幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『マーラー:大地の歌』  ミラー/ヘフリガー/ワルター指揮 ニューヨーク・フィル

マーラー大地の歌』 
ミラー/ヘフリガー/ワルター指揮 ニューヨーク・フィル 

Bruno Walter 
Mahler: Das Lied von der Erde 
Mildred Miller 
Ernst Häflinger 
New York Philharmonic 


CD: Sony Records/Sony Music Entertainment (Japan) Inc. 
SRCR 2336 (1999年) 
定価¥1,995(税抜価格¥1,900) 

 


帯文: 

マーラー生誕百年祭の際に行った、ニューヨーク・フィルとの最後の録音。」


帯裏文: 

「巨匠ブルーノ・ワルターが晩年に遺したステレオ録音全33タイトルを、オリジナル・カップリングでリリース。
ニューヨークのSMEスタジオで、オリジナル・アナログ3chマスターから“DSD”にミックスダウンし“SBMダイレクト”処理。
さらにCD成形において、スーパー・オーディオCDのためにソニーが開発した“PSP”(ピット・シグナル・プロセッシング)を採用。
オリジナル・マスター・テープの伸びやかさと豊かさを見事にCD化したファン待望のシリーズです。
『オリジナル・ジャケット・デザイン使用』」


マーラー GUSTAV MAHLER (1860-1911) 

大地の歌 
Das Lied von der Erde 

1.第1楽章 「地上の悲愁を詠える酒席の歌」 9:33 
Das Trinklied vom Jammer der Erde 
2.第2楽章 「秋に独りいて淋しきもの」 9:54 
Der Einsame im Herbst 
3.第3楽章 「青春について」 3:11 
Von der Jugend 
4.第4楽章 「美しさについて」 6:47 
Von der Schönheit 
5.第5楽章 「春にありて酔えるもの」 4:26 
Der Trunkene im Frühling 
6.第6楽章 「告別」 29:03 
Der Abschied 

(Total time  62:58) 


ミルドレッド・ミラー(メゾ・ソプラノ) 
Mildred Miller, Mezzo-Soprano 
エルンスト・ヘフリガー(テノール) 
Ernst Haefliger, Tenor 
ブルーノ・ワルター指揮 
Bruno Walter, Conductor 
ニューヨーク・フィルハーモニック 
New York Philharmonic 


Producer: John McClure 
Recording: Manhattan Center, New York City, April 18 & 25, 1960 


黒田恭一による解説(「曲目について」)より◆ 

「「大地の歌テノールとアルト(またはバリトン)と管弦楽のための交響曲」は、1911年11月20日ミュンヘンで、作曲者の愛弟子であり、その初演を託されていたブルーノ・ワルターによって、初演された。つまりこの作品が初演された時、すでにマーラーは、この世の人ではなかったのである。」
「この作品においてマーラーの音楽が集大成されているということは、充分に可能である。ハンス・ベトゲ大意訳した漢詩集「中国の笛」から選んだ7つの詩に、マーラー自身が手を加えたものによっている。」


◆「大地の歌」歌詞(訳:深田甫)より◆ 

「地上の悲愁を詠える酒席の歌」より: 

「穹窿(きゅうりゅう)はとことわに蒼く、しかも大地は
揺るぎなくながらえ 春をむかえては百花繚乱。
しかるに人間なる君よ、君はいかほどの生を永らえるものぞ。
百歳とはゆるされぬ身で うつつに耽るとも 
すべてはこの地上の儚きたわごとに興ずるのみ!」

「生は暗く、死もまた暗し!」

「告別」より: 

「行くところ何処にやあらん。我れは往く、
山中を放浪せむ。孤独を癒す安らぎ求め。
赴く先は故郷(ふるさと)、終(つい)の棲みか。漂白(さすら)うとも
二度と異国に足を踏みいれることはなし。
心すでに鎮まれば心の時いたるを待たむ。

大地も春きたりなば
百花舞い緑萌えいづ。
何処に往くとも遥けき彼方は光り青めり。
永遠(とことわ)に……永遠(とことわ)に……」


◆本CDについて◆ 

ブックレット(全20頁)にトラックリスト&クレジット、「曲目について」(黒田恭一)、「ブルーノ・ワルター」(ソニー・クラシカル資料より)、歌詞対訳(訳:深田甫)、「DSDとは何か?――このCDに使われている高音質技術」、「MASTER SOUND」について、写真図版(モノクロ)3点。ブックレット裏表紙にオリジナルLP(1963年)ライナーノーツ(一部省略)が縮小掲載されています。

ワルターの「大地の歌」は1936年の世界初録音盤や、1952年のキャスリーン・フェリアー盤(どちらもオケはウィーン・フィル)が評価が高いですが、ニューヨーク・フィル盤はステレオ録音でききやすいのでよいです。メトロポリタン美術館所蔵「王羲之観鵝図」をあしらったジャケット・デザインもよいです。 

★★★★★