ドロレス・ケーン&ジョン・フォークナー
『さらばアイルランド』
Farewell to Éirinn
Music and Songs of Emigration from Ireland to America
Dolores Keane & John Faulkner with Eamonn Curran
European Traditional Collection 2
CD: Seven Seas
発売元:キングレコード株式会社
シリーズ:ユーロ・トラッド・コレクション
280E 52052 (1989年)
税込定価¥2,800(税抜価格¥2,718)
Made in Japan
帯文:
「ドロレス・ケーンがジョン・フォークナーを迎えての
エミグラント・バラッド(移民の歌)。
アイリッシュ・トラッドの伝統をふまえた、まさに珠玉の名唱集。」
帯裏文:
「アイルランド女性ヴォーカルの昇華、ドロレス・ケーン。アイリッシュ・トラッドの伝統を崩すことなく、見事に同時代を感じさせるトラッド・シンギング。ジョン・フォークナーを迎えてのこのエミグラント・バラッド(移民の歌)は、まさに珠玉の名唱集。」
1.Farewell to Ireland (Air) / Paddy's Green Shamrock Shore 4:06
(Trad. / Arr. Eamonn Curran & Dolores Keane)
さらばアイルランド/パディーズ・グリーン・シャムロック・ショア
2. Edeard Conners 5:23
(Trad. / Arr. John Faulkner)
エドワード・コナーズ
3. The Kilnamartyr Emigrant 3:40
(Trad. / Arr. Dolores Keane)
キルナマータの移民
4. Reels: Staten Island / The Greenfields of America 3:10
(Trad. / Arr. Eamonn Curran)
リール:スタンテン・アイランド/アメリカの緑なす野
5. Sliabh Gallion Braes 2:35
(Trad. / Arr. Curran/Faulkner/Keane)
スリー・ガラン・ブレーズ
6. Cragie Hills 4:32
(Trad. / Arr. Dolores Keane)
クレイギー・ヒル
7. The Farmer Michael Hayes 4:50
(Trad. / Arr. John Faulkner)
農夫マイケル・ヘイズ
8. Reels: The Maid of Mount Cisco / Farewell to Connaught / Farewell to Ireland 4:30
(Trad. / Arr. Curran/Faulkner/Keane)
リール:シスコ山の乙女/さらばコノート/さらばアイルランド
9. The Greenfields of America 4:10
(Trad. / Arr. John Faulkner)
アメリカの緑なす野
Recorded 24th June - 1st July 1980 at Tonstudio St. Blasien, Northeim - West Germany
Engineered by Günter Pauler
A Co-Production by FolkFreak (Germany) and Mulligan (Ireland)
Produced by John & Dolores, Seamus O'Neill & Carsten Linde
(C) (P) FolkFreak 1980
デザイン:美登英利/SSデザイン
イラスト:木下恵介
◆本CD解説(茂木健)より◆
「“ÉIRINN”という言葉は、ゲール語でアイルランドを意味する。エリンに別れを告げ、海を渡りアメリカ(中略)へ、カナダへと移民していった人々の歌と、移民に因んだチューンばかり10曲が並ぶ。彼女たちの手による解説にもある通り、ほとんどのアイルランド人が自ら望んで移民していったのではなく、母国に留まり飢え死にするよりは、と船に乗り込んだ。」
「アメリカからもたらされたジャガイモは、ミルクを添えれば主食として理想的で、アイルランドの農民はすすんでジャガイモを栽培し常食とした。小麦や牛肉はイングランドへと輸出され、農民たちは現金を手にするために穀物を生産し、自分たちのためだけにジャガイモを栽培した。だが、(中略)1845年の9月、ジャガイモの胴枯れ病が全土を襲い、大飢饉が始まる。」
「人々は先祖伝来の僅かばかりの土地や家を売り、エリンに別れを告げたが、脱出行は辛く、やっと辿り着いた約束の土地での生活は厳しかった。
脱出者の数が最大になったのは、1847年である。当時の移民の手順は、まずリヴァプールへ行き、そこから然るべき船に乗って大西洋を渡る、というものだったが、1847年の1月だけでリヴァプールから6,000人の移民が出港した。渡航希望が急増したため、遂にはアイルランドからの直接出航も始まる。ところが、彼らの乗る船の船主たちは、老朽船に人を詰め込むことで高い利益を上げようとした。“棺桶船”とアダ名された船で大西洋を渡ろうとした人たちの、少なくとも5分の1が窮乏と病気で死んだと言われている。本作の[1]と[2]の主人公は、どちらもアルスターの港から出航しているので、1847年の状況を歌ったものと容易に知れる。なお、この年カナダへの移民も10万人を超えた。」
◆本CDについて◆
ブックレット(全28頁)に茂木健による解説、「オリジナルLPの、ドロレスたちによる解説」(訳:茂木健)、歌詞対訳(聞き取り:John Evans/訳:茂木健)、写真図版(モノクロ)1点。ブックレット裏表紙にオリジナルLPジャケット図版(カラー)。投げ込み(十字折り)に「オリジナルLPジャケットのバック・スリーブ」復刻と「European Traditional Collection」CDリスト(モノクロ図版15点)。インレイにトラックリスト。
ドロレス・ケーン&ジョン・フォークナーの夫婦フォーク・デュオの2nd。ドイツのレーベルからの1980年リリース作で、前作『Broken Hearted I'll Wander』に引き続きイーモン・カランが参加しています。
#1はイーリアン・パイプによる前奏からドロレスの歌、#3、6はドロレス、#2、7はジョンの歌、#5はドロレスとジョンが一緒に歌っていて、#9はジョンのアカペラ、#4、8はインストです。
テーマはたいへん深刻でやりきれないですが、そんななかでも「シロツメクサの岸辺で過ごした幸福な日々」や「愛するあの懐かしい土地」「美わしのバン川の川辺の景色」を思い浮かべることによって現実逃避できるので、ノスタルジアというのはたいへん有難いです。現実は虚仮でありノスタルジアこそ真であるといってもよいです。
★★★★★
Farewell to Ireland / Paddy's Green Shamrock Shore
Sliabh Gallion Braes
Dolores Keane and The Reel Union 1981 (Audio only)