幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

It's A Beautiful Day 『It's A Beautiful Day』

It's A Beautiful Day 

イッツ・ア・ビューティフル・デイ 


CD: San Francisco Sound 
SFS 11790 DA 

発売元:MSI 
MSIF 2611 (1998年) 
¥2,700(税抜)

 


帯文:

サウンド、ジャケット共々60年代のサンフランシスコを代表する一枚が遂に復刻!
ヴァイオリンと男女混声ヴォーカルの織りなす目眩めくポップ・サイケの傑作。」


帯裏文:

「60年代のサンフランシスコ・サウンドの代名詞的存在で、ロック史上最も有名なアルバム・ジャケットの一つ、イッツ・ア・ビューティフル・デイの名盤中の名盤が遂に登場。リーダーのデヴィッド・ラフレームのクラシカルなヴァイオリン、デヴィッドとリンダ・ラフレームのデュオ・ヴォーカルをフィーチャーしたエレガントかつプログレッシヴなサウンドは今でも瑞々しさを感じさせる永遠の輝きに満ちています。」


1. WHITE BIRD  6:06 
ホワイト・バード 
2. HOT SUMMER DAY  5:46 
ホット・サマー・デイ 
3. WASTED UNION BLUES  4:00 
ウェイステッド・ユニオン・ブルース 
4. GIRL WITH NO EYES  3:49 
ガール・ウィズ・ノー・アイズ 
5. BOMBAY CALLING  4:25 
ボンベイコーリング 
6. BULGARIA  6:10 
ブルガリア 
7. TIME IS  9:42 
タイム・イズ 


PRODUCTION - MATTHEW KATZ 


◆吉原聖洋による解説より◆

「1941年4月5日、デイヴィッド・ラフレイムはユタ州ソルトレイク・シティに生まれる。7歳の頃からヴァイオリンを弾き始めた彼はユタ・シンフォニー・オーケストラの一員として演奏していたが、陸軍での2年間を兵役を経た後、サンフランシスコへと移住し、ジョン・ハンディ・アンサンブルへの参加も含めて、より幅広いジャンルの音楽をプレイするようになっていった。
 そして1963年、ラフレイムは最初の妻リンダと出会う。65年、(中略)リンダと共にバンドを結成したラフレイムはそのバンドをエレクトリック・チェンバー・オーカストラ(Electric Chamber Orkustra)と名づけた。その名はすぐにオーカストラ(Orkustra)と縮小されたが、(中略)結成当時のメンバーは、デイヴッドとリンダのラフレイム夫妻、のちにダン・ヒックス&ヒズ・ホット・リックスに参加するジェイミー・レオポルド、のちにマンソン・ファミリーの一員として脚光を浴びるボビー・ボボソル(引用者注:Bobby Beausoleil)、という豪華なラインアップ。」
「67年初頭にはオーカストラの活動と並行してデイヴィッドはレオポルドと共に元シャーラタンズダン・ヒックスのニュー・バンドにも参加。ダン・ヒックス&ヒズ・ホット・リックスのオリジナル・メンバーのひとりとしてもその名を残している。」
「ジェファスン・エアプレインやグレイトフル・デッドら周囲のバンドがメジャー・レーベルと契約していく中で、ラフレイムもプロフェッショナルなマネージャーの必要性を痛感していた。
 そんな時、以前にジェファスン・エアプレインのマネージメントを手掛けていたことのあるマシュー・カッツが彼らの前に現われた。(中略)カッツはバンドに女性ヴォーカリストを加えることを提案し、スーパーマーケットで働いていた当時17歳の少女パティ・サントスをラフレイムに推薦する。カッツはさらにイッツ・ア・ビューティフル・デイというネーミングを提案し、(中略)まったく新しいバンドを結成するのだと主張した。」
「彼らは67年8~11月をメンバーのオーディションとリハーサルに費やし、やがてドラマーとベーシストがメンバーに加わった。(中略)しかし、メジャー・レーベルとの契約どころか、まともなギグの予定さえ入って来なかった。カッツがマネージャーとしての義務を果たしていないことに気づいたラフレイムらは68年1月に彼の下から離れる。」
「1969年、彼らはようやくファースト・アルバム『It's A Beautiful Day』をリリースする。」
「その後、(中略)70~73年の間に『Marrying Maiden』『Choice Quality Stuff / Anytime』『Live At Carnegie Hall』『It's A Beautiful Day... Today』という4枚のオリジナル・アルバムを残して解散した。リーダーのデイヴィッド・ラフレイムは76~77年に『White Bird』『Inside Out』という2枚のソロ・アルバムを発表。ヴォーカリストでもある二人目の妻(彼女の名もリンダ)と共に現在もミュージシャンとしての活動を続けているようだ。」


◆本CDについて◆

二つ折りブックレットにトラックリスト、「San Francisco Sound」レーベルについて(英文)、CDリスト(カラー図版4点)。投げ込み(十字折り)に吉原聖洋による解説(98年10月)と歌詞(transcribed by Gwenna Jo-Anne Humphreys)&訳詞(訳:丹美継)。

オリジナルLPは米コロンビアから1969年にリリースされました。

日本盤LPはジャズ評論家の間章(あいだ・あきら)がライナーノーツを担当していますが未見(未聴)、1980年代に独TRC盤CDで入手して、その後、国内仕様で出た本CDを再購入、しかし原盤にはバンド名とトラックリストだけでメンバーのクレジットすらないわりといいかげんな再発盤でした。
オルガン&ヴァイオリンが飛翔感と悲壮感をこもごもに醸し出す#1&2、バロックな哀感ただよう#4、ディープ・パープル「チャイルド・イン・タイム」の元ネタ#5(※)など、名盤の名に恥じないです。
※いわゆるパクリですが、パクリといえば本作のジャケもパクリだし(元絵はこちら)、元々音楽的に近いものがあるので、それはそれでよいのではないでしょうか。

暑い夏の昼下がりにジャケの山巓の少女&裏ジャケのカモメ写真(本CDでは割愛されていますが)を眺めながらききたいです。

★★★★★


Hot Summer Day


It's a Beautiful Day - White Bird - 7/7/1970 - Tanglewood