幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

マリコルヌ 『マリコルヌ』 (2nd)

マリコルヌ 

Malicorne


CD: Seven Seas 
発売元:キングレコード株式会社
シリーズ:European Traditional Collection 
KICP-2089 (1990年) 
税込定価¥2,800(税抜価格¥2,718) 
Made in Japan 

 

ブックレット表紙。

 

ブックレット裏表紙。


帯文:

「スティーベル・バンドのギタリストG・ヤクーが
「フランスのトラッド」を実現したバンド、マリコルヌ。
すでに「ユーロ・トラッド」の定形となった傑作!」
「オリジナル・ジャケット付|歌詞訳付」


帯裏文:

「ユーロ・トラッドの代名詞マリコルヌ。スティーベル・バンドにいたギタリストのガブリエル・ヤクーが「ブルターニュではなくフランスの」トラッドを復興するために結成したマリコルヌはその絶妙なトラッド・アレンジ、落ち着いた古楽的な響きと透明な女性ヴォーカルなどフランスにとどまらずユーロ・トラッドの定型となったバンドである。彼らの全盛期は70年代のHEXAGONE時代であるが、本作はその傑作ともいうべきセカンド・アルバム。正に歴史的な一作。」

 

1.LE MARIAGE ANGLAIS 英国の結婚 3:56 
2.LE GARÇON JARDINIER 庭師の少年 2:52 
3.LA FILLE AUX CHANSONS (Marion s'y promène) 歌の中の少女たち(散歩をするマリオン) 10:22 
4.J'AI VU LE LOUP, LE RENARD ET LA BELETTE 私は狼と、狐と鼬をみた 2:27 
5.CORTÈGE DE NOCE 結婚の従者 3:58 
6.BRANLE / LA PERONNELLE ブランル/ラ・ペロネル 4:29 
7.LE GALANT INDISCRET 無遠慮な浮かれ者 2:16 
8.MARIONS LES ROSES (Chant de quete) バラを合わせましょう(卵捜しの唄) 3:28 
9.BOURRÉE / SCOTTISH-VALSE ブーレ/スコットランド舞踊・ワルツ 2:31 
10.LE BOUVIER 牛飼 5:13 

ALL TRADITIONAL, arranged by MALICORNE 

Licensed by HEXAGONE, France 


◆牛沢朗による解説より◆

マリコルヌのリーダー、ガブリエル・ヤクー(中略)の運命を決定づけたのは何といってもアラン・スティベールとの出会いでしょう。(中略)ここでガブリエル・ヤクーは、ギター、バンジョー、アパラチアン・ダルシマーそして歌を担当し重要な役割を果たしていますが、73年頃にはスティベールの許を離れています。純粋なフランス人である彼はそろそろケルト系でなく、オーヴェルニュ地方を中心としたフランスの音楽がやりたくなったのでしょう。」
「同年、バークレー社より奥さんのマリーと一緒に「グルノーブルのピエール」をスティベールバンドのメンバーのサポートを得て完成、第一歩をふみ出します。そしてヤクー夫妻にこの時のプロデューサー、オーグ・ド・カーソンとヴァイオリンのLaurent Vercambreを加えてマリコルヌを結成しました。74年にはデビューアルバムを発表、(中略)まだこの頃はイギリスのエレクトリック・フォークの影響が強く、シンプルでアーシーな仕上がりになっています。
 しかし翌年リリースした2作目(それが本作です)で(中略)独自の音楽性を開花させています。」


◆本CDについて◆

ジュエルケース(白トレイ)。ブックレット(全20頁)にオリジナルLPライナーノーツ(仏文)&アーティスト写真(モノクロ)4点、牛沢朗による解説、オリジナルLP楽曲解説&歌詞(仏文)、解説・歌詞訳(須永由貴子・訳)。ブックレット表紙は本シリーズ独自のデザインで、オリジナルLPジャケットはブックレット裏表紙に掲載されています。

男女ヴォーカルによるスティーライ・スパンふうのエレキベースのゴリゴリ感を生かしたエレクトリック・トラッドに古楽器・民族楽器が幻想味をそえていてよいです。

★★★★★

 

バラを合わせましょう(卵捜しの歌)


本CDブックレットより:

「五月は美しい季節の始まりであり、有史以前から、自然の再生を祝ってきました。様々な習慣が、この季節と結びついています。
 ベリーでは、男の子たちが五月の花束(西洋かんざしの花のブーケ)を女の子の友達の家の戸に、五月の初めの日に幸運を祈るためにおいてまわります。
 モランでは、胡桃の木で、家畜と収穫を祈るための幸運の十字架を捜します。一番広まっている、習慣としては、卵捜しがあります。卵は、豊かさの象徴であり、ひいては春の再来と結びついています。
 若者が歌いながら村中を巡り、彼らの持っている大きな篭に、卵を入れてもらいます。その日の終わりに、その卵を皆で分け合ったり、食べたりします。幾つかは、取っておいてお守りとして、飾っておきます。
 キリスト教の到来と共に、この習慣は、復活祭と入り交じるようになりました。復活祭のチョコレートの卵の習慣の起源は、ここにあります。」

「4月は去った
5月がやってきた

薔薇をあわせよう
ばらできれいなブーケをつくろう
ばらできれいなブーケをつくろう
美しいうちに

あなた方の牧場を通りました
とてもよく肥えていました

あなた方の畑を通りました
とてもよく種をつけていました

卵の巣に手をお置きなさい
それぞれの手が二つずつとれるように

私は篭もち
ちゃんと巣をもっています

もし結婚する娘さんをお持ちなら
神様が良いように計らってくださるでしょう

もしあなたが私達になにもくれる気がないのなら
戸口で叫びますよ」


歌の中の少女たち(散歩をするマリオン)


本CDブックレットより:

「この哀歌は、イル・ド・フランス、フランス西部、ケベックなどでよく知られているものです。しかし、どこが、その起源かを限定するのは難しいようです。
 この歌には、数多くのヴァージョンがあります。例えば、「散歩するイザボウ」「海沿い」「身投げ人」、一つの話の結末が様々なバリエーションをもっています。
 この結末はその中でも最も悲劇的なもので、多分、海賊の話がもとになっているのではないかと思われます。」

「マリオンは散歩をする
自分の庭に沿って

自分の庭に沿って
フランスの海岸を
自分の庭に沿って
水際を
30人の水兵の乗っている
船がいた

30人の中の一番若いのが
歌を歌っていた

あなたの歌っている歌を
私も覚えたいわ

私の船にお乗りなさい
教えてあげましょう

船は100ヵ所に立ち寄った
笑うことも話すこともなく

100ヵ所を巡った後
娘は泣き出した

どうしたの、娘さん
なぜそんなに泣くの

聞こえるの、母さんが
寝る時間ですよと、呼んでいるのが

泣かないで、娘さん
私達のところで休めばいい

彼女が部屋にはいると
コルセットの紐がほどかれた

私の剣が机の上にある
娘が盗んでいくだろう

娘は、剣を胸に
身を投げたことになる

その白い手をもって
彼女を海の中へ投げ捨てた」