幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

Dagmar Krause & Marie Goyette  『A Scientific Dream and a French Kiss』 

Dagmar Krause & Marie Goyette 
『A Scientific Dream and a French Kiss』 


CD: Resurgence 
RES-139-CD (1998) 
Made in EU 

 

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1. A Scientific Dream and a French Kiss 
(Peter and the Wolf, Serge Prokofiev) 
2. Promise 
(Symphony no.9 Gustav Mahler
3. Through My Satellite* 
('Raumpatrouille', Peter-Thomas) 
4. Among His Books 
(Symphony no.9, Gustav Mahler
5. Heaven Survives 
(Rhapsody on a Theme of Paganini, Op.43, Sergei Rachmaninoff) 
6. Seven* 
(Tankbattles, Hanns Eisler) 
7. Wake Up, Angel 
('Raumpatrouille', Peter-Thomas) 
8. Bologna: Dear You* 
(Second and third piano concertos, Bela Bartok
9. Your Star 
(Various piano concertos, J.S. Bach) 
10. I Hope I'm Wrong 
('Alborada del gracioso', Maurice Ravel
11. The Important Song 
(Concerto for the left hand, Maurice Ravel
12. Piazza Navona* 
(Suite for North by Northwest, Bernard Herrmann) 

*Additional vocals: Marie Goyette 


Dagmar Krause: vocals 
Marie Goyette: sampler work 

All songs written by Dagmar Krause and Marie Goyette 
Engineer: Jim Lowe 
Recorded and Mixed at Nomis Studios "The Euphonix Room" 


◆本CD収録曲歌詞より(大意)◆ 

「科学の夢とフランス風の(熱烈な)キス」
「物忘れの国(land of forgetfullness、「詩篇」88:12)に入っていこう」
「私の心(mind)は
リチャード・ファインマンの定理に従う
ある特定の粒子は
過去へ戻る道を見出すという」
「私ハ火星人ニ会イマシタ(J'ai revu le martien)
火星人ハ私ノいとこデス(Le martien, mon cousin)」
「私の夢はフランス語
ワカリマセン(Je ne comprend pas) 
私の鼻はへんてこりん(My nose looks strange)」
(「A Scientific Dream and a French Kiss」より)

「「火星と交信(communicate)したいなら 
精霊と会話し 
手相を読み 
ホロスコープ(占星図)を作成し 
紅茶占いをして  
神託を授かって  
寝る前にお祈りをして……」」
「(マリー・ゴヤッティ)最初にダグマーと会ったのは、1996年の2月だった。間違ってたら訂正してね、ダグマー? そう、1996年のベルリンだった。」
「私はカプチーノ、ダグマーはグラッパをトリプルで頼んで。飲んだくれなのね。それからケーキにカキを添えたのを頼んで一口で平らげてたわ。間違ってたら訂正してね、ダグマー?」
「私と意思疎通(communicate)したいなら  
ものの見方を変えること。
インターネットを解約して 
内なる声に耳を傾けること」
(「Through My Satellite」より) 

「私の希望は死者と共にある」
「そして死者と旅をする」
(「Among His Books」より) 

「イギリス医師会雑誌(British Medical Journal)によると、人生の七年周期説は起源の古いもので、少なくとも古代ギリシアにまで遡ることができる。」
「科学者の研究によると、人間の耳は七年周期で成長する。」
七つの大罪 
七人の小人 
七不思議
旧約聖書によると世界は七日間で創られた。」
(「Seven」より) 

「親愛なるダグマー 
パラダイス・ホテルの部屋には天窓があって、夜中に天使たちが飛び回るのが見えます。ボローニャの天使たちはたいへん慎み深いので、窓から中を覗くようなことはしませんが、このあいだの晩のこと… 
てとも若い天使が窓に近寄って私の足を見つめて、口をもそもそ動かしていました。
私の足の指の数を数えていたのだと思います。
敬具、マリー・ゴヤッティ」
「親愛なるマリー 
今朝、食事に下りてきたら、運よく日本の東京から来た人が五人もいたので、ご存じのように私は地震のことが頭から離れないので、体験談を聞かずにいられませんでした。話は盛りあがりましたが、私がロンドンの地質博物館の地震シュミレーターで「大きいの(Big One」を体験したことがあるとは思いもよらなかったことでしょう。あそこは最も安全に地震を体験できる場所です。」
「知らない人が私のことを見ていたので、一緒に歩いたのですが、それは天使で、ホテルの私の部屋まで道に迷うことなく連れていってくれました。一人になると耳元でささやく声が聞こえました。「八本、二本足りない。」
敬具、(興味津々の)ダグマーより」
(「Bologna: Dear You」より)

「とても重要な歌(a very important song)を作ろうと 
私達は何時間も座り込んでいた 

それは超然と孤立していること(detachment)についての
歌になるはずだった 

マリーは煙草を90本も吸い 
私達はジンのボトルを空けた 

そうしてできたのがこれ 
私達のとても重要な歌」
(「The Important Song」より) 

「ヘイ! タクシー!(Taxi per favore!) 
アジアーゴ街10番地まで(Via Asiago numero 10.)」

「チャレンジャー号! 
星まで連れてって! 

マリー: そこまで行くのにどのくらいかかるの? 
ダグマー: 1000万光年。
マリー: いつ帰って来るの? 
ダグマー: 私の魂がまた帰りたくなったら。私の魂が
永遠より三次元存在のほうがハッピーだと感じるようになったら。
そしたらまた戻って(plunge back)くるわ。

此岸と彼岸(Here and There)  
天上天下(Above and Below) 
以前以後(Before and After)

カルマ(業)は個人的なものか否か 
カルマは私のこれまでの人生の結果なのか 
それとも私という存在は
私の祖先たちの人生の総合なのか 
私はその人たちの人生を体現しているのか 

個人の達成を通して。疑問が
この世界に生じる。私の人生を貫通して世界へと続き、
そしてさらに世界から出てゆく線を見ようとする。
誰の魂が再び落っこちて(plunge again)この世界に生まれ出るのか。」
(「Piazza Navona」より) 


◆本CDについて◆ 

ブックレット(全8頁)に歌詞、トラックリスト&クレジット、写真図版(モノクロ)7点。

ダグマー・クラウゼ&マリー・ゴヤッティのデュオ作品で、この二人で来日公演も果たしています。マリーがクラシックの名曲その他をサンプリングしてバッキング・トラックを作成し、ダグマーが英語をメインにドイツ語、フランス語、イタリア語で歌ったり喋ったり囁いたり、マリーと会話したりしています。

「Wake Up, Angel」では、スラップ・ハッピーの再結成アルバム『Ça Va』(1998年)収録曲「Moon Lovers」(作詞はダグマー)の歌詞を別のメロディーで歌っています。
「Seven」は「7」という数にまつわる科学的・宗教的・哲学的考察で、ピーター・ブレグヴァドの影響が伺われます。

本作は全体的に穏やかで寛いだ感じで、ダグマーの声(歌と語り)を堪能できるCDとしては随一ではないでしょうか。ダグマーのややニューエイジふう(火星人ふう?)の哲学や、人となりも垣間見えて興味深いです。

★★★★★ 


https://youtu.be/hUkug_qHpgw

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