『Music in the Time of Columbus』
Grupo de Música "Alfonso X el Sabio"
CD: The Decca Record Company Limited, London
436 116-2 (1992)
Printed in Germany
MÚSICA LITÚRGICA EN LA ESPAÑA DE COLÓN
(Cancionero de Segovia)
1. Maria Virgo [plainchant] 1:06
2. Salve, Regina [Martín de Rivaflecha (d. 1528)] 4:45
3. Ave maris stella [Jacob Obrecht (c. 1450-1505)] 8:19
4. Ave verum corpus [anon.] 1:42
5-10. Officium defunctorum [plainchant] 11:14
11. Magnificat [Juan de Anchieta (1462-1523)] 5:44
12. Veni creator [Alonso de Alba (d. after 1519)] 3:06
13. Conditor alme [Marturià Prats (fl. c. 1500)] 1:40
14. O lux beata trinitas [plainchant] 1:31
15. Iesu dulcis memoria [plainchant] 1:04
16. Christus factus est. Kyrie - Qui passurus [anon.] 5:21
17. Aleph. Quomodo obscuratum est [anon.] 2:30
18. Ave Rex noster [Alonso de Mondéjar (fl. 1502-05)] 2:45
19. Osanna salvifica [anon.] 2:30
20. Pange lingua [Johannes de Urreda (fl. 1470-1500)] 5:44
#1,3-10,12-20: Cancionero de Segovia
#2: Manuscript in the Biblioteca Colombia, Seville
#11: Manuscript in the Cathedral of Tarazona
Total timing 19:57
Grupo de Música "Alfonso X el Sabio"
Luis Lozano Virumbrales: director
Plainchant:
César Martínez Escudero
Alberto González Lapuente
Darío Valbuena Pradillo
Celso Abad Amor (soloist in #16)
Rufina Fernández Galán
Ignacio de Luxán Meléndez
Pablo Miranda Escar
Miguel Angel Viñé Lerma
Manuel Heras Gómez-Escalonilla
Vocal soloists:
Carlos Mena: solfettist (soloist in #3)
Juan José Mena: countertenor
Xabier Barriola: tenor
José Luis Ormazabal: tenor
Roberto Ugarte: bass
Instrumentalists:
Ventura Rico: treble viol
Carlos García: tenor viol
Clara Hernández: bass viol
Felipe López: positive organ
Alicia Lazaro: lute
Anna Losantos: dulcian
This recording was made in the Monastery of El Parral, Segovia, in August 1991 and was monitored on B & W Loudspeakers
Producer: Chris Hazell
Engineer: Colin Moorfoot
Tape editor: Deborah Rogers
Cover: Background: Detail from a map of the Caribbean & Central America - Royal Geographical Society/Bridgeman Art Library. Inset: Detail from a tapestry: *Columbus sails into the Unknown* - Jamestown-Yorktown Foundation/ML Holmes/Bridgeman Art Library
Art direction: David Smart
◆本CD解説より（大意）◆
「ルネサンス精神の主な特徴の一つは空間の「征服」である。それはコペルニクスが太陽中心説を検証し、コロンブスがアメリカを発見し、マゼランが世界周航した時代であった。絵画においては透視図法の採用によって視覚空間が征服され、音楽においては音空間の概念が五度圏（circle of fifths）と半音階（chromatic scale）にその表現を見出した。スペインの音楽理論家バルトロメ・ラモス・デ・パレハが五度圏を探究し始めた頃、コロンブスは発見の航海のための資金の調達に奔走していた。この時代はまた、スペイン楽派の発展においても重要な時代であった。独自のスペイン様式に加えて、イタリア的なものや特にフランス・フランドル楽派の影響が認められるが、すでにヨーロッパ中が北方の作曲家たちの影響下にあった。
1501～2年と1506年に、フェリペ端麗公がスペインを訪れ、スペインとフランドルの聖歌隊が接触する機会があった。このCDで演奏されている曲のほとんどが収められている「セゴビアのカンシオネロ」がこの出来事とリンクしている可能性もある。
フェルナンドとイサベラのカトリック両王のそれぞれの宮廷聖歌隊には、フランドル楽派の作曲家ヨハンネス・デ・ウレーダ（Johannes de Urreda）をはじめとするすぐれた歌手－作曲家がいた。イサベラのカスティーリャの聖歌隊にはマルティン・デ・リバフレチャ（Martín de Rivaflecha）やアロンソ・デ・アルバ（Alonso de Alba）やアロンソ・デ・モンデハル（Alonso de Mondéjar）がおり、イサベラの死後、モンデハルはじめ数人はアラゴンのフェルナンドの聖歌隊に移り、カタロニアの作曲家マルトゥリア・プラツ（Marturià Prats）もそれに加わった。フェリペがカスティーリャ王としてスペインを訪れた時には、「セゴビアのカンシオネロ」に名を列ねるスペインの作曲家たちは皆、すでに宮廷に仕えており、そのほとんどはフェルディナンか、その娘でフェリペの妻となった「狂女（ラ・ロカ）」フアナの聖歌隊に属していた。彼らはフェリペと共にスペインを訪れたド・ラ・リューやアグリコラを含むフランドルの作曲家たちとも交流を持ったであろう。スペイン到着後まもなくフェリペは逝去したが、フアナはフェリペの合唱隊をスペインに留め、彼らや、カスティーリャの聖歌隊のマスターであったフアン・デ・アンチエタ（Juan de Anchieta）に給付金を与えた。「セゴビア」写本が編纂されたいきさつは定かでないが、フェリペのスペイン訪問時に宮廷聖歌隊のメンバーか旧メンバーだった作曲家の作品が収められていることからも、宮廷聖歌隊との密接な関係は明らかである（「セゴビア」写本にはオブレヒトのようにフェリペの聖歌隊には属していないが、当時高名だった音楽家の作品も収められている）。こうしたフランス・フランドル楽派の作曲家たちにアンチエタが肩を並べているのは、おそらく彼自身が「セゴビア」写本の編纂に参画していたことを示唆するものであろう。彼は1506～8年にフランドルの歌手たちと共にフアナの聖歌隊に所属していたし、フアナの指示でフランドルを訪れているが、どうや父フェルナンドをスパイする役を仰せつかっていたらしい。
「セゴビアのカンシオネロ」以外からの2曲に関しては、＃2はセビリアのビブリオテカ・コロンビーナ所蔵の写本に、＃11はタラソナ大聖堂所蔵の写本に拠ったが、それらの写本にも宮廷聖歌隊とリンクするレパートリーが収められている。
◆本CDについて◆
ブックレット（全32頁）に解説「Liturgical music in Columbus's Spain/Musique liturgique dans l'espagne de Christophe Colomb/Liturgische Musik in Spanien zu Columbus' Zeit/La musica liturgica nella Spagna di Colombo/Música litúrgica en la España de Colón（コロンブスの時代のスペインにおける典礼音楽）」（Luis Robledo Estaire／原文はスペイン語、英・仏・独・伊訳併載）、歌詞（ラテン語）、図版（モノクロ）2点。
日本盤は『コロンブス時代のスペイン宗教音楽〈セゴビアのカンシオネロ〉』（アンサンブル“賢王アルフォンソ10世”／指揮： ルイス・ロサノ・ビルムブラレス）（ポリドール POCL-1279）としてリリースされています（「コロンブスの新大陸発見500年」記念）。
★★★★☆
Ave maris stella
