『マーラー:交響曲第1番《巨人》、さすらう若人の歌』
ハイティンク
Mahler: Symphony No.1 / Lieder eines fahrenden Gesellen
Prey / Royal Concertgebouw Orchestra / Haitink
CD:Decca
企画・販売:Tower Records
制作・発売:ユニバーサル ミュージック合同会社
シリーズ:Tower Records Vintage Collection+plus Vol. 28
PROC-2207 (2019年)
¥1,143(税抜)+税
Made in Japan
帯文:
「ハイティンク再録音の1972年収録の「巨人」を、本国オリジナル・マスターテープより新規で復刻、充実の演奏内容を優秀録音!」
「ルビジウム。クロック・カッティングによるハイ・クオリティ・サウンド」
グスタフ・マーラー
Gustav Mahler (1860-1911)
交響曲 第1番 ニ長調 《巨人》
Symphony No. 1 in D major
1.第1楽章:Langsam. schleppend 16:25
2.第2楽章:Kräftig bewegt 8:02
3.第3楽章:Feierlich und gemessen, ohne zu schleppen 11:24
4.第4楽章:Stürmisch bewegt 20:27
さすらう若人の歌
Lieder eines fahrenden Gesellen
5.第1曲:いとしい人が婚礼をあげる時 3:46
Wenn mein Schatz Hochzeit macht
6.第2曲:今朝、野辺を行くと 4:13
Ging heut' morgen übers Feld
7.第3曲:僕は灼熱の刃をもっている 2:57
Ich hab' ein gluhend Messer
8.いとしい人の二つの青い瞳 5:38
Die zwei blauen Augen von meinem Schatz
ヘルマン・プライ(バス・バリトン)([5]-[8])
Hermann Prey, bass-baritone
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
Royal Concertgebouw Orchestra
指揮:バルナルト・ハイティンク
Conducted by べřなřďHaitink
録音:1970年5月([5]-[8])、1972年5月([1]-[4]) アムステルダム、コンセルトヘボウ
「本国のオリジナル・アナログ・マスターよりハイビット・ハイサンプリング(24bit/192khz)化したマスターを使用」
◆柴田龍一による楽曲解説より◆
「カッセル王立歌劇場の副指揮者時代の若きマーラーは、同歌劇場のソプラノ歌手ヨハンナ・リヒターに失恋するという体験をもった。この失恋体験を綴った自作の詩をテクストとしたこの《さすらう若人の歌》は、マリオン・フォン・ウェーバー夫人に対する失恋体験を契機として作曲されたとされている交響曲第1番《巨人》と並んで、若きマーラーの筆から生まれた自伝的作品といえる創作の1つに数えられている。一方、交響曲とオーケストラ伴奏による歌曲は、マーラーの創作活動の2本柱としての意味を有しているが、前者の出発点に位置する作品が交響曲第1番であるのに対して、この《さすらう若人の歌》は、後者の出発点に位置する興味深い作品でもある。そして、交響曲第1番の第1楽章とこの歌曲の第2曲、第3楽章と第4曲は、いずれも共通の素材が用いられた音楽となっているが、この2曲が切り離して考えることができない双生児的な関係にあることは、非常に興味をそそる問題としてクローズ・アップされる必要があるだろう。」
◆「さすらう若人の歌」リブレットより(訳:歌崎和彦)◆
「僕は、黒い棺(ひつぎ)に身を横たえて、
できるなら二度と眼を開けないでいたい!」
「僕は静かな夜に
出て行った、
そう、暗い荒野をこえて。」
「道の傍らに1本の菩提樹が立っていた、
僕は、そこで初めて安らかに眠った!
菩提樹の木の下で、
その木は僕の上に花びらを
雪のように降らせた。
すると僕は、現実が
どんなものかを忘れてしまい、
すべてが、すべてが再び好ましくなり、
ああ、すべてが再び好ましいものとなった!
すべて、すべてが!
愛も悩みも!
そして、この世も夢も!」
◆本CDについて◆
ブックレット(全14頁)に山野雄大による解説(2019年5月)、柴田龍一による楽曲解説、「さすらう若人の歌」歌詞&対訳(訳:歌崎和彦)(「楽曲解説と歌詞対訳は既発売CDのブックレットから再転載しました。」)、オリジナルLPジャケ&裏ジャケ画像(カラー)4点(表紙画像を含む)。インレイにトラックリスト&クレジット。
オリジナルLPはフィリップスですが、フィリップスのクラシック部門は2007年からデッカ傘下なので本CDでは表紙のロゴが「DECCA」になっています。ブックレット表紙見返しに「巨人」オリジナルLP(1972年、Philips 6500 342)裏ジャケ画像、裏表紙に「若人の歌」収録LP(「なき子をしのぶ歌」を併録/1970年、Philips 6500 100)のジャケ画像、裏見返しに同LP裏ジャケ画像が掲載されています。
第1番の第3楽章で使用されている民謡「フレール・ジャック」は、ウィキペディアによるとラモー作曲とあったり、「オーストリアなど一部の地域で葬送の挽歌を連想させるような短調で歌われていた」とあったりして興味深いですが、眠っている人に「朝だから起きなさい」と呼びかける歌詞は、象徴的にいうと死と復活であって、第2番「復活」(「お前は甦る、短い憩いの後で」)の予告編であるといってもよいです。
本CDは音質もよいし音量がわりと一定しているので音が極端に大きくなったり小さくなったりしないのでききやすくてよいです。
★★★★★