幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『フェラーラの宮廷音楽 ― 15世紀の舞曲とシャンソン』 アルタ・カペルラ&キタレーディ

フェラーラの宮廷音楽 ― 15世紀の舞曲とシャンソン
A La Ferrarese
Bassdanze, Balli e Canzoni
バーゼル・スコラ・カントールム:
アルタ・カペルラ&キタレーディ 
Alta Capella & Citharedi der Schola Cantorum Basiliensis


CD: BMGビクター株式会社 
BVCD-5047 (1992年) 
税込定価¥2,000(税抜価格¥1,942)

 

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帯文: 

ルネサンス時代、北イタリアの名門エステ家のフェラーラ宮廷に響いた音楽。
当時ヨーロッパで広く知られていたシャンソンを器楽によって演奏したもの。」


帯裏文: 

フィレンツェと並んでイタリア・ルネサンス文化の中心地であったフェラーラ宮廷に響いた音楽。造形芸術の分野ではフィレンツェの華やかさに譲るとしても、フェラーラエステ家の宮廷は文学と音楽の中心地として、マドリガーレをはじめとするすぐれた音楽活動を展開していた。そこではまた、当時の音楽家を代表するフランスやフランドルで作られたシャンソンが、各楽器の名手たちによって器楽曲としても演奏されていた。このCDに収録されているのは、そうしたシャンソンの器楽版である。パウル・ザッハーによってスイスに設立された古楽演奏と研究のメッカ、SCBの貴重なドクメンタ・シリーズの一枚。」


フェラーラの宮廷音楽――15世紀の舞曲とシャンソン 
A La Ferrarese
Bassadanze, Balli e Canzoni
Italienische Instrumentalmusik der Frührennaissance 

1.ヨハネス・ルグラン 《ああ、いとしい人の消息が聞けない》 1:41 
Las je ne puis (Rondeau), Jean Legrant
2.アントニオ・コルナツァーノ(?) 《フェラーラ人と呼ばれている笛吹き作のシャンソン》 2:26 
Canson de'pifari dicto el Ferrarese (Bassadanza), Antonio Cornazano (?)
3.ジル・バンショワ 《私は愛をたたえる》 2:35 
Je loe amours (Ballade), Gilles Binchois
4.ドメニコ・ダ・ピアチェンツァ 《グリエルモの娘》 2:16 
La figlia Guiliemino (Ballo), Domenico da Piacenza
5.作曲者不詳 《私はあなたを恵みと呼ぶ》 4:39 
Merce ti chiamo (Ballata), anonymus
6.ギヨーム・デュファイ 《鋭い矢に傷つけられた私》 1:36 
Navare je suy (Rondeau), Guillaume Dufay
7.アントニオ・コルナツァーノ(?) 《スペインの王》 1:24 
Il Re di Spagna (Bassadanza), Antonio Cornazano (?)
8.作曲者不詳 《小さなヴリアン》 1:11 
Petit Vriens (Ballo), anonymus
9.アントニオ・コルナツァーノ 《フェラーラ人》 1:14 
El Ferrarese (Ballo), Antonio Cornazano
10.ドメニコ・ダ・ピアチェンツァ(?) 《恋人》 2:17 
Amoroso (Ballo Francese), Domenico da Piacenza
11.ドメニコ・ダ・ピアチェンツァ 《レオンチェルロ》 2:36 
Leoncello (Ballo), Domenico da Piacenza
12.作曲者不詳 《小さなヴリアン》 1:57 
Petit Vriens (Ballo), anonymus
13.作曲者不詳 《新しいフランス女性》 《ラヴェタンの踊り》 《クレーヴの踊り》 5:26 
La Franchoise nouvelle (Ballo), anonymus
La danza Ravestain (Ballo), anonymus
La danza Cleves (Ballo), anonymus
14.作曲者不詳 《待ち望んだ時がやってきた》 0:57 
Il est venus (Rondeau), anonymus
15.ジル・バンショワ 《悪口を言いたい者は言えばいい》 2:35 
Qui veut mesdire (Rondeau), Gilles Binchois
16.ギヨーム・デュファイ 《心とろかすその姿》 2:37 
La dolce vista (Ballata?), Guillaume Dufay
17.アントニオ・コルナツァーノ(?) 《スペインの王》 2:48 
Il Re di Spagna (Bassadanza), Antonio Cornazano (?)
18.ヨハンネス・ベディンガム 《私のただひとつの快楽》 1:44 
Mon seul plaisier (Rondeau), Bedyngham de Anglia
19.ギヨーム・デュファイ 《果たしてあなたのお恵みが得られましょうか》 1:36 
Porray je avoir (Rondeau), Guillaume Dufay
20.ヨハンネス・ルグラン 《ああ、いとしい人の消息が聞けない》 2:38 
Las je ne puis (Rondeau), Jean Legrant
21.アントニオ・コルナツァーノ(?) 《コリネット》 1:59 
Collinetto (Bassadanza), Antonio Cornazano (?)
22.アントニオ・コルナツァーノ(?) 《コリネット》 2:13 
Collinetto (Bassadanza), Antonio Cornazano (?)
23.ニコラ・グルノン 《私は打ち負かされる》 1:02 
Je suy defait (Rondeau), Nicolaus Grenon
24.ニコラ・グルノン 《何と美しく優しい姿》 1:23 
La plus belle (Virelai), Nicolaus Grenon

Total Time - 53:26


バーゼル・スコラ・カントール
Alta Capella & Citharedi der/of The Schola Cantorum Basiliensis

アルタ・カペルラ: 
Alta Capella:
ランダル・クック、カタリーナ・アルフカン(ショーム・ポンマー) 
Randall Cook, Katharina Arfken: Schalmei/Shawn, Pommer 
ロレンス・ヴェルカー(スライド・トランペット) 
Lorenz Welker: Zugtrompete/Slide trumpet 

キタレーディ: 
Citharedi:
クロフォード・ヤング、ランダル・クック(リュート、チェテラ、ヴィエール) 
Crawford Young, Randall Cook: Laute/lute, Cetera, Viella/vielle
デボラ・ゴメス(ハープ) 
Debra Gomez: Harfe/harp
カルハインツ・シックハウスパンタロン) 
Karheinz Schickhaus: Hackbrett/pantalon 

Recording producer: Meinrad Schweizer, SCB
Recorded: 18. 12.-22. 12. 1984 Reformierte Kirche Sornetan/Switzerland 
Editing of the manuscripts: Lorenz Welker, SCB; Klaus L. Neumann, WDR 
Front Cover: Bible of Borso d’Este from Ferrara Biblioteca Estense, Modena 

Eine Coproduktion mit Westdeutscher Rundfunk Köln


◆本CD解説(今谷和徳)より◆ 

ルネサンスのイタリア文化といえば、まず思い出されるのはフィレンツェの町であり、その支配者であったメディチ家であろう。しかし、わが国ではほとんど知られていないが、エステ家の支配するフェラーラがイタリア・ルネサンス文化の最も重要な中心地のひとつであったことに、もっと目を向けるべきではないだろうか。たしかに、造形芸術の分野ではあまりに華やかなフィレンツェの影に隠れてしまって目立たないが、フェラーラ派と呼ばれる独特の表現を見せる画家たちがこのフェラーラで活躍していたし、なによりもここフェラーラエステ家の宮廷は、ルネサンス時代のイタリアにおける文学と音楽の最大の中心地だったのである。たとえば音楽の分野では、15世紀の前半にフェラーラ侯として君臨したエステ家のニッコロ3世の時代にその繁栄の基礎が置かれ、15世紀の後半のエルコーレ1世時代には宮廷カペルラが最も充実した姿を見せ、16世紀になってアルフォンソ1世、エルコーレ2世、アルフォンソ2世という歴代のエステ家の君主の支配のもとで、マドリガーレを中心とした音楽が華やかに展開されていったのである。このCDは、そうしたフェラーラエステ家の宮廷音楽を、15世紀の半ば過ぎに君臨したボルソ・デステ時代に焦点を当てて紹介しようとしたものである。」


◆本CDについて◆

ブックレット(全16頁)に今谷和徳による解説と「演奏者について」、Crawford Young による解説(英文のみ)、「バーゼル・スコラ・カントールム・ドクメンタ」シリーズCDリスト。

1985年にLPとしてリリースされたもののCD化です。

★★★★☆ 


Antonio Cornazano - Collinetto (Bassadanza)

youtu.be

 

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