John Renbourn
『Traveller's Prayer』
ジョン・レンボーン
トラヴェラーズ・プレイヤー
CD: Shanachie Entertainment Corp.
Shanacie 78018 (1998)
MSI/Tokyo
MSIF 2598
¥2,700(税抜)
帯文:
「今までになく軽やかで、明るいジョン・レンボーンの新境地を切り開いた意欲作。
現在のトラッド・シーンで活躍するミュージシャンも多数参加。」
1. Bunyan's Hymn (Monks Gate)
2. When the Wind Begins to Sing
3. Wexford Lullaby
4. I Saw Three Ships / Newgate Hornpipe
5. Planxty Llanthony / Loftus Jones
6. Fagottanz
7. At the Break of Day
8. Traveller's Prayer
9. South Wind / Feathered Nest
10. Estampie
Musicians:
Connor Bryne - Flute
Maire Breathnach - Fiddle
Joe McKenna - Uilleann pipes and Whistle
Dick Lee - Clarinets and Recorder
Bill Kemp - Percussion
Additional percussion (Track 10) - Nick Turner
Gerry Cullen, Phil Calley, Fran McPhail (The Voice Squad) and Mairead Ni Dhomhnaill - Vocals
Studios
Track 4 and 6: Recorded by Paul Ashe-Browne, The Works, Irishtown, Dublin
Tracks 2, 8 and 9b: (Pipes and whistle)
Recorded by Trevor Hutchinson, Marguerite Studios, Glansnevin, Dublin
Tracks 1, 3a and 3b, 4 (direct guitar) 5, 6 (guitar and percussion) 7, 9a and 9b (guitars) and 10: Recorded by Nick Turner, Watercolour Music, Argour, Lochaber, Scotland
All guitar parts (except backing guitar on Track 4) recorded by Nick Turner in the live room at Watercolouor with a combination of Mimesis sound-hole pick-up and a pair of Neumann U87 microphones, using natural ambience rather than studio reverb.
Produced by John Renbourn
Front Cover Image by Charles R. Mackintosh
Booklet Design by Joan Pelosi
Tracks 1, 4a, 9a and 9b: Traditional arranged Renbourn
Track 5b: Carolan arranged Renbourn
Tracks 2, 3, 4b, 5a, 6, 7, 8 and 10: Composed Renbourn
◆本CDについて◆
輸入盤国内仕様。原盤ブックレット(巻き四つ折り)にJohn Renbournによるライナーノーツ&楽曲コメント、トラックリスト&クレジット、写真図版(モノクロ)1点。投げ込み(十字折り)にトラックリスト、ジョン・レンボーンによるライナーノーツ&楽曲コメント邦訳(大島豊)、歌詞(transcribed by Gwenna Jo―Anne Humphreys)&対訳(大島豊)。
本作は派手さは無いものの、いわばジョン・レンボーン・グループのイングランド/スコットランド/アイルランド混合版で、心地よく切ないメロディが幾重にも広がる熟成ブレンドフォークです。
#1「Bunyan's Hymn (Monks Gate)」はヴォーン・ウィリアムスがサセックスのトラッド「The Blacksmith」にジョン・バニヤン『天路歴程』の一節を乗せた聖歌のインスト版で、ディック・リー(次作『Palermo Snow』にも参加)のクラリネット&リコーダーをフィーチャーしています。
#2「When the Wind Begins to Sing」はアン・ブリッグスやアーチー・フィッシャーも取り上げている「The Snows」の「メロディにさらに変更を加え、ハーモニーをつけ直したもの」(「 」内はレンボーンによる楽曲コメントより、以下同)。ゲストはアイルランドのミュージシャン、コナー・バーン(フルート)とモイア・ブレナック(フィドル)。
#3「Wexford Lullaby」は「アイルランド南部エニスコーシィの歌の伝統にある、男性斉唱のための古い単旋律メロディと詞が四声合唱に編曲され、「ウェクスフォード・キャロル」のタイトルで『オクスフォード・キャロル集』に収められている。そのメロディーにハーモニーをつけ直し、新たな詞をつけたもの」が基礎になっていて、アイルランドのヴォーカル・グループ「ヴォイス・スクォド(The Voice Squad)」の三人にアイルランドのシンガー、モレート・ニ・ゴーナルが加わったアカペラ四重唱で、ギターは入っていません。
#4「I Saw Three Ships / Newgate Hornpipe」はイングランドのキャロルとジグのメドレー。ゲストはディック・リー(リコーダー)とビル・ケンプ(パーカッション)。
#5「Planxty Llanthony / Loftus Jones」はアイルランドのハープ奏者・作曲家オキャロラン(Turlough O'Carolan)の「後援者への返礼として作られた曲である」プランクシティ「ロフタス・ジョーンズ」と、レンボーンが「ウェールズ南部の(中略)小修道院での歓待に対して作った」自作のプランクシティのカップリング。ギター多重録音。
#6「Fagottanz」は「ベルギーのバー、カフェ・ファゴットで書いた」曲で、「どちらかというとフォーマルなスザート・タイプのバスーン・ダンスを、活発なアレックス・デュザート・スタイルのスネアとタムタムのパターンと対置させること」を目指したもの。木管楽器は「ダブリン交響楽団のご婦人方」、パーカッションはビル・ケンプ。
#7「At the Break of Day」は「アルスター産フォーク・ソング「バン川の岸辺」」(「Banks of the Bann」)のメロディーに基づくギター二重奏曲(多重録音)。
#8「Travellers' Prayer」はスコットランドの「トラヴェラー」(マイノリティの移動民族、「ティンカー(tinker)」とも呼ばれる)の伝承に基づく自作曲で、『John Renbourn's Ship of Fools』(1988年)に初出。本CDではヴォイス・スクォドとモレート・ニ・ゴーナルによるアカペラ四重唱です。トラヴェラーは定住化が進み、その伝統は失われつつありますが、「その精神は今もわれわれの中に生きつづけ」ている、とあります。ジョーン・バエズとボブ・ディランが車で移動するジプシーの一家と遭遇するYouTube動画で、バエズが「We're travelling too, a different kind of gypsy」と自己紹介するシーンがありましたが、フォーク・ミュージシャンとは本来そういうものなのでしょう。
#9「South Wind / Feathered Nest」はアイリッシュ・パイプ・チューン。イーリアン・パイプはジョー・マッケナ。
#10「Estampie」はレンボーン作のエスタンピー(中世舞曲)。ゲストはディック・リー(クラリネット)とニック・ターナー(パーカッション)。
★★★★★
Bunyan's Hymn (Monks Gate)
Traveller's Prayer