナ、打楽器のタブル及びナッカーレの合奏である。ズルナというのはオーボー属の管楽器で、円錐形の木の胴体に細い葦の藁を合わせた2枚舌がついている。これはスールナーイというアラビア語から来ており、印度ではシャーナイ Shahnai と言われ、中国や朝鮮でも用いられ、日本ではチャルメラとして存在している。
 タブルというのは各種の打楽器の総称であるが、ここで用いられているのは、素焼きの胴体の片面に皮を張ったもので、イランではドンバック Dombak ないしザルブ Zarb、アラブの他の国ではダラブッカ Darabuka と言われている。」
「[9]は農民の楽器マトブッチの伴奏によるベドウィンの歌で、(中略)むしろマトブッチが歌をリードしていると言える。
 [10]は、イラク情報省伝統音楽グループによるドラム・アンサンブルである。これは、このグループのウード奏者であるムニール・バシール Munir Bashir 氏が、民俗音楽の打楽器を集めて近年新しく作った形式で、古くからあったものではない。」
「[11]には宗教音楽として、イスラム教の神秘主義の一派、スーフィー Sufi の儀式を収めた。」
「普通イスラム教では、音楽や踊りは禁止されているが、スーフィーには、音楽や踊りから生まれる神秘的な体験によって神に近づくという考え方があり、教会の内外に集まってジクル Zikr と呼ばれる行を営む。トルコのメブラーナ Mevlana という教団では、ジクルの際に笛や太鼓などの楽器に歌を加えて、神秘的な雰囲気を盛り上げて行き、その中でデルヴィッシュ Dervish と呼ばれる僧侶たちが、数名手を左右に広げて旋回運動を行なう。しかし、このイラクの教会では、そうした楽器は用いず、僧侶が横に並んで、まず静かな序の歌を歌い始め、それが次第に興奮してきて、リズムのはっきりした力強い歌に変わって行く。時には独唱を交えながら、こうした合唱によって、礼拝が進められて行くのだが、そのうちに1人ないし2人の僧侶が、真ん中でぐるぐると旋回運動をし始めるのである。」
「このディスクは、旋回している僧侶の足元にマイクロフォンを置いて録音したものであり、神秘的な不思議な雰囲気の中に、息づまるような迫力を感じとることができる。」


◆本CDについて◆ 

ブックレットに「楽曲解説」(小泉文夫)、英文解説、写真図版(モノクロ)3点、「ワールド・ミュージック・ライブラリー」CDリスト。

1978年にLP『イラクの音楽』(世界の民族音楽シリーズ/GXC-5013)としてリリースされ、1987年に『砂漠のアラベスク~アラビアの音楽』(エスニック・サウンド・コレクション 8/K30Y-5108)としてCD化、1991年に本CD、1999年に『アラビアの音楽―砂漠のアラベスク』(ワールド・ミュージック・ライブラリー 08/KICW 1008)、2008年に『琥珀色の夜~バグダッドのウード』とカップリングされて2枚組CD『イラクの音楽』(ザ・ワールド・ルーツ・ミュージック・ライブラリー 3)(KICW 85003/4)として再リリースされています。

★★★★☆ 


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