幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『パーセル 歌劇「ディドーとエネアス」』 エンシェント室内管弦楽団&合唱団/指揮:クリストファー・ホグウッド

パーセル 歌劇「ディドーとエネアス」』
エンシェント室内管弦楽団&合唱団/指揮:クリストファー・ホグウッド


CD: ポリドール株式会社
POCL-1470 (1994)
¥3,200(税抜価格¥3,107)

 

f:id:nekonomorinekotaro:20210713223323p:plain


帯文:

バロックの第一人者ホグウッドが満を持して録音したパーセルの最高傑作!
ボット、カークビーという古楽界の2大ソプラノの競演も聴きもの!!」


パーセル
PURCELL (1659-1695)
歌劇「ディドーとエネアス」
DIDO AND AENEAS (ed. Harris)

1.序曲 Overture 2:04

第1幕 ACT 1
2.「花の顔くもらせる憂いの雲をはらいたまえ」(ベリンダ/合唱) 1:02
"Shake the cloud from off your brow" (Belinda/Chorus)
3.「ああ、ベリンダ、口には出せぬ苦しみが」(ディドー/ベリンダ) 4:13
"Ah! Belinda, I am prest with torment" (Dido/Belinda)
4.「二人の君主が結ばれる時」(合唱) 0:17
"When monarchs unite" (Chorus)
5.「かの雄々しさはいずこより生ぜしものか?」(ディドー/ベリンダ) 1:31
"Whence could so much virtue spring?" (Dido/Belinda)
6.「あとの危険は恐れたもうな」(ベリンダ/第2の女/合唱) 2:08
"Fear no danger" (Belinda/Second Woman/Chorus)
7.「御覧じませ、客人のお出ましです」(ベリンダ/エネアス/ディドー) 0:47
"See, see, your royal guest appears" (Belinda/Aeneas/Dido)
8.「武人の心に深手負わせる矢を放つもの」(合唱) 0:35
"Cupid only throws the dart" (Chorus)
9.「わがためならずとも」(エネアス) 0:22
"If not for mine" (Aeneas)
10.「愛よ、征服するまで手をゆるめてはならぬ」(ベリンダ) 0:51
"Persue thy conquest, Love" (Belinda)
11.ギターによるチャコニー(シャコンヌ) 0:20
A Dance Gittars Chacony
12.「丘にも谷にも」(合唱) 1:10
"To the hills and the vales" (Chorus)
13.歓びの踊り 1:12
The triumphing dance

第2幕 ACT 2
14.魔女たちの前奏曲~「夜道ゆく孤独な旅人おびやかし」(魔法使いの女/第1の魔女) 1:27
Prelude for the Witches - "Wayward sisters" (Sorceress/First Witch)
15.「害悪ながすはわれらの喜び」(合唱) 0:14
"Harm's our delight and mischief all our skill" (Chorus)
16.「われらの憎むはカルタゴの女王」(魔法使いの女/合唱/魔女) 2:41
"The Queen of Carthage, whom we hate" (Sorceress/Chorus/2 witches)
17.「われらの深き洞穴で」(合唱) 1:12
"In our deep vaulted cell" (Chorus)
18.復讐の女神たちのエコー・ダンス 1:04
Echo Dance of the Furies
19.リトルネッロ - 「この美しき山峡」(ベリンダ) 3:13
Ritornelle - "Thanks to these lonesome vales" (Belinda)
20.ギターによるグラウンド 0:29
Gitter ground - a dance
21.「ダイアナはこの山めでて」(第2の女) - リトルネッロ 1:36
"Oft she visits this lov'd mountain" (Second Woman) - Ritornelle
22.「見たまえ、曲がれるわが槍先に」(エネアス/ディドー) 0:32
"Behold, upon my bending spear" (Aeneas/Dido)
23.「いそぎ町へ帰りたまえ」(ベリンダ/合唱) 0:45
"Haste, haste to town" (Belilnda/Chorus)
24.「王子よ、立ち止まり」(精霊/エネアス) 2:45
"Stay, Prince, and hear" (Spirit/Aeneas)
25.リトルネッロ 0:49
Ritornelle

第3幕 ACT 3
26.前奏曲 - 「いざ行け、仲間のものよ」(水夫/合唱) 1:36
Prelude - "Come away, fellow sailors" (Sailor/Chorus)
27.水夫たちの踊り 0:48
The Sailor's Dance
28.「見よ、旗もひるがえり」(魔法使いの女/魔女) 1:26
"See the flags and streamers curling" (Sorceress/2 Witches)
29.「破壊はわれらの喜び」(合唱) 0:34
"Destruction's our delight" (Chorus)
30.魔女たちの踊り 1:36
The Witches' Dance
31.「そなたの助言はすべてむなしく」(ディドー/ベリンダ/エネアス) 3:41
"Your counsel all is urg'd in vain" (Dido/Berlinda/Aeneas)
32.「偉大な心はおのれを欺き」(合唱) 0:59
"Great minds against themselves conspire" (Chorus)
33.「ベリンダ、そなたの手を」 - 「土のなかに横たえられし時」(ディドー) 4:06
"Thy hand, Belinda - When I am laid in earth" (Dido)
34.「力なく翼を垂れしキューピッドよ」(合唱) 4:21
"With drooping wings ye Cupids come" (Chorus)


ディドー(カルタゴの女王): キャサリン・ボット(ソプラノ)
DIDO: Catherine Bott (Soprano)
エネアス(トロイの王子): ジョン・マーク・エインズリー(テノール
AENEAS: John Mark Ainsley (Tenor)
ベリンダ(ディドーの侍女): エマ・カークビー(ソプラノ)
BELINDA: Emma Kirkby (Soprano)
第2の女: ジュリアン・ベアード(ソプラノ)
SECOND WOMAN: Julianne Baird (Soprano)
魔法使い: デイヴィッド・トーマス(バス)
SORCERESS: David Thomas (Bass)
第1の魔女: エリザベス・プライデイ(ソプラノ)
FIRST WITCH: Elisabeth Priday (Soprano)
第2の魔女: セイラ・ストー(ソプラノ)
SECOND WITCH: Sara Stowe (Soprano)
精霊: マイケル・チャンス(カウンター・テノール
SPIRIT: Michael Chance (Counter-Tenor)
水夫: ダニエル・ロックマン(トレブル)
SAILOR: Daniel Lochmann (Treble)

エンシェント室内管弦楽団&合唱団
ACADEMY OF ANCIENT MUSIC & CHORUS
指揮: クリストファー・ホグウッド
directed by Christopher Hogwood

Violins I: Simon Standage, Helen Orsler, Pauline Nobes, Desmond Heath, Brian Smith, Iona Davies, Emilia Benjamin
Violin II: Simon Jones, William Thorp, Jonathan Kahan, Fiona Duncan, Marie Knight, Ann Monnington, Gary Clarke
Violas: Martin Kelly, Nicola Akeroyd, Colin Kitching, Lisa Cochrane, Peter Colyer
Basses de violon: Susan Sheppard, Jennifer Ward Clarke, Richard Campbell, Katherine Sharman, Angela East
Bass Viol: Mark Caudle
Archlute: Tom Finucane
Guitars: Tom Finucane, David Miller
Theorbo: David Miller
Harpsichords: Nicholas Parle, Alastair Ross

Chorus of the Academy of Ancient Music
Soprano: Frances Gooke, Ruth Dean, Ghislaine Morgan, Deborah Roberts
Alto: Simon Berrige, Sally Dunkley, Philip Newton
Tenor: David Lowe, James Oxley, Paul Tindall
Bass: Dtephen Alder, Simon Birchall, Thomas Guthrie, Philip Lawson

Recording
Producer: Chris Sayers
Engineers: Stanley Goodall, Jonathan Stokes
Location: Walthamstow Assembly Hall, London
Dates: 2-4 September 1992
Tape Editor: Stanley Goodall
This recording was monitored on B & W Loudspeakers


◆本CD「演奏のためのノート」(ホグウッド)より◆

「曲目解説が述べているように、われわれはもはや《ディドー》が少女学校のために構想されたオペラだったという観念から解放された。したがって現代の演奏家は、17世紀後期の宮廷と劇場における演奏実践のあり方を、後顧の憂いなく解釈の根拠とすることができる。その影響はソロと合唱への声の割当てや、器楽アンサンブルのサイズ、通奏低音の性質、さらには王政復興期の劇場の常套手段である演劇的効果の付与に及ぶであろう。(中略)このレコーディングのためにわれわれが決めたことの要点は、次の通りである。」
「女魔法使いはバスによって歌われる。当時の舞台では、男性が魔女に扮することは珍しいことではなかった。(中略)第1の水夫は音部記号が示す通り、少年によって歌われる(中略)。また、魔法使いの精霊の短いながらも重要な出現は、伝統的に超自然的な連想を持つカウンター・テノールに与えられる(中略)。
 合唱のアルト・パートは、テノールとカウンター・テノールによって歌われる。そうすれば〈急ぎ町へ帰りたまえ〉の冒頭や、〈破壊はわれらの喜び〉、最後の〈力なく翼を垂れし〉などの低い音域も自然になり、現代の慣用版で勧められている気紛れなオクターヴ移調をする必要がなくなる。」
通奏低音の編成は、《ディドー》に数年先行するロックの《テンペスト》の音楽に指定されている、典型的な劇場バンドのそれをモデルとした。すなわち、チェンバロが左側に置かれてタイトルロールと連携する一方、ヴァージナルは右側に置かれ、ベリンダと連携する。それはまた魔女たちの場面に、アルビコルドゥム(ハープ)・ストップとともに用いられる。両鍵盤楽器にはさらに二つのテオルボが加わるが、田園や海の雰囲気を出すためには、それがギターに持ち替えられる。
 現存する《ディドーとエネアス》のテキストには多くの矛盾があり、それらは臨機応変に解決するほかはない。この録音に当たってわれわれは次のような解決を採用した。
 〈バスク舞曲〉のような、台本で言及されていながらも楽譜の失われた音楽は、前後の曲から再構成された。本録音の〈バスク舞曲〉は先行する合唱の器楽ヴァージョンである。〈丘にも谷にも〉の前に要求されている〈ギターによるシャコンヌ舞曲〉としては、第1幕を締めくくる〈勝利の踊り〉のバス・ラインが、二つのギターによる即興の基礎として用いられた。第2幕の〈ギターによるグラウンド舞曲〉も同様に、第2の女によるグラウンド・ベースに基づくアリア〈足しげく訪い〉から導き出されている。
 台本によれば、(中略)〈エコー・ダンス〉には、「恐ろしい音楽」がつづく。本録音でそれはオーケストラの不協和音と、舞台外の音効果との結合で再現される。ちなみにテンベリー写本は、エコー・ダンスのあとにこのような指示を置いている。「雷と稲妻――復讐の女神たちは洞穴に沈み、他の者たちは飛んで行く」。
 しかし、台本の指示にあえて従わなかった場合もある。〈急ぎ町へ帰りたまえ〉は、台本ではディドーのせりふになっているが、本録音では楽譜の指示する通りベリンダに与えられた。なぜなら、ディドーは退却を率いるキャラクターにはふさわしくないと思われたからである。
 第2幕には最後の部分が欠けている。パーセルの音世界を完結させるもっとも単純な手段は、第1幕の冒頭のリトルネッロを繰り返すことである。」
「《ディドーとエネアス》においては、世界が二つに分裂している。それはすなわち、犠牲を払う王族の世界と、災いをなす超自然的影響の世界である。こうした分裂は、17世紀の劇場に通う人々には、目と耳の双方から明らかにされた。雷・稲妻、その他の効果は、すべてステージ外で提供され、霊的な領域と死すべきものの領域を輪郭づけ、区別することに役立てられていた。(中略)ここではスウェーデンのドロットニングホルム宮廷で用いられたオリジナルの機械装置が、効果を提供している。」


◆本CDについて◆

厚紙ボックス。ブックレット(全40頁)に「ホグウッドの《ディドーとエネアス》」(礒山雅)、「曲目について」(リチャード・ラケット/礒山雅・訳〔一部省略〕)、あらすじ(アン・シュナイダー/礒山雅・訳)、「演奏のためのノート」(クリストファー・ホグウッド/礒山雅・訳)、「アーティスト紹介」、歌詞対訳(佐藤章・訳)、図版(モノクロ)11点。

★★★★☆


PURCELL DIDO AENEAS HOGWOOD

youtu.be

 

nekonomorinekotaro.hatenablog.com

nekonomorinekotaro.hatenablog.com