幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『モンセラートの「朱い本」』 ニュー・ロンドン・コンソート/フィリップ・ピケット

『モンセラートの「朱い本」(中世のモンセラート修道院巡礼の歌と踊り)』 
ニュー・ロンドン・コンソート/フィリップ・ピケット
Llibre Vermell of Montserrat: Pilgrim songs & dances associated with the Shrine to the Virgin at Montserrat
New London Consort
Philip Picket


CD: ポリドール株式会社
POCL-1253 (1992)
税込定価3,000円(税抜価格2,913円)

 

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1.おお、ここに輝く乙女よ O Virgo splendens 7:13
2.星よ、陽の光のように輝いて Stella splendens 7:34
3.処女を称えましょう Laudemus Virginem 5:13
4.母なるマリアを Mariam Matrem Virginem 4:42
5.天界の女王よ Polorum regina 2:31
6.われらすべて Concti simus concanentes 9:32
7.王笏を持つ輝ける女王よ Splendens ceptigera 5:06
8.七つの歓びをあらためて数えてみましょう Los set goyts 10:46
9.悦びの都の女帝よ Imperayritz de la ciutat joyosa 10:36
10.死に向かってわれらは急ぐ Ad mortem festinamus 5:59


ニュー・ロンドン・コンソート
ディレクター: フィリップ・ピケット

Catherine Bott, Tessa Bonner, Olive Simpson, Alison Wray, Sara Stowe, Catherine King, Kristine Szulik: soprano
Andrew King: tenor
Michael George, Stephen Charlesworth: baritone
Robert Evans, Mark Rowlinson: voice
Simon Grant: bass

Tom Finucane: gittern, lute
Paula Chateauneuf: lute
Frances Kelly, Delyth Wynne, Hanelore Devaere: gothic harp
Pavlo Beznosiuk, Giles Lewin: high fiddle, rebec
Mark Levy, Susanna Pell: low fiddle
Philip Pickett: symphony, shawm
William Lyons, Pamela Thorby: recorder
Keith McGowan: shawm
Stephen Henderson: xylophone, bells, nakers, tabor
David Coprkhill: dulcimer, tabor

Recording
Producer: Peter Wadland
Engineer: Jonathan Stokes
Location: Temple Church, London
Date: November 1990
Tape Editor: Deborah Rogers

This reccording was monitored on B & W Loudspeakers

Cover Illustration from the Llibre Vermell - Abadia Biblioteca, Montserrat / Arxiu Màs, Barcelona


帯文:

「13世紀末から14世紀にかけてのスペインの宗教歌を集めた有名な写本を全て収録した初めての企画。才人ピケットの情熱が結集!」


◆本CD解説(フィリップ・ピケット)より◆

「ヨーロッパには、中世の時代に聖人たちや使徒たちの埋葬地に、あるいは聖母マリアによってなされた奇蹟に関係のある場所に建てられた聖堂が、数多く存在している。スペインでは中世の間、特に二つの聖地が有名であった。一つは、聖ヤコブ墓所に詣でるためにヨーロッパ中から巡礼たちがやって来た、スペイン北西部にあるサンチャゴ・デ・コンポステラである(中略)。そしてもう一つは、聖母に捧げられた礼拝堂のまわりで、より地方化された礼拝が育まれてきたバルセローナ近郊のモンセラートの修道院である。」
「現在、モンセラートの図書室に残されている中世の写本のうち、最も貴重なものが、モンセラートの《朱い本 *Llibre Vermell*》として知られる名高い写本第1番であることは明らかである。その名称は、19世紀の終りにこの写本の表紙にかぶせられたビロードの色からきている。この写本は1399年に完成されたもので、本来はおよそ172のフォリオからなっていたが、そのうち35フォリオは失われてしまっている。」
「《朱い本》には10曲の作品が含まれており、おそらくは原典に近いものと思われるが、何人かの作曲家によって書かれたと見られ、その作者は判っていない。それらは音楽様式の点で、また文学の様式の点で、かなり多様であることが判る。」
「この写本の最初の歌(中略)は、一種の単旋律聖歌の記譜法で書かれており、おそらくは初期の、特に地方的な様式を示している作品だが、残りの歌は「アルス・ノヴァ」の様式と記譜法に直接つながっていることが判る。この作曲技法は、カタルーニャでは専門の音楽家にしか知られていなかったと思われるので、この事実は興味深い。これらのうち、純然たるアルス・ノヴァ様式による作品は、おそらくモンセラートの聖母マリアを讃えるために、アラゴンの宮廷からきた音楽家たちによって作曲されたのであろう。残りの曲は、とても個性的な特徴を数多く持っているが、それらは修道士たち自身によって書かれたのかも知れない。(中略)ともかくその作曲様式は、アルス・ノヴァの伝統に則りながら、独特のみごとな簡潔さや、俗謡に密接なつながりを持つ率直で時には土臭い素朴さを示している。」
「《朱い本》の10曲の歌がこの写本の中に筆写されたということは、結局、これらの歌が巡礼者たちにすでによく知られていたことを示している。」


◆本CDについて◆

原盤は L'oiseau-lyre/Decca、1992年。
ブックレット(全20頁)に解説(「このCDについて」今谷和徳/「モンセラートの《朱い本》」フィリップ・ピケット〔今谷和徳・訳〕)、歌詞対訳(細川哲士・訳)、担当楽器一覧(英文)、写真図版(モノクロ)1点。ピケットによる解説は日本語訳だけで原文は掲載されていません。また、日本盤には歌手のクレジットがありませんが、medieval.org によって補填しました。

★★★★☆


Stella splendens

youtu.be


Ad mortem festinamus

youtu.be

 

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