幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

潮先郁男・さがゆき・加藤崇之  『I Wish You Love』

潮先郁男・さがゆき・加藤崇之 
『I Wish You Love』 


CD: 地底 Records 
B47F (2010年)  
[2,500円(税抜)] 

 

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1. Dream A Little Dream of Me (Andere Fabian, Wilbur Schwandt, Gus Kahn)  [5:08] 
2. It's Easy to Remember (Richard Rogers, Lorenz Hart)  [4:27] 
3. When Lights Are Low (Benny Carter, Spencer Williams)  [3:52] 
4. I Wish You Love (Léo Chauliac, Charles Trenet)  [6:24] 
5. Somewhere Along the Way (Kurt Adams, Sammy Gallop)  [6:01] 
6. Mona Lisa (Jay Livingston, Raymond Evans)  [4:05] 
7. Boy Next Door (Ralph Blane, Hugh Martin)  [4:44] 
8. Moonlight Becomes You (Jimmy Van Heusen, Johnny Burke)  [6:12] 
9. Guilty (Harry Akst, Richard A Whiting, Gus Kahn)  [4:44] 
10. Maybe You'll Be There (Rube Bloom, Sammy Gallop)  [4:12] 
11. Crazy He Calls Me (Carl Sigman, Bob Russel)  [3:59] 
12. Go Away Little Boy (Gerald Goffin, Carole King)  [4:19] 
13. In the Wee Small Hours of the Morning (Dave Mann, Bob Hilliad)  [2:52] 


潮先郁男 Shiosaki Ikuo (Guitar) 
さがゆき Saga Yuki (Vocal) 
加藤崇之 Kato Takayuki (Guitar) 


Recorded at 合羽橋 なってるハウス on 18 November 2009 & 16 March 2010 
Recorded & Mixed by 三住和彦 Misumi Kazuhiko (Studio Ton Meister) 
Mastered by 石崎信郎 Ishizaki Nobuo 
Illustrated by 加藤崇之 Kato Takayuki 
Photo by 山下泰弘 Yamashita Yasuhiro and K. ABE 
Designed by 藤原邦久 Fujiwara Kunihisa 
Produced by 潮先郁男・さがゆき・加藤崇之・吉田光利(地底レコード) 


(C)&(P) 2010 Quint Co., Ltd. Manufactured and Distributed by 地底 Records. B47F 


◆本CD解説(森山浩志)より◆ 

「Dream A Little Dream of Me」
「1931年の曲。同年ケイト・スミスの歌がラジオから流れヒットした。」

「It's Easy to Remenber」
「1935年、映画「ミシシッピー」の主題歌として書かれた曲。」

「When lights Are Low」
「1936年、アルトサックスの巨人ベニー・カーターが書いた曲。」

「I Wish You Love」
「元はシャンソン。1943年シャルル・トルネ(詩)レオ・ショーリア(曲)のコンビが作った。日本へ入ってきたときの邦題は「残されし恋には」だった。1955年にアルバート・A・ビーチがリー・ウィルソンのペンネームで英詩を書き、キリー・スミスの歌でヒットした。」

「Somewhere Along the Way」
「1952年、ナット・キング・コールのヒット曲の一つ。」

Mona Lisa」
「1949年「別働隊」というパラマウント映画の為に作られた。後から詩が書かれて、ナット・キング・コールが歌った。」

「Boy Next Door」
「1944年、ラルフ・ブレインとヒュー・マーティンの手による作品。」

「Moonlight Becomes You」
「映画「モロッコ珍道中」の主題歌として1942年に作られた。」

「Guilty」
「1931年作。作曲者の一人リチャードの愛娘、マーガレット・ホワイティングが歌ったものが1947年にリバイバル・ヒットした。」

「Maybe You'll Be There」
「1947年作。コーラス入りのゴードン・ジェンキンス・オーケストラのものでヒットした。」

「Crazy He Calls Me」
「1946年の作品」

「Go Away Little Boy」
「1962年に作詞、作曲されスティーブ・ローレンスの歌で同年にヒットした。
原題はGo Away Little Girl。」

「In The Wee Small Hours Of The Morning」
フランク・シナトラで有名な曲。(中略)1954年の作品」


◆本CDについて◆ 

紙ジャケット(E式・シングル)仕様。インサート(十字折り)に森山浩志による解説、吉田光利(地底レコード)による覚書、クレジット、写真図版(モノクロ)9点。裏ジャケにトラックリスト&クレジット、写真図版(モノクロ)1点。3曲入りボーナス・ディスク付。

「ボーナストラック盤」収録曲:
1. What Am I Here For (Duke Ellington)  [4:53] 
2. After You've Gone (Henry Creamer, Layton Turner)  [4:27] 
3. Too Late Now (Burton Lane, Alan Jay Lerner)  [5:36] 

二本のエレキギターフルアコ)の伴奏で、さがゆきが潮先のレパートリーである「近年ジャズの現場で演られることの少なくなった」「ロマンチックな曲」(解説より)の数々を歌うライヴ録音盤です。右チャンネルが潮先、左チャンネルが加藤。ボーナス・ディスクには拍手や曲間のさがのトークも収録されています。

さがと潮先の共演盤は、ピアノに渋谷毅を迎えたトリオによる本作と同傾向の『We'll Meet Again』(2008年)と、潮先・さが・加藤のトリオにサックス&クラリネットを加えた『Coquette』(2014年)があり、さがと加藤の共演盤は、本作とは全く傾向の異なるフリー・インプロヴィゼーション『シナプス』(2004年)があります。また、加藤のトリオ(ベースに井野信義/長安則克、ドラムに山崎比呂志/小山彰太)による『ギター・スタンダード』(2001年)では、ガット・ギターで本作と同傾向のスタンダード曲を演奏しています。

ギターのみの伴奏のジャズ・ヴォーカルものには、たとえばエラ・フィッツジェラルドジョー・パスによる『テイク・ラヴ・イージー』(1974年)をはじめとする一連のアルバムがありますが、本作はそれに匹敵するといってもよい、というか、ギター二本なので、そういう意味でもそれを超える名盤といえるかもしれないです。フルアコの音色もノスタルジックで、痒いところに手が届く感じでたいへんよいです。

★★★★★ 


Dream a Little Dream of Me