幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

Vandertop  『Best On Tour 76』 

Vandertop 
『Best On Tour 76』 
ヴァンダートップ  
ベスト・オン・ツアー’76 


CD: Utopic Records  
UR 01005 (2002) 

Arcangelo 
ARC-1055 
税抜価格¥2,500 

 

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帯文: 

「C・ヴァンダーとJ・トップ、両巨頭が再び並び立った「Udu Wudu」発表後のマグマの姿を収録。想像を超えた幻の楽曲と名演の数々が次々繰り出されるこのアルバムこそ全マグマ・ファン至福の瞬間。 
【仏文ライナー対訳付/解説:松尾隆憲】」


VANDERTOP  
BEST ON TOUR 76 


1. Mekanik zaïn (Paris 5 nov 76)  4:32 
2. De Futura (Toulon 10 nov 76)  24:16 
3. Troller Tanz (Paris 1 nov 76) 
4. La musique des Sphères (Antibes 19 oct 76)  21:37 


Compositions : 1 & 3 Christian Vander / 2 & 4 Jannick Top 


Jannick Top (bs), Christian Vander (dms), Klaus Blasquiz (vc), Didier Lockwood (vn), Michel Graillier (kbds), Gabriel Federow (g). 


Produced by Utopic Records (C) 2002 
Project manager: Philippe Hodara 
Assistant manager: Marc Rossi 
Mastered by Uwe at Electric City Studio, Bruxelles 
Graphic art and design: Liliane Mangavelle 
Photos: Thierry Moreau 
Liner notes: Philippe Hodara 


◆フィリップ・オダラによるライナーノーツ(邦訳)より◆ 

「うわべだけしか見ない人にとっては、「DE FUTURA」は冷酷で非情で機械的な宇宙を映し出す音楽として捉えられ、その凍てついた幻惑的な美しさに身震いしたかもしれない。しかしながら、これは何よりもまず認証なのである。すなわち、物質が精神を統括し、機械文明が人間の内なる精神性のあらゆる成長を妨げている、われわれの文明の敗北を認証することなのである。
 ヤニック・トップがその作品についてこう説明している:「私は私が見て感じたことを描写したのである。私自身は凶暴でも冷酷でもない。凶暴で冷酷なのは私を取り巻く世界なのである。」 
 広告と流行と見てくれの罠、信用貸付け、巧妙なローンに騙され、その結果、既に自分のエゴと欲望に縛られている人間は、知らず知らずのうちに自分の生涯を墓場に至るまで借金の返済のために働き続けなければならないものにしてしまう、そのような極端な過剰消費に根ざした社会を作ってしまったこと以上に暴力的なことはあろうか。
 マグマにおいても、また特にヤニック・トップにおいても、バンドを結成するに当たってはここで問題となっているこの暴力性を容認する用意はできていなかったのである。しかしながら、これらの魂が向こうとこちらから集まってきた時に、ものを本来あるべき場所に戻し、精神と物質の平衡を回復し、人間個人がその平衡とその媒体である肉体を再び活用し、人間的精神的価値を開花させ、より良い生き方ができるような、ある有益なショック、ある反発を現出するべく、この稀な暴力性を持った音楽を方向付けたのだ。
 この時期、ヤニック・トップとクリスチャン・ヴァンダーの音楽は、われわれが生きる世界を音楽の形で表現することによって、まさにわれわれに警告を与えるものであった。凄まじい速度でわれわれに流れ寄るこの音楽の急流は、岩に砕け泡となって散り、われわれに「目覚めよ」または「目覚めよう」と叫ぶのであるが、われわれを睡眠状態におとしいれ、長い年月のうちにわれわれを昏睡状態にまで落とし込むシステムの魔力にわれわれが決別するにいたるには、この叫びは強すぎるものではなかったようだ。
 ヴァンダートップの第二期において「LA MUSIQUE DES SPHERES」や「SOLEIL D'ORK」のような作品は、覚醒の後においては、外部そして内側の宇宙に、われわれ自身の未知の音楽が隠されていて、そこに未来のより良き世界があるという答を示すエレメントを提示している。その世界を見つける努力をするのではなく、われわれが直面する世界をその世界にするという見方を、今、今すぐ、永遠に、永続的にするだけでよいのだ。この光の世界では、内なる世界だけが未来を開く唯一の真実となる。何世紀もの間、文明の栄養として与えられた、つくりものでまがいもののだまし細工とは正反対に、ここにあるこの光は絶えたことがないのである。
   フィリップ・オダラ」


◆日本語解説(松尾隆憲)より◆ 

「MAGMAの歴史を追ってみると、J・トップが在籍した時期は二つに分かれる。一つは、初期のジャズ/ロックの融合の中から自己の音楽性を確立した73年夏から74年秋まで、所謂Theusz Hamtaahk三部作(アルバムで言えば「M.D.K.」~「WURDAH ITAH」~「KONTARKOSZ」、イレギュラーながら「INEDITS」も含めてよいと思う)が発表された時期、もう一つは間をおいて今回の一連の音源が発表された76年10月から同11月中旬までのVANDER-TOPと称される(アルバムとしては「UDU WUDU」発表期)時期である。」

「一曲目は在席末期にあたる76年11月5日パリ公演からのテイクとなっているが、資料ではこの日の公演記録はなく、恐らくそれ以前のパリ公演テイクと思われる。(中略)表記は“Mekanik zain”だがこのテイクは間違いなく“Theusz Hamtaahk”のラストの部分に当たる演奏である。(中略)二曲目は76年11月10日トゥーロン公演から、(中略)「UDU WUDU」からMAGMA屈指の名曲“De Futura”の登場である。(中略)三曲目は76年11月1日パリ公演から“Troller Tanz”で、こちらも同じく「UDU WUDU」に収録された小曲である。(中略)ラストを飾る曲はアルバム未収録である幻の一曲“La Musique Des Spheres”。(中略)ここに収録されたテイクは76年10月19日となっているが、こちらも資料によるとそれ以前の10月初頭、つまりツアー開始期の演奏と思われるテイクである。本作より先に発表されたアルバム「パリ・ルネッサンス」におけるルネッサンス劇場公演のライヴにも収録されたテイクは76年11月2日であったから今回収録された演奏はまだ比較的初期のテイクと言える。」


◆本CDについて◆ 

国内仕様輸入盤。透明ジュエルケース。原盤ブックレット(二つ折り)にPhilippe Hodaraによるライナーノーツ、写真図版(カラー)2点。インレイにトラックリスト&クレジット。投げ込みライナー(十字折り)に松尾隆憲による解説と、フィリップ・オダラによるライナーノーツ邦訳(訳者名記載なし)。

マグマのベーシスト、ヤニック(ジャニック)・トップのレーベル「Utopic」から21世紀初頭にリリースされた4枚の1970年代マグマ関連未発表音源CDのうちの1枚で、マグマが「Vandertop」名義でクリスチャン・ヴァンダー(ヴァンデ)とヤニック・トップの双頭バンドとして活動していた1976年のライヴ音源を収録しています。

★★★★★ 

 

De Futura