幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『ラヴェル: 歌劇「子供と魔法」/歌曲集「シェエラザード」/夢幻劇「シェエラザード」序曲』 カトリーヌ・デュボス/モントリオール交響楽団/シャルル・デュトワ

ラヴェル: 歌劇「子供と魔法」/歌曲集「シェエラザード」/夢幻劇「シェエラザード」序曲』 
カトリーヌ・デュボス/モントリオール交響楽団シャルル・デュトワ 

Ravel 
L'Enfant et les sortilèges
Shéhérazade 

Colette Alliot-Lugaz 
Catherine Dubosc 
Dutoit 
Montréal 


CD: London/ポリドール株式会社 
POCL-1537 (1995年) 
¥3,200(税込)(税抜価格¥3,107)

 

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帯文: 

ラヴェルの第一人者デュトワによるエスプリに満ちたオペラ! 
“最もフランス的なオーケストラ”モントリオール響と、フランス系の歌手陣による、まさに理想的な〈子供と魔法〉の登場です!!」


ラヴェル 
Ravel (1975-1937) 


歌劇「子供と魔法」(1920-25) 
L'Enfant et les sortilèges 

第1部 
Première partie 
1.序奏―「本を勉強するのはいやだなあ」(坊や/ママ) 4:21 
Introduction - "J'ai pas envie de faire ma page" (L'Enfant / Maman
2.「お相手を相勤めさせていただきます」(肘掛椅子/安楽椅子/大時計/坊や/ティー・ポット/中国の茶碗) 5:42 
"Votre serviteur humble, Bergère" 
(Le fauteuil / La Bergère / L'Horloge comtoise / L'Enfant / La Théière / La Tasse) 
3.「やっ!僕のきれいな中国のお茶碗だ!」(坊や/火/羊飼いたち/羊飼いの少女たち) 6:09 
"Oh! Ma belle tasse chinoise!" (L'Enfant / Le feu / Les Pâtres / Les Pastoures) 
4.「あっ!彼女だ!彼女だ!」(坊や/お姫さま) 6:24 
"Ah! C'est Elle! C'est Elle!" (L'Enfant / La princesse) 
5.「二つの蛇口が一つの水槽へ水を流す!」(小人の老人/坊や/数字) 4:24 
"Deux robinets coulent dans un réservoir!" (Le petit vieillard / L'Enfant / Les Chiffres) 

第2部 
Deuxième partie 
6.「ああ、お前にまた会えて何て愉快なんだろう、庭よ!」(坊や/木/合唱/とんぼ/こうもり) 5:20 
"Ah! Quelle joie de te retrouver, Jardin!" (L'Enfant / L'Arbe / Les Autres Arbes / La Libellule / La Chauve-souris) 
7.雨蛙の踊り―「逃げろよ、馬鹿野郎!」(りす/雨蛙/坊や) 4:58 
Danse des rainettes - "Sauve-toi, sotte!" (L'écureuil / La Rainette / L'Enfant) 
8.「あっ!ナイフを持った子供だ!」(動物と木) 5:57 
"Ah! C'est l'Enfant au couteau!" (Les bêtes et les arbes) 

坊や: コレット・アリオット=ルガズ(ソプラノ) 
L'Enfant: Colette Alliot-Lugaz (Soprano) 
肘掛椅子/牝猫/ふくろう/お姫さま: カトリーヌ・デュボス(ソプラノ) 
La bergère / La chauve-souris / La chouette . La princesse: Catherine Dubosc (Soprano) 
羊飼いの少女/火/うぐいす: マリ=フランソワ・レフォール(ソプラノ) 
Une pastourelle / Le feu / Le rossignol: Marie-Françoise Lefort (Soprano) 
りす/とんぼ/こうもり: オデット・ボープレ(メッゾ・ソプラノ) 
L'ecureuil / La libellule / La chatte: Odette Beaupre (Mezzo-Soprano) 
ママ/中国の茶碗/羊飼いの少年: クローディーヌ・カールソン(メッゾ・ソプラノ) 
Maman / La tasse chinoise / Un patre: Claudine Carlson (Mezzo-Soprano) 
ティー・ポット/小人の老人/雨蛙: ジョルジュ・ゴーティエ(テノール) 
La théière / Le petit vieillard / La rainette: Georges Gautier (Tenor) 
大時計/牡猫: ディディエ・アンリ(バリトン) 
L'horloge comtoise / Le chat: Didier Henry (Baritone) 
安楽椅子/木: ライオネル・サラザン(バス) 
Le fauteuil / Un arbre: Lionel Sarrazin (Bass) 

モントリオール交響楽団 
Orchestre Symphonique de Montréal 
指揮: シャルル・デュトワ 
Conducted by Charles Dutoit 
モントリオール交響合唱団(合唱指揮: イワン・エドワーズ) 
Choeur de l'Orchestre Symphonique de Montréal (director: Iwan Edwards) 


歌曲集「シェエラザード」(1903) 
Shéhérazade - Three Poems for Voice & Orchestra 
9.第1曲: アジア 10:02 
I. Asie 
10.第2曲: 魔法の笛 3:06 
II. La Flûte enchantée 
11.第3曲: つれない人 3:40 
III. L'Indifférent 

モントリオール交響楽団 
Orchestre Symphonique de Montréal 
指揮: シャルル・デュトワ 
Conducted by Charles Dutoit 
カトリーヌ・デュボス(ソプラノ) 
Catherine Dubosc (Soprano) 


12.夢幻劇「シェエラザード」序曲(1898) 12:38 
Shéhérazade - Overture de Féerie 

モントリオール交響楽団 
Orchestre Symphonique de Montréal 
指揮: シャルル・デュトワ 
Conducted by Charles Dutoit 


Recording
Producer: Ray Minshull 
Engineers: John Dunkerley, Jonathan Stokes 
Location: St. Eustache, Montréal 
Dates: 14th & 15th October 1992 

This recording was using monitored on B & W Loudspeakers 


◆本CD解説(サイモン・ライト)より◆ 

「1890年代の後期に、ラヴェルはマーテルランクとE.T.A.ホフマンの作品を台本とする舞台作品に思いをめぐらせていた。1905年ごろ、ゲルハルト・ハウプトマンの戯曲『沈鐘』のA. フェルディナン・エロールドによる仏訳に基づくオペラに本気で取り組み始めた。いたずら好きの小妖精、ニンフ(森の妖精)を初め森の住民たちを登場人物として、ラヴェルはいくつかの場を書き上げ、出版者のデュランと出版上の打合せまでしたのだが、1914年にその計画を破棄してしまった。同時に、彼は喜歌劇《スペインの時》(1907-09)にとりかかっていたのだった。」
ラヴェルが《沈鐘》の計画を放棄した折から、新しいオペラ企画が持ちこまれた。パリ・オペラ座の新任の総監督ジャック・ルーシェがミュージック・ホール(大衆的な演芸場)のスターで女流作家としても人気のあったコレットシドニー・ガブリエル・クローディーヌ・コレット夫人(1873-1954)のペンネーム〕に“幻想的バレエ”の台本を執筆してもらい、ラヴェルに曲をつけてほしいということであった。速筆家のコレットは8日間で書き上げてしまったが、ラヴェルはスコアを完成するのに何年もかかったのである。その原因はコレット側にもあった。最初、彼女は『私の娘のためのディヴェルティスマン(嬉遊曲)』という台本をラヴェルに示した。ラヴェルの反応は皮肉っぽかったが、極めてシリアスなものだった: 「残念ながら、私には娘はいないんですよ」(ラヴェルは生涯独身だった)。
 台本のタイトルは《子供と魔法》に変更された。結局、ラヴェルは筋書のばらばらになっている幻想的な要素を統合するために真剣に立ち向かうことになった。おしゃべりする肘掛椅子や炉の火、歌を歌う猫、踊り出すティーカップなどのコレットの幻想の世界に親近感を抱いたラヴェルは絶妙なスコアを完成したのである(《沈鐘》のために書いた断章も活用した)。」
「初演はパリではなく、1925年3月21日、モンテ・カルロで行なわれた。」


◆本CDについて◆ 

三方背スリーブケースにジュエルケースと別冊ブックレット、ジュエルケースにブックレット。
ブックレット(全16頁)にトラックリスト&クレジット、「プログラム・ノート」(サイモン・ライト/訳: 三浦淳史)、「アーティスト紹介」(三浦淳史/長谷川勝英)、写真図版(モノクロ)4点。別冊ブックレット(全28頁)に歌劇「子供と魔法」歌詞対訳(松本太郎・訳)、歌曲集「シェエラザード」歌詞対訳(窪田般彌・訳)。

英国ウェッジウッド製の「ティー・ポット」はあやしげな英語で歌い、「中国の茶碗」はさらにあやしげな中国語(?)で歌っています。しかし「ピンポン、マージャン」はよいとして「ハラキリ、セッシュー・ハヤカワ」はいかがなものか。初演は1925年モンテカルロとのことですが、ウィキペディアによると、映画スターの早川雪洲1924年の冬にモンテカルロに赴いて1926年まで滞在していたようです。

★★★★☆ 

 


Ping, pong, ping, pong, 
Keng-ca-fou, Mah-jong, 
keng-ca-fou, puis'-kong-kong-pran-pa
Ca-oh-râ toujours l'air chinoâ. 
Cas-ka-ra, harakiri, Sessue Hayakawa. 
Kek-ta fouhtuh d'mon Kaoua?」