幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『サティ: ピアノ作品集 3』  高橋悠治

『サティ: ピアノ作品集 3』 
四手のためのピアノ作品集 
高橋悠治 

Erik Satie 
Pièces pour piano à quatre mains 

Yuji Takahashi 
Alain Planès 


CD: DENON日本コロムビア株式会社 
32C37-7487 (1985年) 
¥3,200 

 

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高橋悠治 
サティ・ピアノ作品集―3 
Erik Satie / Pièces pour piano - 3  
四手のためのピアノ作品集 
Pièces pour piano à quatre mains 


パラード(1916) 
――ジャン・コクトーのテーマにもとづく一場の現実のバレエ 
Parade - Ballet réaliste en un tableau 
1.赤い幕の前奏曲 1:41 
Prélude du rideau rouge 
2.中国の手品師(第1曲) 2:55 
No 1 Prestidigitateur Chinois 
3.アメリカの少女(第3曲) 1:26 
No 3 Petite fille américaine 
4.蒸気船のラグタイム 2:17 
Rag-time du paquebot 
5.アクロバット(第2曲) 3:27 
No 2 Acrobates 
6.赤い幕の前奏曲の続き 0:18 
Suite au prélude du rideau rouge 

7.映画(ダリュス・ミヨー編)(1924) 
――《休演》の幕間音楽 9:49 
Cinéma - Entr'acte symphonique de "Relâche" 
(Réduction pour piano à quatre mains par Darius Milhaud) 

梨の形の三つの小品(1903) 
Trois morceaux en forme de poire 
8.はじめ方 3:13 
Manière de commencement 
9.そのつづき 0:58 
Prolongation du même 
10.第1曲(ゆっくり) 1:22 
I - Lentement 
11.第2曲(軽快に) 2:47 
II - Enlevé 
12.第3曲(動物的に) 2:31 
III - Brutal 
13.おまけ 2:08 
En plus 
14.もう一言 1:19 
Redite 

不愉快な感じ(1908―12) 
Aperçus désagréables 
15.パストラール 1:56 
Pastorale 
16.コラール 1:08 
Choral 
17.フーガ 2:12 
Fugue 

場末のねえさん(ラ・ベル・エクサントリック)(1920) 
――まじめな幻想 
La belle excentrique - Fantaisic sérieuse 
18.大リトルネロ 2:02 * 
Grande ritournelle 
19.フランス月世界マーチ 1:54 
Marche franco-lunaire 
20.ワルツ“目に意味ありげにキスする” 2:09 
Valse du "Mystérieux baiser dans l'œil" 
21.上流社会のカンカン 1:55 
Cancan grand-mondain 


高橋悠治: ピアノ  
Yuji Takahashi, piano 
アラン・プラネス: ピアノ 
Alain Planès, piano 
村井祐児: クラリネット
Yuji Murai, clarinet 
岡崎耕治: バスーン
Koji Okazaki, bassoon 

録音年月日、所: 
1979年11月13/14日: 荒川区民会館 
1980年1月20日日本コロムビア第1スタジオ* 
Recording: 
November 13/14, 1979, Arakawa Public Hall 
January 20, 1980, Nippon Columbia Studio No. 1, Tokyo * 
制作担当: 川口義晴 
Recording Director: Yoshiharu Kawaguchi 
録音担当: 林正夫 
Recording Engineer: Masao Hayashi 
テープ編集: 久木崎秀樹 
Editing: Hideki Kukizaki 


◆本CD解説(美山良夫)より◆ 

「このディスクには、サティの重要な創作活動のひとつである舞台用音楽が含まれている。詩人コクトー(中略)、サティ(中略)、ディアギレフ(中略)、ピカソ(中略)。各人それぞれが、20世紀初頭の芸術運動で重要な位置を占めているこの4人が共作したのが、(中略)《パラード》(1917年初演)である。」
「四手のピアノのための版は、むろん原曲にもとづくものだが、曲順などオーケストラ版と少し異なっている。」
「サティの死の前年に作曲されたバレエ《休演》(1924年初演)は、画家ピカビアの台本と装置、スウェーデン・バレエ団の公演という、前衛芸術家の共同の仕事の果実である。サティは、この2幕のバレエと、その幕間に上映される映画のための音楽を担当した。ここに収録されているのは、その映画のための音楽である。
ドビュッシーがサティを評して、「形式が欠けている」と言ったのに対しサティは形(フォルム)のある作品を書いた。これが(中略)《梨の形の三つの小品》である。(中略)1903年に作曲され、その8年後に出版されたこの曲集は、中心をなす3曲の前後にそれぞれ2曲ずつ追加した7曲からできている。ロジェ・デゾルミエールによるオーケストラ編曲も知られている。
 1905年、40歳のサティは、自分の作曲技法、とりわけ対位法の勉強のため、厳格な教育で知られたパリのスコラ・カントルムに入学。彼はここで模範的学生として3年間を過した。(中略)サティは作曲に再び着手、まず四手ピアノのための《コラールとフーガ》を作曲した。この曲に4年後の1912年作曲の《パストラール》を加えて出版されたのが《不愉快な感じ》である。(中略)《場末のねえさん》(1920年)は、サティ晩年の作である。原曲はピアニストがピアノを弾きながらミュージック・ホールのバンドないしアンサンブルを指揮して演奏するスタイルで書かれている。この曲は1922年に四手用ピアノ曲として出版され、ここでも1922年版によって演奏している。」


◆本CDについて◆ 

全三巻のうちの第三巻。

ブックレット(全12頁)にトラックリスト&クレジット、美山良夫による解説、演奏者紹介(無記名)、解説&演奏者紹介の英・独・仏訳。

サティの音楽の最大の魅力はなんといっても「繰り返し」です。自分などは繰り返しが大好物なので、毎日カレーでも全然平気だし、暇なときは畳の目を数えて過ごします。「映画」なども繰り返しが多くてよいです。そういう意味ではサティの最高傑作は同じフレーズを840回繰り返す「ヴェクサシオン」かもしれないです。

★★★★★ 


映画――《休演》の幕間音楽