幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

John Fahey  『Death Chants, Breakdowns and Military Waltzes』 

John Fahey 
『Death Chants, Breakdowns and Military Waltzes』 


CD: Takoma / Fantasy, Inc. 
TAKCD-8908-2 (1998) 
Printed in U.S.A. 

 


1. Sunflower River Blues  2:33 
2. When the Springtime Comes Again  3:50 
3. Stomping Tonight on the Pennsylvania / Alabama Border  6:58 
4. Some Summer Day  3:20 
5. On the Beach at Waikiki  2:55 
6. Spanish Dance  1:53 
7. John Henry Variations  5:40 
8. The Downfall of the Adelphi Rolling Grist Mill  3:35 
9. Take a Look at That Baby  1:25 
10. Dance of the Inhabitants of the Palace of King Philip XIV  2:28 
11. America  7:52 
12. Episcopal Hymn  1:10 

13. Sunflower River Blues  3:19 
14. When the Springtime Comes Again (Fahey-Sullivan)  4:53 
15. Stomping Tonight on the Pennsylvania / Alabama Border  5:36 
16. Some Summer Day  3:25 
17. On the Beach at Waikiki  2:40 
18. Spanish Dance  2:05 
19. John Henry Variations  5:11 
20. Take a Look at That Baby  1:25 
21. America  5:00 
22. Episcopal Hymn  1:22 

All selections written by John Fahey, except as indicated 


John Fahey - guitar 
Nancy McLean - flute (on 8 only) 


Produced by John Fahey 


1-12 originally released in 1963 as *Death Chants, Breakdowns and Military Waltzes* (C-1003); 
13-22 re-recorded and released in 1967 as *Death Chants, Breakdowns and Military Waltzes* (C-1003). 

Remastering, 1998 - Kirk Felton (Fantasy Studios, Berkeley) 
Art direction - Jamie Putnam 
Design - Linda Kalin 
Cover art - Anonymous student of Posada 


◆オリジナルLPライナーノーツより(大意)◆ 

ジョン・フェイヒイ少年は盲目の黒人ブラインド・ジョー・デスの傍らで、彼がギター代わりのキターラ(古代ギリシアの弦楽器)で奏でるブルースや黒人霊歌を聞きながら育った。ジョーは三歳のときに地域のNAACP(黒人地位向上協会)のメンバーに袋叩きにされて盲で唖になってしまったのだが、それというのも、黒人の過去の神話(the myth of the Negro past)と訣別すべく、バレー・コードとディミニッシュト・オーギュメント・セブンスを修得すべしという組合の押しつけに従わなかったからで、政治経済問題を歯牙にもかけぬ老人の骨がらみの意固地さがあったればこそ、ブラインド・ジョーの演奏のうちに、虐げられたタコマ・パークの人々の荒々しくむき出しでなによりも人間的な生の、意固地でほろ苦く痛烈な、魂を揺さぶる大衆の詩を表現する道を見出したこの白人の少年は、自分の手が師匠と同じくらい大きくなってギター代わりのキターラを弾けるようになる時をひたすら待ったのであった。
そうこうするうちにブラインド・ジョーのキターラは1927年のスライゴ川の氾濫で流されてしまった。パラマウントへの吹き込みで大金を手にしたブラインド・ジョーはマーチンのギターを購入したが、驚いたことにはキターラよりも巧みに、虐げられたタコマ・パークの人々の荒々しくむき出しでなによりも人間的な生の意固地でほろ苦く痛烈な魂を揺さぶる大衆の詩を表現することができたのであった。というのも、それまでは弦が1本しかなかったが、この楽器には弦が6本もあったからである。1962年にブラインド・ジョーが死ぬと、このギターは遺族からフェイヒイに譲渡された。
フェイヒイの最初のギターは嬰児用の棺桶で作ったものだった。


◆本CDについて◆

アメリカの特異なギタリスト、ジョン・フェイヒイの第2作『死の歌、ブレイクダウン、軍隊ワルツ集』。

ブックレット(巻々四つ折り+アンケートはがき)にByron ColeyによるCDライナーノーツ、オリジナルLPライナーノーツ(1963年)、LPジャケット画像4点(モノクロ2点、カラー2点)、トラックリスト&クレジット。インレイにトラックリスト&クレジットと紹介文。

架空のギタリスト「ブラインド・ジョー・デス」が登場するジョン・フェイヒイの偽名によるオリジナルLPライナーノーツは、例によってフォークウェイズ・レコードなどの学究的なライナーノーツのパロディになっていて、バイオも楽曲解説もほぼフィクションです。

本CDには1963年のオリジナル・モノラル版と、1967年に2曲を除いて録音し直したステレオ版の全曲が収録されています。#8にはフェイヒイの学友ナンシー・マクリーンがフルートで参加しています。

★★★★★ 


The Downfall Of The Adelphi Rolling Grist Mill


America (1963) 


America (1967)