『伊福部昭 ギター・リュート作品集』
西村洋(ギター)/デボラ・ミンキン(バロック・リュート)
AKIRA IFUKUBE
WORKS for guitar and baroque lute
Yoh NISHIMURA, guitar
Deborah MINKIN, baroque lute
CD: 株式会社フォンテック
FOCD9623 (2014年)
定価¥1,500+税
Made in Japan
1.古代日本旋法による踏歌 16:17
TŌKA, Cantilena Ballabile sul Mode Antico di Giappone (1967)
2.ギターのためのトッカータ 6:45
TOCCATA per Chitarra (1970)
3.箜篌歌 16:37
KUGOKA, Aria Concertata di KUGO Arpa (1969)
4.バロック・リュートのためのファンタジア 10:31
FANTASIA for Baroque Lute (1980)
西村洋 Yoh NISHIMURA guitar
デボラ・ミンキン Deborah MINKIN baroque lute
Recording Dates
26 Mar. 1985
9 Apr. 1985
Location
St. Gregorian House
Betty 2nd Studio
Instrument
Guitar:
Hermann Hauser I, 1937
Baroque Lute:
Hirokazu Sakurai 13 course, 1978
Designer
Kohei SUGIURA
Shoichi AKAZAKI
◆本CD楽曲解説(横溝亮一)より◆
「古代日本旋法による踏歌」
「踏歌(とうか)は、天武天皇、持統天皇の時代(西暦600年後半)にあらわれた器楽と踊りを伴う歌であったとされる。天平の頃に栄え、一時、禁止されたこともあったが、長くその形態は生き長らえてきた。このギター曲「踏歌」は、そうした日本の伝統的な音楽の形を題材とし、ギターの個性を生かしながら、自由な幻想をひろげた作品である。」
「ギターのためのトッカータ」
「バロック期に多く用いられた“トッカータ”は、イタリア語の“Toccare”(触れる)という言葉に発しており、フーガなど本格的な楽曲を演奏する前に、いわば指馴らしのような形で弾かれる即興的な形を指している。
この「ギターのためのトッカータ」も16分音符4連の下降アルペジオが流れるように連続し、それぞれの第1拍で民族旋法に基く単純な旋律が紡がれていく形をとっている。」
「箜篌歌」
「正倉院御物として、2つの箜篌(くこ)の残欠が伝えられている。伝来当初は雅楽にも用いられた琴、瑟類の楽器で、西欧風にいえばハープ族に属する。(我が国では天平時代に使われたと思われる。(中略)アダージョ・トランキラメンテのゆるやかなテンポで始まり、6連のアルペジオが静謐な雰囲気をかもし出す。この序奏といえる部分からテンポが転じて、早い分散和音の流れとなり、その中にひなびた旋律が縫いこまれる。」
「バロック・リュートのためのファンタジア」
「当時東京音楽大学でリュートの奏法及びその音楽一般を教えていたデボラ・ミンキンのために作曲され、(中略)彼女により初演された。」
「バロック期に多くそうであったように6線の楽譜に書かれている。しかし、基本となる調性は、演奏されるリュートによって異なるため、楽譜上でも絶対音でなく、相対的な音程を示すにとどまっている。曲はかなり自由な3部形式でまとめられている。」
◆本CDについて◆
ブックレット(全8頁)に横溝亮一による解説(「日本的感性を貫く伊福部昭」「楽曲解説」「西村洋」/「FONC-5059より転載」)、「伊福部昭」(作曲者紹介)、写真図版(モノクロ)3点。
1980年代にLP(FONC-5059)としてリリースされ、1991年にCD化(FOCD3144)、さらに1996年にCD再発(FOCD9088)、本CDはその廉価盤です。
★★★★★
古代日本旋法による踏歌