幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『バリ/プリアタンのググンタンガン・アルジャ』

『バリ/プリアタンのググンタンガン・アルジャ』
Geguntangan Arja "Arja Bon Bali", Peliatan
ザ・ワールド・ルーツ・ミュージック・ライブラリー 130


CD: キングレコード株式会社
KICW 85170 (2008年)
定価1,800円(税抜価格1,714円)

 

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1.バテル Batel 4:23
2.スカル・エレッド Seker Eled 8:42
3.マス・クマンバン Mas Kumanbang 3:47
4.パンクル Pangkur 6:02
5.シノム Sinom 8:51
6.プンガラン・カラ Pengarang Kara 3:22
7.ウグ・パヤンガン Wug Payangan 7:30
8.バスール Basur 8:18
9.クカウィン Kekawin 6:55
10.プチュン Pucung 5:13


チョコルダ・イストゥリ・ライ・パルティニ(歌) Cokorda Isteri Rai Partini (vocal)
イ・グスティ・プトゥ・オカ(スリン) I Gusti Putu Oka (suling)
チョコルダ・アグス・ウィラナタ(スリン) Cokorda Agus Wiranata (suling)
チョコルダ・アリット・ヘンドラワン(クンダン・ラナン) Cokorda Alit Hendrawan (kendang lanang)
デワ・ニョマン・スラ(クンダン・ワドン) Dowa Nyoman Sura (kendang wadon)
イ・マデ・スブラタ(チェン・チェン) I Made Subrata (ceng-ceng)
イ・ニョマン・ティンガル(カジャール) I Nyoman Tinggal (kajar)
イ・グスティ・ングラ・スクラ(タワ・タワ) I Gusti Ngurah Sukra (tawa-tawa)
チョコルダ・グデ・ヘラワン(クンプリ) Cokorda Gde Herawan (kempli)
イ・ワヤン・バリック(クレナン) I Wayan Balik (kelenang)
チョコルダ・アグン・ヘルマワン(クンプル) Cokorda Agung Hermawan (kempur)

録音: 1990年12月5日バリ島
Recorded Dec. 5, 1990 at Pura Gunung Sari, Peliatan, Gianyar


Producer: Hoshikawa Kyoji
Engineer: Takanami Hatsuro
Assistant engineer: Naruoka Akira (SCI)
監修: 皆川厚一
Cover Design: mitografico
Cover Photo: ワヤン・ウォンの女面(Made Sujana 作/古屋均撮影)


帯文:

「バリ庶民の娯楽の代表、歌芝居「ググンタンガン・アルジャ」の伴奏音楽。ガムランに女性の声とスピード感溢れるリズムのライブ盤。」


帯裏:

「純粋に娯楽として楽しまれるバリー=バリーアンというジャンルに属する歌って踊って演じるというバリ版ミュージカルがアルジャ。観光客にはほとんど知られていない庶民の楽しみ。それだけに観客の要求は厳しいというのは世界共通。バリ音楽のファンにはお馴染みの芸達者が勢揃い。」
「★1999年発売のKICW-1071と同内容です。」


◆本CD解説(皆川厚一)より◆

「アルジャは歌曲を中心とした舞踊劇だ。劇中の登場人物は歌いながら且つ踊り、演技をする。これはバリの人々が最も好む庶民芸能の代表的なもので、観光用には殆ど上演されることが無い。物語の内容は主として王朝時代の宮廷の姫君を取り巻く人間関係のメロドラマといったもので、ロマンティック、且つコミカルな肩の凝らない娯楽劇という性格が強い。宮廷の貴族たちの生活を一応モデルにしてはいるが、内容は現代に生きる庶民の生活のリアリティを基準にしている。その意味で、おなじ宮廷劇でもややかしこまったガンブーとは明らかに一線を画しており、(中略)それゆえ今日アルジャは芸能の種類としてはバリー=バリーアンというジャンル、すなわち儀礼と直接関わりの無い、娯楽・芸術としての芸能に含められている。
 しかしながら、アルジャの原型はやはり儀礼的な性格の強いものであったらしい。(中略)今日あるような、アルジャのスタイルが確立したのは1940年代以降であるといわれている。」

「ググンタンガンはグンタンを用いたガムランという意味である。グンタンとはいわゆる竹筒琴の一種で、竹の表皮を細長く切り出したものを弦のように張り、それを布を巻いた柔らかい棒で叩くものだ。」
「この楽器は非常に音が小さいため今日ではその改良型が用いられることが多い。(中略)本CDの演奏もこの改良型を使用している。」


◆本CDについて&感想◆

ブックレットに日本語および英語解説、写真図版(モノクロ)5点、「ザ・ワールド・ルーツ・ミュージック・ライブラリー」CDリスト。ブックレット裏表紙に写真図版(カラー)1点。
旧リリースは『バリの舞踊歌劇~ググンタンガン・アルジャ』(KICC-5183、1994年/KICW-1071、1999年)。

本作でクンダンを担当しているチョコルダ・アリット・ヘンドラワンはガムラン・グループ「グヌン・サリ」「ティルタ・サリ」「ヤマ・サリ」などとも関係が深い人物ですが、本作はそうしたテクニカル路線とは一線を画したサイケでディープなトリップミュージックになっています。
全面的にフィーチャーされている民謡調というか独特な女性ヴォーカルにむせぶようなスリンが絡んで、バックには鉦と木魚(?)、間歇的に湧き上がる呪術的なパーカッション、「庶民の娯楽」というにはあまりにファーラウトしています。

★★★★★


Geguntangan Arja - Arja Bon Bali (full album)

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