富樫雅彦・高木元輝  『アイソレーション』

富樫雅彦・高木元輝 
Masahiko Togashi, Mototeru Takagi 
アイソレーション』 
Isolation 


CD: 日本コロムビア株式会社 
COCP-30979 (2000年) 
定価¥2,415(税抜価格¥2,300) 

 

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帯文: 

富樫雅彦音楽生活45周年記念企画 初CD化」


●アドヴェンチャー・イン・サウンド 
アイソレーション 
富樫雅彦・高木元輝 
コンポジション 富樫雅彦 


1.アイソレーションⅠ 16:45 
ISOLATION I (M. Togashi) 
2.アイソレーションⅡ 19:06 
ISOLATION II (M. Togashi) 


富樫雅彦(drums, vibes, marimba, tubular bells, timpani) 
高木元輝(tenor saxophone, bass clarinet) 

1970年録音 

ジャケット・イラストレーション: 富樫雅彦 


◆本CDブックレット所収「《アイソレーション》に関する演奏者の発言(1970年・談 きき手・児山紀芳)より◆ 

「富樫…'69年12月下旬に映画監督の足立正生さんから、連続射殺魔永山則夫に関する映画を創りたいから、その音楽を担当してくれないかと依頼があった。(中略)映画は、超実験的な作品で、ドキュメンタリーとかこれまでの映画の概念には当てはまらないものを創りたいということだった。だから音楽もこれまでの形式にとらわれないで自由に創作してもらいたいということだった。
 結局、ぼくは、高木元輝と二人で全的な即興演奏で映画のための音楽を三つ録音した。いま仮りにそのひとつひとつを〈M-1〉〈M-2〉〈M-3〉とすると、だいたいどの音楽も30分ぐらいの長さのものだったけれど、出来あがった音楽をプレイ・バックしているうちに、どうしてもレコードにしたいと思うようになった。それで、足立監督にこのことを話したら快く承諾してくださった。というのが、このレコードの誕生までの経緯です。」
「完成されたフィルムを観たり、シナリオを読んだりしてから作曲して――というようなプロセスが全くないわけですから、ぼくはぼくなりの判断で音楽を創るしかなかった。ですから、すごく悩みました。はっきりとわかっているのは、永山則夫というイメージだけでしょう。(中略)結局、ぼくは永山則夫という人間の異状な精神状態、彼の心理状態を、ぼくなりのイメージでとらえ、それを三つの角度から描写してみようと考えたわけです。」
「ぼくは、この音楽でははじめから作曲する必要性はないと解釈していました。(中略)だから、ぼくは、一枚のキャンバスを絵具でぬりつぶしてゆくような意味のコンポジションということを考えて、三つの方向から心理描写をしてみたんです。」
「〈M-1〉の場合には、ひとつの要素として八方破れな感情、しかもきわめて闘争的な心理状態を描写しようと考えました。「みんな撃ち殺してやれ」というような病的な心理、一方では「助けてくれーっ!」というような気持――そんな気持で演奏しようと話し合いました。
高木…〈M-1〉ではぼくはテナー・サックスを吹きました。富樫さんは普通のドラム・セットを使っています。
富樫…〈M-2〉の場合は、心の平静というか、永山則夫は北海道で育ったんですが、そんな彼が、ふと童心に還ったときの気持を考えたわけです。ここでは単純・素朴な美を描写しようと話し合いました。
高木…〈M-2〉ではぼくはコーン・パイプを吹き、富樫さんはヴァイブ、ドラム、トライアングル、ベル、シンバルを使っています。」
「富樫…(中略)〈M-3〉の場合は、自分が精神的にどうにもならない状態に追い込まれたときの、放心状態というか、無気力な状態を描写しようと考えたんです。
高木…ぼくはバス・クラリネットを使いました。富樫さんは、マリンバティンパニー、ドラム、シンバル、それにゴングも使っています。
富樫…〈M-3〉でバス・クラリネットを使うということだけは、指定しました。高木もぼくも、この〈M-3〉が一番困難でした。つまり、放心状態を音に置きかえるというのがむずかしい。」
「結局、自分が心身遊離のような状態にならないといけない。ぼく自身は、マリンバをそばにある棒きれで叩いたり、変な音程をとったり、ドラマーとしてのテクニックもできるだけ避けたつもりなんです。
児山…レコードには、この〈M-1〉〈M-2〉〈M-3〉が編集・合成されてA、B面に収められているわけですね。
富樫…もちろん部分的にです。(中略)このテープを合成したということですが、たまたま、2本のテープを同時にプレイ・バックしてきいてみると、音楽として、より面白くなっていることを発見したからです。それに、もともと、それぞれの表情は変わっていても、音楽ははじめからひとつの方向に向かっているものだから必然が伴う偶然なんです。つまり、人間は、自然に中心音を持つようになりますからね。」
「ただ、ぼくとしては、そういうプロセスにとらわれないで、ぼくと高木元輝の音楽としてきいてもらいたいと思います。(中略)ぼくたちは、この音楽を創る時点では、即興演奏の極限、ぼくたちにとってはぎりぎりの限界に挑戦したつもりなんです。」


◆本CDについて◆ 

紙ジャケ(厚紙・シングルジャケ)仕様。ブックレット(全4頁)に瀬川昌久による解説「富樫雅彦の異色傑作「アイソレーション」に寄せて」(2000-5-17記)、対談「《アイソレーション》に関する演奏者の発言」(1971年発売のLP: JDX-49より転載)。

★★★★★ 


Masahiko Togashi (富樫雅彦) & Mototeru Takagi (高木元輝) - Isolation (アイソレーション) [Album 1971]

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