『法悦のヴィーナ~巨匠バーラチャンダ』

『法悦のヴィーナ~巨匠バーラチャンダ』
Veena Virtuoso/Balachander
ワールド・ミュージック・ライブラリー 19


CD: キングレコード株式会社 
KICC 5119 (1991年) 
税込定価¥2,500(税抜価格¥2,427) 

 

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帯文: 

「音は神なり、音は宇宙なり。
インドの至宝=バーラチャンダの遺作。
インド音楽の枠を超えた人類共通の遺産。」


帯裏文:

「一つ一つの音の向こうに宇宙が見えてくる。奏楽がそのまま祈りとなる南インド、カルナータカ・ミュージックの極みがここにある。大マエストロ、バーラチャンダの遺作。これもインド音楽の枠を越えて、人類共通の遺産である。」


1.ラーガ・アーラーパナ「ガーンゲーヤブーシャニ」およびクリティ「エッヴァーレ・ラーマイヤー」 47:49 
Raaga Aalaapanam "Gaangeyabhooshan" and Kriti "Evvare Raamayyaa"
ラーガ: ガーンゲーヤブーシャニ/ターラ: アーディ

2.ラーガ・アーラーパナとターナム「シャドヴィダ・マールギニ」およびクリティ「パーヒ・ラーマ・ドゥータ」 24:48 
Raaga Aalaapanam, Thaanam "Shadvidha Maargini" and Kriti "Paahi Raama Dhoota"
ターラ: ルーパカ 

作曲: ティヤーガラージャ 
Both items composed by Tyagaraja 

S. バーラチャンダ(ヴィーナ) 
S. Balachander (Veena)
R. ラメシュ(ムリダンガン) 
R. Ramesh (Mridangam)
S.B.S. ラーマン(タンブーラ) 
S.B.S. Raman (Thamboora)

録音: 1982年3月22日、キングレコード第1スタジオ 
Recorded March 22, 1982 at the Studio No. 1, KING RECORDS, Tokyo, Japan

Supervisors: FUmio Koizumi, Taeko Kusano
Producer: Katsuhiko Nishida
Engineer: Hatsuro Takanami
監修: 小泉文夫/草野妙子 

このCDは国際科学技術博覧会協会主催第1回国際シンポジウムEXPO'85のイヴェントで、バーラチャンダが来日した際の録音です。

Cover Design: 美登英利 
Cover Photo: 神像(シバ=ナタラージャ)(国立民族学博物館提供) 


◆本CD解説(小泉文夫)より◆ 

「では、どういう点がユニークなのだろうか。先ず、技巧が極限まで追求されている。南インドの音楽家は、主としてバラモン達の社会で育くまれて来たので、何か哲学的で瞑想的なところがあるのが普通である。たしかに南インドの音楽家にも、優れた技巧の持主は多い。しかし、技巧を正面に据えるのは、何か精神的な内容を軽視しているような感じがするので、普通技巧は音楽の目標ではない。」
「だが、バーラチャンダには、そうした遠慮が見られない。技巧をトコトンまで追求して、彼の奏するヴィーナという楽器の持つ限界まで追っている。特に強く弦を横に引っぱって、音高を高めるテクニックは、微妙なコントロールを要するが、超絶的ともいえる正確さで、その技巧を多用する。
 また、彼は楽器自体も、気の済むまで改良している。」
「こう見てくると、バーラチャンダは、南インドの伝統とはかけ離れた異端児のように聞こえるかも知れないが、実はそうではない。彼はほとんど独学で南インドの古典音楽を勉強したが、それだけに或る面では、純粋に伝統的理論に忠実であるともいえる。例えば72のメーラカルタ Melakarta (ラーガ Raga の基礎となる音列)のすべてを、理論通りに演奏するということは、普通の音楽家では出来ないことである。というのは、数学的に72に分類されてはいるが、実用上は必ずしもそのまま、平等に、規則的に使用されるわけではなく、習慣的には或る特定のものに集中して実用されるのがメーラカルタの実情である。ところが彼は真面目に、理論通りにとり上げる。
 また、インド音楽はいくら保守的とはいっても、日本の邦楽のように、作られた楽曲をそのまま演奏するのではなく、常に旋律も形式も破壊しながら、即興的に再構成して演奏する。インド音楽のやり方からすれば、このようにこれまでの習慣にとらわれずに、ラーガやターラ Tala の法則をキチンと守りつつ、自由に自己の思想を徹底的に表現する努力こそ、本来の伝統的スタイルと呼べるかも知れない。
 南インドでは変わり種のように見えるバーラチャンダの芸術も、実は互いに音楽家同士の間で競争のはげしかった北インドでは、むしろあたり前の姿だった。」
「1982年の来日は3度目で、しかも国際科学技術博覧会ツクバ’85に向けてのシンポジウムで、特別ゲストとして演奏した機会に、彼をキングのスタジオに招いて録音した。」
「このアルバムのため、彼は3曲を演奏したが、いずれも南インド最大の音楽家であるティヤーガラージャ Tyagaraja (1767-1847)の作品から取っている。そしてこれら3曲ともすべて、メーラカルタ・ラーガすなわち、完全な7音の上・下行音階によるラーガに基づいている。(中略)そのうち2曲を選んだ。」


◆本CDについて◆ 

ブックレットに「バーラチャンダの音楽」「曲目解説」(小泉文夫)、「アーティスト紹介」「楽器」(草野妙子)、英文解説、写真図版(モノクロ)1点、「ワールド・ミュージック・ライブラリー」CDリスト、地図2点。

LP「民族音楽ライブラリー」『南インドのヴィーナ』(K20C-5119~20)としてリリースされ、1988年に「エスニック・サウンド・コレクション 21」『想神瞑楽~法悦のヴィーナ』(K30Y-5121)としてCD化、本CDを経て、1999年「ワールド・ミュージック・ライブラリー 35」『南インドのヴィーナ―法悦の響き』(KICW-1035)、2008年「ザ・ワールド・ルーツ・ミュージック・ライブラリー 34」『南インドのヴィーナ―バーラチャンダ』(KICW-85049)。

★★★★★ 


Veena Virtuoso

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