幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『マーラー:交響曲第3番』  インバル

マーラー交響曲第3番』 
インバル 

Gustav Mahler: Symphony No. 3 
Eliahu Inbal / Frankfurt Radio Symphony Orchestra, etc. 


CD: DENON 
発売元:コロムビアミュージックエンタテインメント株式会社 
シリーズ:クレスト1000 
COCO-70473 (2003年)[2枚組]  
定価¥1,575(税抜価格¥1,500) 
Printed in Japan 

 


帯文:

マーラーの世界観を託した傑作。マーラー演奏のひとつの極致といえる名演。」
レコード芸術推薦」
「歌詞対訳なし」


帯裏文:

「4管編成のオーケストラ、アルト独唱、女声合唱、少年合唱を伴う大規模な編成によって自然と永遠の愛を描く大作交響曲。ここでもインバルとフランクフルト放送響は恣意的表情を廃しマーラーのスコアそのものをして雄弁に語らせている。ゾッフェルの名唱を経て曲は絶美の終止を迎える。」


マーラー Gustav MAHLER (1860‐1911) 
交響曲 第3番 Symphony No.3 

Disc 1 《第1部》 
1.Ⅰ-力強く、決然と 32:31 
Kräftig, Entscheiden 

Disc 2 《第2部》 
1.Ⅱ-テンポ・ディ・メヌエット はなはだ適度に 9:56 
Tempo di Menuetto. Sehr mäßig 
2.Ⅲ-コモド、スケルツァンド 急がずに 18:04 
Comodo. Scherzando. Ohne Hast 
3.Ⅳ-きわめてゆるやかに、神秘的に、必ずppp 9:35 
Sehr langsam. Misterioso. Durchaus ppp 
4.Ⅴ-活発な速度で、かつ表現は大胆に 4:02 
Lustig im Tempo und keck im Ausdruck 
5.Ⅵ-ゆるやかに、平静に、感動をこめて 23:53 
Langsam. Ruhevoll. Empfunden 


ドリス・ゾッフェル――アルト 
Doris Soffel, alto 
リンブルク大聖堂少年合唱隊――合唱指揮:クリストフ・ドゥノワ 
Limburger Domsingerknaben (Chorus master: Christoph Denoix) 
フランクフルト聖歌隊女声合唱団――合唱指揮:ヴォルフガング・シェーファー 
Women's Chorus of Frankfurter Kantorei (Chorus master: Wolfgang Schäfer) 
エリアフ・インバル指揮 フランクフルト放送交響楽団 
ELIAHU INBAL conducting FRANKFURT RADIO SYMPHONY ORCHESTRA (Radio-Sinfonie-Orchester Frankfurt) 


ヘッセン放送との共同制作 
録音:1985年4月18/19日、フランクフルト、アルテ・オーパー 
制作担当:川口義晴(日本コロムビア)、クレメンス・ミュラーヘッセン放送) 
録音担当:ピーター・ヴィルモース(日本コロムビア)、デトレフ・キットラーヘッセン放送) 
技術:高橋幸夫 
リミックス:岡田則男 
テープ編集:久木崎秀樹 
使用楽譜:ウィーン、ウニヴェルザール 


◆結城亨による解説より◆

マーラーが書き残した9曲の交響曲(第10番は未完)のうち、「第2番」から「第4番」までは一般的に「角笛交響曲」とも呼ばれている。それはその3曲がどれもドイツの詩人アルニムとブレンターノが19世紀初頭に出版した民衆詩集「子供の不思議な角笛」と関連をもつからである。従ってこの3曲は全て声楽が加わった交響曲となっている。この「第3番」が書き上げられたのはザルツブルクから東へ30キロほど離れたアッター湖畔の小村シュタインバッハで、マーラーは93年からこの曲が完成する96年まで毎年夏の休暇をこのオーストリアの避暑地で作曲に専念したのであった。この地はいわゆるザルツカンマーグートザルツブルクの王室)と呼ばれるほど美しい湖や森、さらにオーストリア・アルプスに囲まれた地方で、彼も作曲の仕事の合い間には近くの知人や指揮者のブルーノ・ワルターらと共に野山や湖畔をよく散策したという。この交響曲はそんな自然や当時の状況を反映してか、‟マーラーの自然交響曲”などと呼ばれるほどの自然とのふれ合いを感じさせる作品に結晶したのである。マーラー自身も「この曲には自然を愛する感情ばかりでなく、自然そのものの声が響いて来る……」と感覚的、音楽的にその影響を受けたことを語っている。
 だがこの作品はただ単に美しい自然を讃美しただけの交響曲ではない。その美しさの裏にひそむ自然の激しさ、冷たさ、神秘性、更にはマーラー自身が大自然に照らし合わせて思考した生や死、愛や憧れ、祈りや悟りといった深い人生観をも強く表明しているのだ。」


◆本CDについて◆

2枚組用ジュエルケース(10mm厚/白トレイ)。ブックレット(全8頁)にトラックリスト&クレジット、結城亨による「解説(マーラー交響曲 第3番/ドリス・ゾッフェル/エリアフ・インバル/フランクフルト放送交響楽団)」(2003. 1)、「クレスト1000第2回発売 全70タイトル」(CDリスト)。ブックレット裏表紙にカラー写真図版(インバル)。廉価盤なので歌詞は掲載されていないです。

★★★★★


Symphony No. 3, I. Kraftig, Entschieden