バルトーク
中国の不思議な役人
弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽
ドラティ指揮
デトロイト交響楽団
BARTÓK
THEMIRACULOUS MANDARIN
MUSIC FOR STRINGS PERCUSSION AND CELESTA
Detroit Symphony Orchestra
ANTAL DORATI
CD: Decca
制作:ユニバーサル クラシックス&ジャズ
発売・販売元:ユニバーサル ミュージック株式会社
シリーズ:20世紀の巨匠シリーズ アンタル・ドラティの芸術
UCCD-3886 (2007年)
定価¥1,200(税抜価格¥1,143)
Made in Japan
帯文:
「精緻なアンサンブルと豊かな色彩感で描いたドラティ晩年の名盤!」
ベラ・バルトーク
Béla Bartók (1881-1945)
パントマイム 《中国の不思議な役人》 Sz73(作品19) 全曲
The Miraculous Mandarin, Sz73 (op. 19), complete
1.アレグロ 3:22
Allegro
2.最初の客引き 3:31
1st Decoy Game
3.2度目の客引き 2:50
2nd Decoy Game
4.3度目の客引き 1:40
3rd Decoy Game
5.マエストーソ 9:08
Maestoso
6.センプレ・ヴィーヴォ 4:52
Sempre vivo
7.アジタート 3:19
Agitato
8.ピウ・モッソ 2:09
Più mosso
弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽 Sz106 (1936)
Music for Strings, Percussion and Celesta, Sz106
9.第1楽章:Andante tranquillo 7:37
10.第2楽章:Allegro 7:46
11.第3楽章:Adagio 6:17
12.第4楽章:Allegro molto 7:47
デトロイト交響楽団
Detroit Symphony Orchestra
指揮:アンタル・ドラティ
Conducted by Antal Drati
録音:1983年11月 デトロイト、ユナイテッド・アーティスツ・オーディトリアム
◆藤田由之による解説より◆
「バルトークは(中略)、ハンガリーの詩人メニヘルト・レンジェルの手になる台本を選び、この《中国の不思議な役人》に着手した。作曲は1918年10月に始められ、翌年5月にはすでにピアノ・スコアが書きあげられていたが、オーケストレーションにすぐにとりかかりながらも、(中略)最終的にそれが完成されたのは、1925年になってからと見られている。(中略)その上演がほとんど不可能であることを悟ったバルトークは、この作品をドイツのケルンで初演しようと考え、(中略)1926年11月27日、ようやくそれはイエノ・シェンカルの指揮、ハンス・シュトローバッハの振付けによって初演を迎えたが、わずか1回の上演で上演禁止の処分に遭い、ただちにレパートリーから削除された。その理由は、作品の内容が道徳的に好ましくないというものであったが、それはそのままハンガリーでの上演の機会も失わせることになった。」
「バレエの内容は、3人のならず者が、若い娘を囮りにして男たちをおびき寄せ、金品の強奪を企てる。3人目の餌食となった金持ちの中国人の娘に対する求愛が、思わぬ結果を招く。困惑したならず者たちは彼を殺そうとするが、(中略)結局、彼は娘に抱かれながら、その愛を昇華させて息絶える。(中略)その強烈な個性と原始主義的なものをも思わせる音楽は、一貫してドラマティックな高潮と発展とを辿りながら、シンメトリックな構想をも見せている。」
◆本CDについて◆
三つ折りブックレットに藤田由之による解説(1991)。インレイにトラックリスト&クレジット。
「春の祭典」の影響から出発しつつも古代の宗教儀式というエクスキューズを取り払い、いかがわしい大都会の閉ざされた片隅において異邦人と悪党の手先の女性という社会から排除される者同士のディスコミュニケーションのうちに達成される愛と死が徹底的に通俗化されることによって聖性を獲得する樣を描く「中国の不思議な役人」と、暴力的なストリングスと情け容赦のないパーカッション(ピアノも含む)がこの世のものとは思われない耽美の世界を築き上げる「弦チェレ」の、ドラティによるトラウマティックな名演であります。
★★★★★