幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

ジョン&ビヴァリー・マーティン  『ザ・ロード・トゥ・ルイン +1』

ジョン&ビヴァリー・マーティン 
ザ・ロード・トゥ・ルイン +1』 

John & Beverley Martyn 
The Road to Ruin 


CD: Island 
制作:インターナショナル/USM 
発売・販売元:ユニバーサル ミュージック合同会社 
シリーズ:初CD化&入手困難盤復活!! ロック黄金時代の隠れた名盤 1965-1975編 
UICY-79455 (2021年) 
定価¥1,100(本体¥1,000 税率10%) 
Made in Japan 

 


帯文:

「ブリティッシュ・フォーク・シーンの重鎮シンガー・ソングライター
ジョン・マーティンと彼の当時の妻ビヴァリーによるデュオのセカンド・アルバムにして最後のアルバム。英国然としていながらも、ザ・バンドにも通じるダウン・トゥ・アースなサウンドの中に、都会的でジャジーな雰囲気も漂わせるアレンジが秀逸な一枚。ダニー・トンプソン、デイヴ・ペグ他が参加。」

「■発表:1970年 
■マスター:2005年 
■解説・歌詞・対訳付」

「おことわり:この商品は既発商品のアートワークを流用しているため、表記がその発売当時のままとなっております。また、曲により一部お聴き苦しい箇所がございますが、オリジナル・マスターに起因するものです。予めご了承ください。」


1.プリムローズ・ヒル [2:58] 
Primrose Hill (Beverley Martyn) 
2.パーセルズ [3:28] 
Parcels (John Martyn) 
3.アーンティ・アヴィエイター [6:04] 
Auntie Aviator (John & Beverley Martyn) 
4.ニュー・デイ [4:00] 
New Day (John Martyn)
5.ギヴ・アス・ア・リング [3:53] 
Give Us A Ring (Paul Wheeler) 
6.ソーリー・トゥ・ビー・ソー・ロング [4:44] 
Sorry To Be So Long (John & Beverley Martyn) 
7.トゥリー・グリーン [3:13] 
Tree Green (John Martyn) 
8.セイ・ホワット・ユー・キャン [3:07] 
Say What You Can (John & Beverley Martyn) 
9.ロード・トゥ・ルイン [6:28] 
Road To Ruin (John Martyn) 

Bonus track 
10.ヒア・アイ・アム [4:24] 
Here I Am (Beverley Martyn) 


John Martyn - vocals, all guitars and harp. Beverley Martyn - vocals. Paul Harris - piano. Wells Kelly - drums on all tracks except Auntie Aviator; bass on Auntie Aviator. Mike Kowalski - drums on Auntie Aviator. Rocky Dzidzornu - congas. Dave Pegg - bass on Say What You Can and Give Us A Ring. Alan Spenner - bass on Primrose Hill, Road To Ruin, Sorry To Be So Long. Danny Thompson - double bass on New Day. Dudu Pukwana - saxophone on Road To Ruin, Sorry To Be So Long, Say What You Can. Lyn Dobson - flute on New Day. Saxophone on Say What You Can. Ray Warleigh - saxophone on Primrose Hill. Arrangement for Say What You Can by Tony Cox. All other arrangements by John Martyn and Paul Harris. All tracks published by Warlock Music Ltd. Sleeve photographs and design by Nigel Waymouth. Front Cover Engraving by Max Ernst from "Une Semaine De Bonté". Engineering by John Wood. Produced by Joe Boyd, Witchseason Productions Ltd. 


◆マーク・パウエルによる解説より◆ 

「1969年1月、マーティンはチェルシー・カレッジ・オブ・アートで行われたアメリカのフォーク・シンガー、ジャクスン・フランクのコンサートにサポート・アクトとして出演、この際にビヴァリー・カトナーに出会っている。ビヴァリー・カトナーもまたロンドンのフォーク・クラブで活躍するアーティストのひとりで、イギリスに滞在したポール・サイモンとも親交を深めている。(中略)ジョン・マーティンと出会ったとき、彼女はウィッチシーズン・プロダクションズのジョー・ボイドの下でソロ・デビューの準備を進めており、これに必要なミュージシャンを求めていた。(中略)やがてジョンとビヴァリーは恋仲になり、1969年に結婚した。当時、ジョー・ボイドは米ワーナー・ブラザースとのあいだでビヴァリーのアルバムのリリースに関する契約を纏めつつあったが、すぐにマーティン夫妻のコラボレイションの可能性に気付き、計画を変更している。」
「ジョンとビヴァリーはワーナー・ブラザースと契約、1969年の夏に渡米し、ウッドストックに滞在した。(中略)ジョンとビヴァリーは、ほどなくこの町の音楽シーンに溶け込み、ザ・バンドのドラマー、リヴォン・ヘルムや(中略)ジミ・ヘンドリックスと親しくなっている。」
「数週間後、夫妻とプロデューサーのジョー・ボイドはニューヨークにあるA&Rスタジオでファースト・アルバムのレコーディングを開始、6日間で10曲を完成させている。」
英米両国で1970年2月にリリースされた『STORMBRINGER!』は(中略)、チャート入りこそ果せなかったものの、評論家筋からの評価は高く、ことにジョンのギター・プレイや歌唱は絶賛された。(中略)夫婦は新作のリリースに向けた曲作りを続行、1970年春にはサウンドテクニクス・スタジオでセカンド・アルバムのレコーディングを開始している。プロデューサーは、前作と同様、ジョー・ボイドが、エンジニアはジョン・ウッドが手がけた。」
「ボイドは、彼らのバックにベース・ギタリストのディヴ・ペグ、ジャズ・ミュージシャンのレイ・ウォーリー、リン・ドブソンら一流のセッション・ミュージシャンを起用した。
 今では、このアルバムのレコーディング・セッションは、ジョン・マーティンの以降5年間のソロ活動の出発点になったと考えられている。わけても「New Day」のレコーディングはダニー・トンプソンとの初めてのスタジオ・セッションであったという点で、ジョンにとって大きな意味を持った。ペンタングルに在籍したダブル・ベース奏者、トンプソンは、その後、約10年に亘って(中略)ジョン・マーティンの重要なパートナーになっている。「Give Us A Ring」もまた特筆すべきトラックのひとつで、これはポール・ホイーラーがジョンの友人であり、ミュージシャン仲間であるニック・ドレイクのために書いた曲だった。
 アルバムのレコーディング・セッションで最後にレコーディングされたのはビヴァリー・マーティンの作品「Here I Am Now」で、これは(中略)『THE ROAD TO RUIN』には収められず、今回のリマスター盤にボーナス・トラックとして収録されるまで35年のあいだ陽の目を見ることはなかった。『THE ROAD TO RUIN』はILPS 9133のカタログ・ナンバーを与えられ、アイランド・レコーズから1970年11月にリリースされている。」


◆本CDについて◆ 

二つ折りブックレット(外側にオリジナルLPジャケ&裏ジャケを再現、内側はブランク)。投げ込み(クロス16頁折り)にトラックリスト、マーク・パウエルによる解説(訳:若月眞人・狩野ハイディ/「※2006年発売時の解説を転載しております。」)、歌詞(聴き取り及び対訳:若月眞人・狩野ハイディ)。

オリジナルLPは英Island/米Warner Bros.より1970年リリース。2005年にUniversal/IslandよりリマスターCD化(ライナー・ノーツはMark Powell)、日本盤は2006年ユニバーサル「Rock Legend Series」(紙ジャケ仕様)、本CDはその廉価盤(プラケース仕様)です。

ビヴァリー作のボサノバ・フュージョン#1はヒッピーふうの歌詞(「プリムローズ・ヒルで/日曜日の夕焼けを見た/ほかに何もいらない/わたしはそんな人生が好き」「先のことを考えず/毎日を楽しみ/ぐっすり眠る/そんな生き方しか知らない」)が好ましいです。#1、3、6、8はビヴァリーがメインヴォーカルで、ジョンのニック・ドレイクにも通じる沈み込むような歌唱とは対照的な、ジュリー・ドリスコール(トリニティ)やリンダ・ホイル(アフィニティ)にも通じる哀愁を湛えつつも力強い歌唱を披露しています。

ゲストのジャズ・ミュージシャンのドゥドゥ・プクワナは南アフリカ出身でザ・ブルー・ノーツ、ブラザーフッド・オブ・ブレス、アサガイ、センティピードなどで活動、レイ・ウォーリーはジョン・レンボーン『鐵面の騎士』『ザ・レディ・アンド・ザ・ユニコーン』、バート・ヤンシュ『バースディ・ブルース』、ニック・ドレイク『ブライター・レイター』などに参加、リン・ドブソンはソフト・マシーンやサード・イアー・バンドでの活動(ニック・ドレイク『ブライター・レイター』にも参加)でおなじみです。

マックス・エルンストのコラージュ(コラージュ・ロマン『慈善週間』より)をあしらったジャケット・デザインもよいです。

★★★★★ 


Primrose Hill


Road To Ruin