幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

山田千代美 『伊福部昭の古歌』

山田千代美
伊福部昭の古歌』
Chiyomi Yamada
Akira Ifukube: Gilyak Songs


CD: Carpe Diem Records/Nostalgia
CD-16316/Nostalgia 1701 (2018年) 
Made in Germany 
輸入・発売: 株式会社 東京エムプラス 

 

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帯文: 

古楽大国オランダで古楽唱法を究めた山田千代美が、伊福部昭の内なる世界を歌う。」


伊福部昭の古歌 
Music by Akira Ifukube (1914-2006)

ギリヤーク族の古き吟謡歌 
伊福部昭 詩 
Ancient folk songs of Gilyak Tribes (1946)
1.アイ アイ ゴムテイラ 2:08 
ai ai gomteira
2.彼方の河び 4:52 
takkar
3.苔桃の果拾ふ女の歌 4:50 
ujunğajujana
4.熊祭に行く人を送る歌 6:03 
lokoru: ja

5.古代日本旋法による踏歌(ギター・ソロ) 19:47 
Tōka, Cantilena Ballabile sul Mode Antico di Giappone (1967)
guitar solo

サハリン島土蛮三つの揺籃歌 
伝承詩 
Three lullabies among the native tribes on the island of Sakhalin in the original tongues (1949)
6.ブールー ブールー(キーリン族) 6:02
bu:lu: bu:lu: (Kilin tribes)
7.ブップン ルー(ギリヤーク族) 3:57 
buppun lu: (Gilyak tribes)
8.ウンプリ ヤーヤー(オロッコ族) 2:07 
umpri ja: ja: (Oroke tribes)

Total time 49:49


山田千代美(ソプラノ)[#1-4,6-8]
Chiyomi Yamada - soprano
山田令子(ピアノ)[#1-4,6-8] 
Reiko Yamada - piano
ダーヴィッド・ヴァン・オーイエン(ギター)[#5] 
David van Ooijen - guitar

Recorded July 11-13, 2017 

Recording location: Kirishima International Concert Hall “みやまコンセール” (Japan)
Balance engineer & recording producer: Jonas Niederstadt
Corporate Design: Tim+Tim, timandtim.com
Cover photography: Simon Keckeisen
Translation of song texts: Junko Nagiyama
Translation of liner notes: Miki Satoh, Jonas Niederstadt
Booklet photography: Jonas Niederstadt


◆本CD解説「伊福部昭の内なる世界」(山田千代美)より◆ 

「彼の「大きさ」の正体は何か。古代、人々は祀りごとで酒を酌み交わし、舞を舞い、歌い、戯れ、宇宙/神と一体となろうとした。酒は陶酔の中で神に近づき、対話する為の神聖なものであった。歌と舞とは常に一対であり、人は大地を踏みならし、手足を伸ばし、声を上げ、宇宙の波動と共振した。そしてそれが祈りであった。神道では、心とは実体のない波動。その心がなければ何一つ生まれない。この地球上に存在する物体は全て心の波動、すなわち神の心から生まれたと捉えられている。我々の祖先は心の宿る物体全てに感謝し祈りを捧げてきた。この少なくも縄文の時代まで遡ることのできる伝統の精神を根とするところに、おそらく、伊福部の絶対的な大きさはある。古代アジア民族の伝統歌への感動から生まれたというこれらの曲は、歴史的音楽でもなければ、日本音楽でも西洋音楽でもない。まさに古代人の祈りであり、彼自身の祈りである。」

「音楽を独学で学んだ伊福部昭は、西洋の楽器と音符を媒介とし、若いころは別世界の林業に携わりながら、アイヌ民族との接触の中で独自のスタイルを生み出して行く。彼は何と700年から明治まで続いた出雲の神宮の子孫なのだそうだが、彼の精神は、西洋至上主義の時代にあっても常に、高度な東洋の精神文化の上にあった。そこに近代西洋の概念の入る隙は全くない。そんな彼の作品が、これまで一度も非西洋クラシックマナーで演奏されたことがないのは何と残念なことか。彼は古楽にも深い関心を寄せていたが、それは古楽の遥か彼方に、西洋と日本を結ぶルーツを本能的に感じていたからではなかろうか。」

「時代を、古楽からグレゴリオ聖歌、そしてさらにその基である記譜のない口承伝承のモード聖歌へと遡って歌ってみよう。起点も終止点もなく、運動と豊かな変遷を繰り返えすそれらの音楽は、まさに無限の宇宙の営みそのものである。その絶妙な比率は、決して音符に書き表すこともできなければ、数えようとしても数えられない。西洋伝統のモードの音楽は、秩序ある、しなやかな宇宙の波動に身を委ね、調和することであった。この非言語的宇宙の摂理/モードの原理に焦点を当てた時、東西を問わず、全ての伝統音楽はひとつとなって結ばれる。」

「この数年、私は常に伊福部の楽譜を手元に置き、彼の音楽はこのモードの原理に基づくモーダルマナーで歌われて初めて意味があるのではないかと考えて来た。そして私の伊福部への挑戦が始まった。(中略)それは限界のない伊福部の内なる世界への挑戦である。」


◆本CDについて◆ 

デジパックにブックレット貼付。デジパックは表紙のモノクロ写真の部分がデボス加工になっています。ブックレット(全30頁)に山田千代美による解説と楽曲解説・歌詞(日本語と英訳)、演奏者紹介(日本語・英語)、写真図版(モノクロ)4点。

リュート奏者・佐藤豊彦の自主レーベル「のすたるぢあ(Nostalgia)」とドイツの「Carpe Diem Records」の共同リリースですが、「カルペ・ディエム」(この日をつかめ)=今日を楽しむ「リア充」と、過去に思いを馳せ過去に生きる「ノスタルジア」、一見相矛盾するようですが、しかし過去や未来のオーヴァートーンを伴う現在をノスタルジアの対象としてノスタルジックに充実したその日その日を送ることだってできるのではなかろうか。

★★★★★ 


Ancient Folk Songs of Gilyak Tribes: No. 1, Ai ai gomteira

youtu.be

Ancient Folk Songs of Gilyak Tribes: No. 2, Ujungajujana

youtu.be

Ancient Folk Songs of Gilyak Tribes: No. 3, Takkar

youtu.be

Ancient Folk Songs of Gilyak Tribes: No. 4, Lokoru ja

youtu.be

Toka

youtu.be

 

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