Julie Tippetts
『Shadow Puppeteer』
CD: La Cooka Ratcha
Marketed & Distributed by Voiceprint
LCVP101CD (1999)
1. Debris Collection (Voices and Metal Bowl) 3:12
2. Feathered Fragment (Voice and Recorders) 2:11
3. Song of Solidarity (Voices) 2:33
4. Out of the Fire (Voices, Zither and Thumb Pianos) 8:52
5. Reflection (Thumb Pianos) 0:41
6. Lament (Voices) 4:18
7. What Is? (Voices and Tambourine) 3:02
8. Torch Song (Voices) 6:52
9. Passion and the Butterfly Kiss (Voices and Wind Chimes) 3:42
10. Hundred Waters (Wind Chimes) 4:20
11. Dream Dance (of the Purple Shadow) (Voices) 2:56
12. Shadow Puppeteer (Voices and Finger Clicks) 4:44
13. Midnight Shuffle (Mandolin, Voices, Er-Hu, Recorders and Thumb Pianos) 4:44
14. Dalinian Landscape (Voices and Zither) 6:13
15. Autumn Lullaby (Voices) 4:17
16. Candle Dance (2 Thumb Pianos) 4:39
17. Into the Forest (Voices, Zithers and Bells) 6:10
THE END (A butterfly is as symbol of the immortal soul)
All compositions by Julie Tippetts
Recording engineer/Producer - John Tippet
Cover artwork by Inca and Julie Tippetts
Chris Thorpe at Serendipity - CD Pre-mastering
Andy Allpass - Dat Mastering
◆本CDについて◆
ジュエルケース(透明トレイ)。インレイにトラックリスト。ブックレット(全8頁)にSteve Dayによるライナーノーツ、Julie Tippettsによる謝辞、「Shadow Puppeteer」ストーリー、クレジット。
ジュリー・ティペッツが3年がかりで完成させた、声と楽器の多重録音による音の影絵芝居。1976年の『Sunset Glow』以来23年ぶりのソロ作です。ジャケの切り絵は娘インカとのコラボレーション(インカが蝶を、ジュリーが羽毛を担当)。
そこでストーリーですが、主人公は放浪の少女イーシャ(Esha)。彼女が丘に登って眺めると、機械が発する金属音とともに地霊のような者たちが勤勉に働いて、何の役にも立たない物品を次々に生産しては積み上げている(#1)。がらくたの山から一本の美しい羽毛が風に飛ばされてくる。鳥たちが集まり、羽毛と戯れる。その光景に見惚れていたイーシャは、羽毛を拾い上げて髪に差す(#2)。彼女は旅を続ける。想い出と経験が増えていく。新しい友人たちとの出会いと別れ。彼女はボートに乗って一人岸を離れて行く(#3)。ボートは炎に包まれる。水中の生き物たちが馳せ参じて水を掛ける。イーシャは湖に落ちる。生き物たちは彼女のために筏を作る。ボートの残骸から天使の姿が現われ、恐怖心は消える。岸に辿り着き、生き物たちは去る。彼女は体の片側だけ火傷していた(#4)。回想(#5)。広漠たる焦土。雲。日没。木。灰塵に芽吹く種。彼女は回復する(#6)。踊る子どもたち。行列。カーニバルの雰囲気の中で彼女は人形使い(puppeteer)に出会う。彼は彼女の傷を見て美しいと思う。夜、二人は木の下で眠る(#7)。目覚め。ロマンス。夜、釣りに出かける彼に彼女はお守りとして羽毛を与える。彼女は彼の帰りを待つ(#8)。彼女は美しい庭園で時を過ごす。鳥たち、蝶たち、虫たち。小さな滝。待ちながら彼女は眠る(#9)。夢と瞑想。パステルカラーの霧の中。滝の水による浄化(#10)。彼女は彼の帰還を夢に見る(#11)。人形使いはもどらない。イーシャは自分を影絵芝居の人形のように思う(#12)。待ち続ける彼女を夜の魔物たち(mischievous spirits)がからかい、火傷の跡を嘲笑する(#13)。彼女は出立を決意する(#14)。小人の家族に出会い、家に招待される。赤ん坊が生まれたお祝い。しかし自分はよそ者であると感じた彼女は家を抜け出る(#15)。家族団欒をうらやみ、彼らの幸福を喜びつつ、彼女は去る(#16)。森の中へ。雨が彼女の傷を癒す。ここなら安心。誰にも見られず、誰にも嘲笑されることはない。彼女は木にもたれ、木の葉ごしに空を眺める。羽毛が風に舞っている。人形使いが戻って来たのだろうか。美しい蝶が現われ、満月を背景に羽毛と蝶はまるで影絵芝居の人形(shadow puppets)のようだ。
★★★★★