幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『ダンテとトロバドール ― ダンテが敬愛した12-13世紀の抒情歌人の歌』 セクエンツィア

『ダンテとトロバドール ― ダンテが敬愛した12-13世紀の抒情歌人の歌』
Dante and the Troubadours 
セクエンツィア 
Sequentia 


CD: BMGビクター株式会社 
BVCD-619 (1995年) 
¥3,000(税込)(税抜価格¥2,913) 

 

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帯文: 

「中世イタリアの大詩人ダンテに影を宿した、
12世紀南西フランスのトロバドールたちの花咲ける芸術。」


帯裏文: 

「このCDは、現代最高の中世音楽アンサンブルと言われるセクエンツィアが、バーゼル大学ヴルフ・アルト教授らの協力の下、入念な研究を踏まえて、ダンテが信頼し、影響を受けた6人のトロバドールの歌を現代に甦らせたものです。『神曲』で名高い中世イタリアの大詩人ダンテ(1265-1321)は、近代イタリア語の始祖とも言われています。当時イタリアの詩人たちにとって、南西フランスで活躍していたトロバドール[吟遊詩人]の歌が強い影響力を持っていたことは文学研究上でも指摘されていましたが、その実際の姿がCDのかたちでまとめられたことはありませんでした。ダンテの『神曲』には4人、ペトラルカの『愛の凱旋』には15人ものトロバドールの名が見られます。」


ダンテとトロバドール 
ダンテが敬愛した12-13世紀の抒情歌人の歌 
Dante und die Troubadours 
Dante and the Troubadours 

1.アイメリク・デ[エメリク・ド]・ペギヤン(1175頃-1230)「愛にいささかの慰みを見出す」 11:08 
Aimeric de Peguilhan (ca. 1175-1230)
En amor trob alques en que'm refraing
[歌、ハープ、フィドル] 
2.アルナウト[アルノー]・ダニエル(1180頃-1200)「心に忍び入る堅き望は」 4:04 
Arnaut Daniel (ca. 1180-1200)
Lo ferm voler qu'el cor m'intra
[歌] 
3.ベルトラン・デ[ベルトラン・ド]・ボルン(1140頃-1215)「ラサ、偽りと無縁の人は」 9:21 
Bertran de Born (ca. 1140-1215)
Rassa, tan creis e monta e poia
[歌、フィドルシンフォニア] 
4.ペイレ・ダルヴェルニュ[ピエール・ドーヴェルニュ](1150頃-1215)「日の短く夜の長くなるころ」 12:14 
Peire d'Alvernhe (ca. 1150-1215)
Dejosta'ls breus jorns e'ls loncs sers
[歌] 
5.ギラウト・デ・ボルネイユ[ギロー・ド・ブルネーユ](1138頃-1215)「抑えられぬ、歯の痛みに」 9:04 
Guiraut de Bornelh (ca. 1138-1215)
Non posc sofrir c'a la dolor
[歌、フィドル(1)] 
6.アルナウト[アルノー]・ダニエル(1180頃-1200)「さらさらと軽い歌を詠もう」 9:18 
Arnaut Daniel
Chanson do'ill mot son plan e prim
[歌、フィドル、ハープ] 
7.フォルケト・デ・マルセイヤ[フォルケ・ド・マルセーユ](1155頃-1231)「愛の苦しみはわが喜び」 12:08 
Folquet de Marseilla (ca. 1155-1231)
Tant m'abellis l'amoros pessamens
[歌とハープ] 
8.器楽曲~フォルケト・デ・マルセイヤのメロディに基づく 8:47 
Instrumentalstück/Instrumental piece
based on melodies of Folquet de Marseilla
フィドル(1)、ハープ] 

Total Time. 76:47 


セクエンツィア[中世音楽アンサンブル] 
SEQUENTIA, Ensemble für Musik des Mittelalters

指揮: ベンジャミン・バグビー&バーバラ・ソーントン 
direction: Benjamin Bagby & Barbara Thornton
バーバラ・ソーントン(歌) 
Barbara Thornton: voice
ベンジャミン・バグビー(歌、ハープ、シンフォニア) 
Benjamin Bagby: voice, harp, symphonia
エリザベス・ゲイヴァー(フィドル[1]) 
Elizabeth Gaver: fiddle (1)
エリザベッタ・デ・ミルコヴィチ(フィドル[2])
Elisabetta de Mircovich: fiddle (2)  

Recorded: 4-7 December 1993, Abbaye de Fontevraud, Refectorium, France 


◆本CD解説(バーバラ・ソーントン&ベンジャミン・バグビー)より◆ 

「トロバドール(これは古いオック語で、フランス語ではトルバドゥール)の世界は奇妙で近づきがたいものなのだが、それでいて親しいようにも感じられる。12世紀以降の俗語詩人で、かれらラングドック地方(いまでいうフランス南西部)の歌手/詩人に直接恩恵をこうむっていない者はひとりとしていない。トロバドールのウィット、作詩/作曲の技巧、それに(ラテン語とは対照的なものとして)口語を、きわめて洗練された、荘厳な、あるいはばかげた発想にまで用いたことは、つづく数世紀間にわたる西洋の詩の技法と主題を定めたのである。20世紀になってさえ、トロバドールの影響はエズラ・パウンドの作品に感じられる。パウンドはかれらをたたえ、自分の作品にその大胆な言語精神を活用しようと奮闘したのだ。
 〈神曲 La Divina Commedia〉[c. 1309-21]を著し、現代イタリア語を「発明」もしたダンテ・アリギエーリ(1265-1321)は、トロバドールの文体と内容をくわしく研究し、また模倣している。俗語による詩の完成をもくろんだ著作(といってもラテン語で書かれているのだが)〈俗語詩論(俗語による雄弁について) De Vulgari Eloquentia [1304-07]で、ダンテは個々のトロバドール詩人の得失と特徴を解釈してみせ、このオリジナルな俗語の伝統に敬意をはらっている。こうしたトロバドールの、活躍したのち何世代もたってからダンテに選びぬかれた人びとの詩と音楽を、ここでは音によってお届けしよう。」


◆本CDについて◆ 

ブックレット(全28頁)にバーバラ・ソーントン&ベンジャミン・バグビーによる解説(訳:吉村恒)および訳者による「付記」、「セクエンツィア」(演奏者紹介/編訳:吉村恒)、「ロワイヤル・ド・フォントヴロー修道院」(訳:吉村恒)、歌詞対訳(新倉俊一)、写真図版(モノクロ)1点。

フィドル(2)のエリザベッタ・デ・ミルコヴィチはラ・レヴェルディ(La Reverdie)の人です。
ハルモニア・ムンディ(Deutsche Harmonia Mundi)から1995年にリリースされたCDの日本盤です。

★★★★★ 


En amor trob alques en que'm refraing

youtu.be

 

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