Bartok: Concerto for Orchestra / 4 Orchestral Pieces
Chicago Symphony Orchestra / Boulez
CD: Deutsche Grammophon/ポリドール株式会社
POCG-1720 (1994年) [特典シングルCD付]
¥3,000(税込)(税抜価格¥2,913)
Made in Japan
帯裏文:
「ブーレーズ指揮、シカゴ交響楽団によるバルトーク・シリーズ第二弾、《管弦楽のための協奏曲》。ブーレーズは、晩年の大作であるこの作品をきわめて鮮やかに仕上げている。かつて彼の演奏には、ある種の冷たさが漂っていると評されていた。確かに音楽創りの明晰さは今も変わらない。しかしこのディスクに聴かれる演奏には、ブーレーズの熱き血潮が感じられる。躍動感あふれるエネルギーに満ちている。今後の《オケ・コン》決定盤とも言える演奏である。」
ベラ・バルトーク
BÉLA BARTÓK
(1881-1945)
4つの小品 作品12(Sz51)
Four Orchestral Pieces op. 12
1.前奏曲 Moderato 6:32
Preludio
2.スケルツォ Allegro 6:13
Scherzo
3.間奏曲 Moderato 5:03
Intermezzo
4.葬送行進曲 Maestoso 4:57
Marcia funebre
管弦楽のための協奏曲(Sz116)
Concerto for Orchestra
5.第1楽章:序章 9:30
(INTRODUZIONE)
Andante non troppo - Allegro vivace - Tempo I
6.第2楽章:対の遊び 6:26
(GIUOCO DELLE COPPIE)
Allegretto scherzando
7.第3楽章:悲歌 7:43
(ELEGIA)
Andante, non troppo
8.第4楽章:中断された間奏曲 4:02
(INTERMEZZO INTERROTTO)
Allegretto
9.第5楽章:終曲 9:24
(FINALE)
Pesante - Presto
シカゴ交響楽団
Chicago Symphony Orchestra
指揮:ピエール・ブーレーズ
Conductor: Pierre Boulez
録音:1992年11、12月 シカゴ
Executive Producer: Roger Wright
Recording Producer: Karl-August Naegler
Balance Engineer: Rainer Maillard
Recording Engineers: Jobst Eberhardt, Reinhild Schmidt
Editing: Jürgen Bulgrin (Sz51) / Reinhild Schmidt (Sz116)
Recording: Chicago, Orchestra Hall 11-12, 1992
Recorded using B & W Loudspeakers
Cover Illustration: Alfons Holtgreve
◆本CDについて◆
三方背スリーブケース。ブックレット(巻き4つ折り)に濱田滋郎による解説、英文クレジット、「4Dオーディオ・レコーディングとは」。インレイにトラックリスト&クレジット。
特典シングルCD「Message from Pierre Boulez(Message for the Japanese fan on December 5th, 1993 in Chicago)」(DCI-1956 STEREO/Not for Sale/紙ケース入8センチCD/7分2秒)&2つ折りブックレット「ブーレーズ、《管弦楽のための協奏曲》を語る」(1993年12月 シカゴ、オーケストラ・ホール楽屋にて/訳:岡部真一郎)&投げ込み(片面印刷)「「ブーレーズへの手紙」募集!」。
「バルトークが《管弦楽のための協奏曲》を書いたのは、生涯のごく終わりの時期のことでした。(中略)バルトークは、1939年以来、アメリカで亡命生活を送っていました。その生活は、世間からは隔絶されたもので、彼は、健康を害し、また、精神的にも大変苦しい状態にありました。そのような時期に書かれたこの作品は、また、彼が大オーケストラのために作曲した最後の作品でもありました。バルトークは、その創作活動の初期において、大オーケストラのための作品はあまり残していません。やがて、彼は、劇場作品に取り組むこととなります。《かかし王子》、《不思議な中国の役人》、そして、もちろん、《青ひげ公の城》が、それにあたります。しかし、それ以上、大きな規模の作品は、ほとんど見られません。《オーケストラのための4つの小品》以降、大オーケストラのための作品は作曲されず、残されているのは、舞踊組曲や小組曲のような小品ばかりです。
一方、この《管弦楽のための協奏曲》は、長大な、大規模な作品であり、また、極めて重要な作品でもあります。作品は5楽章からなっており、バルトークに特徴的なシンメトリーが、ここでも、きわめて大きな位置を占めています。第1楽章と第5楽章がシンメトリーを構成し、さらに、第2楽章と第4楽章は、性格的にもシンメトリーを成しています。そして、シンメトリーの中心は、第3楽章、緩徐楽章です。
第1楽章は、規則的な拍子による一種の序章で、民族音楽的な素材が用いられており、また、終楽章は、彼の母国のヴァイオリン演奏の伝統に基づくものです。したがって、これら2つの楽章は、共に、民族的な要素に基づくものだということができます。
第2、第4楽章は、全く異なっています。第2楽章は‟GIUOCO DELLE COPPIE”、すなわち〈対の遊び〉。実際、この楽章では、それぞれの楽器は、常にふたつずつの組になって現れます。そして、楽章の終わりで、バルトークはその構造の謎解きを行っています。それまで、ふたつのクラリネット、ふたつのトランペット、などなど、それぞれの楽器の間で徐々に発展してきた音程を、彼は、ひとつの和音に統合しているのです。」
「さらに、第3楽章では、晩年の作品に時に見られるように、中間部にコラールが聴かれます。これは、ドイツのコラールの伝統に回帰するものとも言えるでしょう。
第4楽章は、〈中断された間奏曲〉。この楽章は、極めてユーモラスなものです。楽章をはじめる旋律も、もちろん、俗っぽいものですが、その旋律は、突然、大変低俗な調べにより、故意に中断されることになります。バルトークが、俗っぽい音楽にいらいらさせられていたこと、その怒りの気持ちを、ユーモアをも込めて、示すものとして、このような音楽が書かれたのではないかということなどを、この音楽から想像することもできるかも知れません。」
「加えて、第3楽章については、いわゆる「夜の音楽」であるという点において、極めてバルトーク的です。これは、ある種の野外の音楽なのです。広大で豊かな印象を与えるメロディーに対置するかのように、小さな音の断片、夜、野外で聞こえてくる様々な音がここには盛り込まれています。旋律の小さい断片、細かいノイズ、実に微細な雑音がオーケストラにちりばめられているのです。これは、バルトークの音楽に、常に変わらず見い出される要素だと私は思います。」
「この曲は、実に見事で華やかな作品であり、(中略)彼がそれまでの創作活動のなかで成し遂げてきたこととも深い関わりを持つものです。他の作品に比べ、より耳触りが良く、あるいは攻撃的な要素が弱くなっているということもできるでしょうし、また、ある意味では、一種の諦念のようなものがより明確に反映されているともいえるかも知れませんが、この曲には強く心を動かされるものがある、と私は考えます。」
★★★★★
Concerto For Orchestra, Sz. 116 - 3. Elegia (Andante, non troppo)