『ラヴェル歌曲全集』
Maurice Ravel
Mélodies
Teresa Berganza
Mady Mesplé
Gabriel Bacquier
Felicity Lott
Jessye Norman
José van Dam
Dalton Baldwin
Michel Plasson / Orchestre du Capitole de Toulouse
CD:EMI Classics/東芝EMI株式会社
TOCE-11169~71 (1998年) [3枚組]
定価4,500円(本体4,286円)
Made in Japan
DISC 1
シェヘラザード(クランゾール詩)
Shéhérazade
1.I:アジア 9:19
Asie
2.II:魔法の庭(フルート・ソロ:フィリップ・ブークリ) 2:49
La flûte enchantée
3.III:つれない人 4:01
L'Indifférent
4.ハバネラ形式のヴォカリーズ 2:58
Vocalise-Etude en forme de habanéra
5.スペインの歌(民謡) 2:38
Chanson espagnole
6.草の上(ヴェルレーヌ詩) 2:14
Sur l'herbe
博物誌(ルナール詩)
Histoires naturelles
7.I:孔雀 4:38
Le paon
8.II:こおろぎ 3:05
Le grillon
9.III:白鳥 3:09
Le cygne
10.IV:かわせみ 2:24
Le martin-pêcheur
11.V:ほろほろ鳥 3:12
La pintade
12.フランスの歌(リムーザン民謡) 1:59
Chanson française
テレサ・ベルガンサ(メゾ・ソプラノ)([1]~[5])
Teresa Berganza (Mezzo-Soprano)
ガブリエル・バキエ(バリトン)([6]~[12])
Gabriel Bacquier (Baryton)
ミシェル・プラッソン指揮 トゥールーズ・キャピトル劇場管弦楽団([1]~[3])
Michel Plasson (cond.) Orchestre du Capitole de Toulouse
ダルトン・ボールドウィン(ピアノ)([4]~[12])
Dalton Baldwin (Piano)
DISC 2
5つのギリシャ民謡(M.D. カルヴォコレッシ仏訳)
5 Mélodies populaires grecques
1.I:花嫁の目ざめ 1:15
Le réveil de la mariée
2.II:向こうの教会へ 1:34
Là-bas, vers l'église
3.III:俺と較べられる伊達男は誰だ? 0:51
Quel galant m'est comparable
4.IV:乳香樹を摘む女たちの歌 2:53
Chanson des cueilleuses de lentisques
5.V:何と楽しい! 0:47
Tout gai!
6.トリパトス 1:46
Tripatos
7.恋に死んだ女王のためのバラード(マレ詩) 4:39
Ballade de la reine morte d'aimer
8.花のマント(クラヴォレ詩) 3:39
Manteau de fleurs
9.夢(ファルグ詩) 1:08
Rêves
2つのヘブライの歌
2 Mélodies hébraîques
10.I:頌栄の祈り(カディッシュ) 4:54
Kaddish
11.II:永遠の謎 1:29
L'énigme éternelle
12.マイエルケ――ヘブライの歌 4:49
Chanson hébraîque
ドゥルシネア姫に思いを寄せるドン・キホーテ(モラン詩)
Don Quichotte à Dulcinée
13.I:ロマネスクな歌 2:01
Chanson romanesque
14.II:叙事的な歌 3:21
Chanson épique
15.III:乾杯の歌 1:41
Chanson à boire
16.ロンサール己が魂に(ロンサール詩) 2:09
Ronsard à son âme
17.聖女(マラルメ詩) 2:19
Sainte
18.激しい風が海のかなたから(レーニエ詩) 2:16
Les grands vents venus d'outremer
19.大きな黒い眠りは(ヴェルレーヌ詩) 3:35
Un grand sommeil noir
20.イタリアの歌 1:26
Chanson italienne
マディ・メスプレ(ソプラノ)([1]~[9])
Mady Mesplé (Soprano)
ヨセ・ファン・ダム(バリトン)([10]~[20])
José van Dam (Baryton)
ダルトン・ボールドウィン(ピアノ)
Dalton Baldwin (Piano)
DISC 3
ステファーヌ・マラルメの3つの詩
3 Poèmes de Stéphane Mallarmé
1.I:溜息 4:11
Soupir
2.II:むなしい願い 4:35
Placet futile
3.III:もろいガラスの壺の 3:09
Surgi de la croupe et du bond
4.おもちゃのクリスマス(ラヴェル詩) 3:08
Le Noël des jouets
クレマン=マロの2つの諷刺詩
2 Epigrammes de Clément Marot
5.I:雪を投げつけたアンヌ 2:28
D'Anne qui me jecta de la neige
6.II:スピネットを弾くアンヌ 1:47
D'Anne jouant de l'espinette
7.スコットランドの歌(バーンズ詩) 2:38
Chanson écossaise
マダガスカル島民の歌(パルニ詩)
Chansons madécasses
8.I:ナアンドーヴ 5:23
Nahandove
9.II:アウア! 3:33
Aoua!
10.III:楽しいことだ 4:03
Repos-Il est doux
11.紡ぎ車の歌(ルコント・ド・リール詩) 4:09
Chanson du rouet
12.こんなにもうち沈んで!(ヴェルハーレン詩) 4:15
Si morne!
フェリシティ・ロット(ソプラノ)([1]~[7])
Felicity Lott (Soprano)
ジェシー・ノーマン(ソプラノ)([8]~[12])
Jessye Norman (Soprano)
ミシェル・プラッソン指揮 パリ管弦楽団室内アンサンブル([1]~[3])
Michel Plasson (cond.) members of Orchestre de Paris
ダルトン・ボールドウィン(ピアノ)
Dalton Baldwin (Piano)
ミシェル・デボスト(フルート)&ルノー・フォンタナローザ(チェロ)([8]~[10])
Michel Debost (Flûte) Renault Fontanarosa (Violoncelle)
Directeur Artistique: ERIC MACLEOD
Ingénieur du son: SERGE RÉMY
DISC 1 [1]-[3]: Enregistrement à la Halle-aux-Grains Toulouse: 4, 5/7/81
DISC 1 [4][-[12]: Enregistrement à la Salle Wagram Paris
DISC 1 [4][5]: 21/1/82 / DISC 1 [6]-[12]: 20/5/81 et 12/12/83
DISC 2 [1]-[11]: 10, 11, 12/1/83, 12/12/83, 29, 30/9/81, 7, 8/11/83
DISC 2 [12-[20]: 29, 30/9/81 et 7, 8/11/83
DISC 3 [1]-[7]: 1 et 2/3/83
DISC 3 [8]-[12]: 20/7/83
Remaster Engineer: Yoshio Okazaki
◆本CD「曲目解説」(丸山亮)より◆
「ロシア・バレエ団を率いるディアギレフは、1913年、ムソルグスキーのオペラ『ホヴァンシチーナ』の管弦楽パートを手直ししてパリで舞台にかける考えをもっていた。このため彼は、ジュネーヴに近い湖畔の町クラランスにラヴェルとストラヴィンスキーを招き、編曲を委ねる。2人はそこで1つの仕事を進めるうち、互いに大きな感化を及ぼし合うこととなったのだ。ラヴェルにとっては2つの大きな発見があった。1つは、ストラヴィンスキーを通じて知ったシェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」で、もう1つは、ストラヴィンスキー自身の「春の祭典」だ。
「月に憑かれたピエロ」は、ストラヴィンスキーにもラヴェルにも、よほど斬新な音楽と映ったらしく、声楽と小編成の室内楽という組み合わせをそのまま採用して、ストラヴィンスキーは「日本の抒情詩による3つの歌曲」を、ラヴェルはこの「マラルメの3つの詩」を作曲することになる。」
「奇妙なことに、ドビュッシーもこの時期、マラルメの3篇をメロディーにしていた。そのうち「溜息」と「むなしい願い」は、作品の中の配列まで両者に共通する。作曲の承諾を求められたマラルメの遺族は、申し出の早かったラヴェルには快諾したものの、出おくれたドビュッシーには重複しない3つめの「扇」のみの許可しか、初め与えなかったといわれる。これはラヴェルのとりなしもあって、最終的に全部が許可されるのだが、2人が示し合わせたのでもなく選んだ結果が一致したことを、ドビュッシーは「医学会での報告に値する」とまでふしぎがったという。」
「この曲は1914年の1月、独立音楽教会のコンサート(サル・エラール)で初演された。それに先立って、ラヴェルが協会の委員に当てた手紙がある。なかでラヴェルは自作の「ステファーヌ・マラルメの3つの詩」(当時第3曲「もろいガラスの壺の」は完成していなかった)とともに、シェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」とストラヴィンスキーの「日本の抒情詩による3つの歌曲」を同じプログラムに組んではどうかともちかけている。結局そのコンサートではラヴェルとストラヴィンスキーが並び、シェーンベルクがパリで聞かれるのは、もっと後の1922年のこととなる。」
◆本CDについて◆
ワンピース貼箱にCD3枚(不織布ケース入)とブックレット。ブックレット(全64頁)にトラックリスト&クレジット、「フランス歌曲とラヴェル」(丸山亮)、「曲目解説」(丸山亮)、「主な演奏者たち」(「1992年発売のTOCE-7694より転載致しました」)、歌詞&対訳(窪田般彌)。
歌詞はフランス語のみならずスペイン語、イタリア語、ドイツ語、英語(スコットランド方言)、アラム語、ギリシャ語など。ドビュッシー歌曲全集では過剰なヴィブラートがやや耳障りだったソプラノのメスプレさんもラヴェルではそれほど気にならないです。というかギリシャ語で歌っている「トリパトス」などはむしろよいです。EMIの歌曲全集シリーズ(フォーレ、ドビュッシー、プーランク)の常連エリー・アメリングは本CDには参加していないですが、アメリングのラヴェルはエラート(Erato)から出た『ラヴェル歌曲集』(ピアノはルドルフ・ヤンセン)で聞けます。個人的には「シェヘラザード」のエグゾティスムと耽美(「私は見てみたい、薔薇と血を」)、「大きな黒い眠りは」「こんなにもうち沈んで!」の鬱々状態が心地よいです。現代音楽的な響きの「マダガスカル島民の歌」はたいへん興味深いです。
★★★★★
Chansons madécasses