『中部ジャワ/マンクヌガラン王宮のガムラン』
Central Java/Music of Mangkunêgaran Solo
ザ・ワールド・ルーツ・ミュージック・ライブラリー 40
CD: キングレコード株式会社
KICW 85057/8 (2008年) 2枚組
定価¥2,800(税抜価格¥2,667)
帯文:
「中部ジャワ最大のガムランホールを持つ
もう一つの王宮、ソロ・マンクヌガラン家のガムラン。ここでは
標準よりずっと大きな楽器を使用、まさに降り注ぐ迫力の音場。」
帯裏文:
「古都ソロのマンクヌガラン王家は、中部ジャワ最大のプンドポ(儀礼用宮殿ホール)と素晴らしいガムラン・セットで知られています。グンデン・ボナンはガムラン版金管アンサンブルともいえる力強い響き。中部ジャワ最高の名器で演奏されるのが王家伝統の歌舞劇ラングンドゥリヤン。最高のカップリングです。」
「★1999年発売の
KICW-1075、
1995年発売の
KICC-5194と
同内容です。」
Disc 1
1.グンデン: ドゥングン・トゥルラレ 13:39
Gêndhing: Dhenggung Turulare
2.グンデン: シドムクティ 26:18
Gêndhing: Sidamukti
3.グンデン: パリグンタン 25:42
Gêndhing: Parigentang
録音: 1992年6月13日ソロ・マンクヌガランにて
Recorded Jun. 13, 1992 at Mangkunêgaran, Solo
Disc 2
1.クタワン: プスポワルノ 5:29
Kêtawang: PUSPAWARNA 5:29
ラングゥンドゥリヤン~「メナジンゴの死」より
LANGÊNDRIYAN~from Menakjingga's death
2.ダマルウランと妻アンジャスモロの別れ 10:29
Damarwulan bid his lover Anjasmara farewell
3.メナジンゴの顔見せと踊り 7:41
Menakjingga's debut and dancing
4.メナジンゴ、宮殿への侵入者に気づく 2:53
Menakjingga suspects the presence of an invader
5.ダマルウラン、見つかる 5:55
Damarwulan is discovered
6.メナジンゴとダマルウラン、名乗り合う 3:16
Menakjingga and Damarwulan announce themselves
7.二人の戦い 5:49
the battle
8.ダマルウランの敗北 7:07
Damarwulan suffers defeat
録音: 1992年6月12日ソロ・マンクヌガランにて
Recorded Jun. 12, 1992 at Mangkunêgaran, Solo
ソロ・マンクヌガラン家の音楽芸能グループ
「ラングン・プロジョ」
LANGÊN PRAJA,
Istana Mangkunêgaran Solo
リーダー: R.M.Ng. ロノ・スリプト
Leader: R.M.Ng. Rana Suripta
Disc 1 メンバー
M.Ng. プルウォ・パングラウィッ(ボナン)
R.Tg. ウィドドナゴロ、Dm. ムルヨノ、スヤディ、他(サロン)
M.Ng. スリ・ハルノト、サプトノ(クンダン)
Dm. スヤッノ(ゴング・グデ)
Disc 2 メンバー
演奏: M.Ng. スリ・ハルノト(クンダン)、M.Ng. プルウォ・パングラウィッ(ルバブ)、M.Dm. ムルヨノ(グンデル)、スヤディ(ボナン)、M.Dm. スニョト(クプラ)
舞踊: Ng. タルウォ・スモ、Ng. スセノ・スモ
プシンデン(女性歌手): シト・ララス《トゥギヌム》(メナジンゴ)、スティヨ・ララス《ウミヤティ》(ダマルウラン)、ダドゥ・スレプト(ダユン)、スパルニ(アンジャスモロ)
使用楽器: キャイ・カニュッ・メスム
Producer: Fukuda Minoru
Director: Hoshikawa Kyoji
Engineer: Takanami Hatsuro
Assistant engineer: Muto Masatoshi (SCI)
監修: 田村史
Supervisor: Tamura Fumi
Recorded by King Record Co., Ltd., Japan.
Cover Design: mitografico
Cover Photo: メナジンゴ(松本亮撮影)
◆本CD解説(田村史)より◆
「Disc 1」
「ジャワのガムランを聞く楽しみの一つは、楽器のセットごとに異なる音色や音律の違いを味わい、その魅力を発見することである。ガムランの楽器は規格化されていないので、(中略)全く同じガムランなど、どこを探しても見つからない。特にユニークなのは楽器と楽器の音がぶつかって生じるビート(うなり)の処理である。ガムランはさまざまな音の特性を持つ青銅の打楽器のアンサンブルである。それぞれに複雑な倍音構造を持つ楽器が響き合い、複雑に干渉し合うビートが生じるのだが、これを消してしまうのではなく微妙に調整することによって、アンサンブル全体の響きを独特な色合いに作り上げるすべを、ジャワのひとびとは、長い経験と鋭い感性によって獲得している。」
「マンクヌガラン家は、400年の歴史を持つ中部ジャワのスロカルト王家から、18世紀半ばに造反し別れた分家で、ソロ(スロカルト)市の北部に大きな宮殿を構えている。(中略)マンクヌガラン家は、また、素晴らしいガムランと、それらを最も美しく響かせることのできる、中部ジャワ最大のプンドポ(儀礼のために用いられる大きなパビリオン)を所有することでも知られている。このCDに収録されているのは、キヤイ・ウダン・アルム[(薫る雨)の意]とキヤイ・ウダン・アセ[(愛の雨)の意]の銘を持つ対のガムランで、18世紀半ばに作られた、と言われている。キヤイ・ウダン・アルムはペロッグ音階に、キヤイ・ウダン・アセはスレンドロ音階に調律されている。」
「1と3はペロッグ音階の、2はスレンドロ音階の曲である。ペロッグは沖縄音階に似た、不均一な音程からなる五音音階で、スレンドロは、民謡音階に似た、比較的均一な音程からなる五音音階である。(中略)ペロッグは五音音階といっても単純に一オクターブに五つの音がある、というのでなく、五つの音からなる同じ音程構造の複数の調(又は旋法)が、幾つかの音を共有しながら一オクターブの中に共存している、とでも言えるような構造をしている。(中略)1は五音しか用いない単純な旋律構造なのに対して、3は複数の旋法を行き来して、七音全部用いる複雑な旋律を持つ。それがこの曲に浮遊したような不思議な雰囲気を与えている。」
「Disc 2」
「このCDには、インドネシアのソロ市のマンクヌガラン家に伝わる舞踊劇、ラングゥンドゥリヤンの中から、『メナジンゴの死』の一部を収めている。なお、冒頭に当家のガムラン演奏会の最初に必ず演奏される、プスポワルノという小曲が収められている。」
「ワヤン・ウォンが、インド伝来の叙事詩マハーバーラタを題材とするのに対して、ラングゥンドゥリヤンは、ジャワで生まれた英雄譚の一つ、ダマルウラン物語を演じるものである。十四、十五世紀のモジョパイト王国を時代背景とするもので、敵将メナジンゴを倒して王国存亡の危機を救い、女王クンチョノウング(金紫の君、の意)と結婚する、美貌の英雄ダマルウラン(月光、の意)の、愛と戦いの物語である。」
「ラングゥンドゥリヤンは、フル編成のガムランが伴奏を務める。(中略)この録音に用いられているガムランは、中部ジャワ最高の名器と評判のもので、キヤイ・カニュ・メスム(微笑みによって運び去られる、という意。キヤイは神聖な人や物に冠する尊称。)という銘を持つ。」
◆本CDについて◆
ブックレットに Disc 1 「解説」(田村史)と英訳。Disc 2 「解説」(田村史)と英訳、台本(歌詞対訳)、録音記録(田村史)。写真図版(モノクロ)14点、「ザ・ワールド・ルーツ・ミュージック・ライブラリー」CDリスト。ブックレット裏表紙に写真図版(カラー)2点。
本作は旧「ワールド・ミュージック・ライブラリー」の『青銅の輝く雨~ソロ・マンクヌガラン家のガムランⅠ』(KICC-5184、1994年、本CDディスク1/1999年の「ワールド・ミュージック・ライブラリー」では『中部ジャワのガムラン—青銅の輝く雨』と改題)と、同じく『舞踊劇ラングゥンドゥリヤン~ソロ・マンクヌガラン家のガムランⅡ』(KICC-5194、1995年、本CDディスク2)を二枚組にまとめたものです。
★★★★★
Music Of Mangkunêgaran Solo 1
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