ダニエル・シュミット
『デ ジャ ヴュ』
DANIEL SCHMID
JENATSCH
DVD: T&C Film AG
発売:シネマクガフィン
販売:TCエンタテインメント株式会社
提供:マーメイドフィルム
TCED-7301 (2024年)
価格¥4,840(本体¥4,400、税率10%)
パッケージ裏文:
「17世紀スイスに存在した革命家イェナチュ。政敵を殺し権力を手にした彼の謎の死を探る現代のジャーナリストが、いつの間にか当時の世界に入り込んでしまい、暗殺の現場を目撃、仮面カーニバルで美しい娘と出会う……。監督はその優美な映像と唯一無二の虚構世界により、熱狂的なファンを持つダニエル・シュミット。ふたつの時空を行き交う幻想の旅を極上のシュミット・マジックで描きだす。撮影はシュミット作品で世界的カメラマンとなったレナート・ベルタ、音楽は『赤い影』(73)や『キャリー』(76)で知られる作曲家ピノ・ドナッジオ。主人公を魅惑する娘ルクレツィア役には、後にシャネルのモデルとして活躍したキャロル・ブーケ。映画監督のフレディ・M・ムーラーも顔を見せている。ラストシーンは敬愛するダグラス・サーク監督へのオマージュでもある。シッチェス・カタロニア国際映画祭最優秀脚本賞受賞。」
監督:ダニエル・シュミット Daniel Schmid
製作:テレス・シェレール Theres Scherer/ルチアーノ・グロア Luciano Gloor
脚本:マルタン・シュテール Martin Suter/ダニエル・シュミット
撮影:レナート・ベルタ Renato Berta
撮影助手:ジャン=ポール・トレイユ Jean-Paul Toraille
助監督:マルタ・ガルバン Martha Galvin/マヌエル・シーベンマン Manuel Siebenmann
スクリプト・編集:ダニエラ・ロデレール Daniela Roderer
編集助手:リロ・ジェルベ Lilo Gerber
美術:ラウール・ヒメネス Raúl Gimenez
美術助手:カトリン・ブルナー Kathrin Brunner/マルタン・ビエリ Martin Bieri
衣装:マリアンヌ・ミラーニ Marianne Milani/アビバ・ライアニ Habiba Lahiani
メイク:ゲリーノ・トデロ Guerrino Todero/トマ・ネレン Thomas Nellen
録音:リュック・イエルサン Luc Yersin
音楽:ピノ・ドナッジオ Pino Donaggio
出演:
ミシェル・ヴォワタ(クリストフ・スプレシャー) Michel Voïta: Christophe Sprecher
クリスチーヌ・ボワッソン(ニナ) Christine Boisson: Nina
ヴィトリオ・メゾジオルノ(ヨルグ・イェナチュ) Vittorio Mezzogiorno: Jörg Jenatsch
ジャン・ブイーズ(トプラー博士) Jean Bouise: Dr. Tobler
ラウラ・ベッティ(フォン・プランタ嬢) Laura Betti: Mademoiselle von Planta
キャロル・ブーケ(ルクレツィア・フォン・プランタ) Carole Bouquet: Lucrezia von Planta
ラウール・ヒメネス(タクシー運転手) Raúl Gimenez: Le chauffeur de taxi
ロラン・ベルタン(司祭) Roland Bertin: le prêtre
ジャン=ポール・ミュエル(風呂の中の男) Jean-Paul Muel: Le Monsieur du bain
ルクレツィア・ジョヴァンニーニ(使用人の老女) Lucrezia Giovannini: La vieille servante
ピーター・ボンケ(クラウス・ハーティグ) Peter Bonke: Peter Hertig
ウルシーナ・ハルトマン(エスター・ハーティグ) Ursina Hartmann: Esther Hertig
テコ・セリオ(歴史学者カベルティ) Teco Celio: L'historien Cavelti
ベアトリス・ストール(居酒屋の女主人) Béatrice Stoll: La patronne de la taverne
ダニエル・ロネール(列車で向かい合う司祭) Daniel Rohner: Le curé du train
ロルフ・リッシ(警備員) Rolf Lyssy: L'homme de sécurité
フレディ・M・ムーラー(ニュース映画の記録係) Fredi M. Murer: L'archiviste du ciné-journal
1987年
スイス=フランス=西ドイツ
フランス語
カラー
ヴィスタサイズ
約97分
日本語字幕翻訳:吉岡芳子
◆本DVDについて◆
トールケース(白)。リーフレット(全8頁)に解説&スタッフ紹介(無記名)、クレジット、モノクロ図版1点。ポストカード(カラー)。
主人公のジャーナリスト、クリストフは仕事に行き詰まり、パートナーのニナとも心理的なすれ違いの状態にあります。ダンテは人生の半ばにして暗い森に踏み迷い、ユングは人生の午後三時に精神の危機を経験し、他界(地獄・煉獄・天国)巡り、あるいは魂の夜の航海という形で無意識と対決することによって危機を乗り越えましたが、クリストフはみずからの前世での出来事を現世において追体験し、女性原理(ルクレツィア)の導きによって男性原理(イエナチュ)の圧制を取り除くことで危機を乗り越えます。それはそれとして、自分が自分でしかないのはつまらないので、前世とか来世とかがあるといろいろな自分になれるのでよいです。クリストフの前世を象徴するオブジェである鈴が、いつのまにかポケットに入っていたり、一旦は川に捨てたものの小包で送られてきたりするのも暗示的でよいです(ラストシーンで緩衝材に埋もれる鈴は取り戻された心の平安の象徴でしょう)。イニシエーション装置としての登山鉄道のシーンや、角を曲ると現世と地続きで前世の光景が出現する演出もよいです。本作には『山の焚火』の監督フレディ・M・ムーラーがカメオ出演していますが、本作の監督ダニエル・シュミット(役者でもある)はヴィム・ヴェンダースの『アメリカの友人』に地下鉄で殺されるギャング役で出演していました。エリック・ロメールの『獅子座』にゴダールが登場したり、『ゴダールのリア王』にウディ・アレンが登場したり、映画監督が他の映画監督の映画に役者として端役で登場する慣習は興味深いです。
「クリゾンには
水底に沈んだ村があるの
村のあった谷間を
ダムにしてしまったからよ
暑くて乾いた夏には
沈んだ村が出てくる
何もかもまっ白で
鮮やかすぎる記憶のように
くっきりと陰が…」
(本作より)
★★★★★
ダニエル・シュミット監督作品『デ ジャ ヴュ デジタルリマスター版』『季節のはざまで デジタルリマスター版』予告