幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

藤井郷子 4  『WHEN WE WERE THERE』

藤井郷子
『WHEN WE WERE THERE』 


CD: P.J.L 
発売元:有限会社ピー・エス・シー 
販売元:スリーディーシステム株式会社/株式会社プライエイド・レコーズ 
MTCJ-3024 (2006年) 
定価¥2,625(税抜価格¥2,500) 

 

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帯文: 

「マーク・ドレッサー(b)、ジム・ブラック(ds)、田村夏樹(tp)を加えた'06最新作! 
マッシブな音たちがスリリングでエッジーなエネルギーに昇華する。」


1. Sandstorm  2:31 
2. Runaway Radio  3:43 
3. When We Were There  3:34 
4. In Your Dream  5:33 
5. A Path through the Garden  4:41 
6. Nourishment  2:56 
7. Nocturne  3:34 
8. An Excursion  2:25 
9. Inori  3:04 
10. A Diversion  15:07 

All compositions by Satoko Fujii 


Satoko Fujii Four 

Natsuki Tamura: Trumpet 
Satoko Fujii: Piano 
Mark Dresser: Bass 
Jim Black: Drums 


Recorded by Mike Marciano at Systema Two, NYC on Sep. 12, 2005 
Mastered by Scott Hull at Scott Hull Mastering on May 1, 2006 

Cover Photo: Shinichi Takahashi, Inner Photo: Thomas King 
Art Direction: Takafumi Kitsuda 
Text: Ariake Tosa 


◆本CDブックレット所収の藤井郷子インタビューより◆

「今までは大作指向が強くて、30分くらいの曲も結構多かったんです。でも、今回は短い曲、小品をたくさん作ることを考えました。メシアンなんかもそうだけど、私は作曲家としてたくさんのエレメントを1曲に盛り込むタイプなので、結果的に大曲が多くなってしまう。でも今回はひとつのエレメントで1曲を書くっていうアプローチを、意識的に試してみたかったんです」
「長いことやってると、遠慮や探りあいというものが段々なくなってくる。例えば相手が何かをやる前に、先行してそれを裏切るようなアプローチができるから、逆に演奏にも発展性や刺激が出てくる」
「マークは何事にもていねいに時間をかけ、着実に自分の物にしていくタイプ。ジムはひらめきの人という印象が強いです。(中略)ただ、演奏においてはみんな自分から仕掛けるのが好き。それは全員が共通してますね」
「いつもサポートにまわって雰囲気を維持するんじゃなくて、自分で場面を転換しちゃおうっていうタイプ」
「例えば、特定のパターンのベースラインがあったら、マークはそれをいかに崩そうか、いかに自分なりにラインを変えて行くかを考える。(中略)ジムもグルーヴは維持するけど、いきなり止まったりとか、いかに変化をつけるかを考える」
「例えばオーケストラなんかでもそうだけど、私から“こうしてくれ”っていうことははっきり言わないんです。細かく指示を出すタイプのミュージシャンもいるらしいけど、私はメンバーが独自に解釈してやってくれたほうが楽しいし、自分の作品の枠も大きく捉えられると思っているので。だから、どう表現してくれてもいいっていう幅はすごく広いと思いますね。相手のアプローチがどんなものであっても、それを受け入れられるだけの準備がある程度できている」
「悪く言えば、面白ければどんなことをやってもいいっていうか(笑)。逆に、こうじゃなきゃいけないっていうのを強要するのは、すごい危険なことだと思う」
「だって、多様性を認めるところからすべては始まるはずだし。そうじゃないと平和だって訪れない」
「だから、マークもジムも、最初はあまりにも“それでもいい、あれでもいい”っていうから、混乱していたと思う。最近のほうがより自由にアプローチできるようになったのは、それに慣れてきたからじゃないかな。以前、NDRっていう北ドイツ放送局で曲をアレンジした時、プレイヤーが、放送局のビッグ・バンドで完全なスタジオ・ミュージシャンだったんですね。で、こちらは“もう完全にそちらの好きなようにやってくれ”っていう風に言ったんですけど、(中略)こちらの意図が読めなかったみたい。2、3日リハやって最後はわかってくれてなんとかうまくいったけど、そういう意味では誤解を生みやすいんですね、私のやり方は」
「そのクセ譜面ではややこしいことをたくさん書くから(笑)。難しい譜面なんだけど、その通りにやらなくていいとか、譜面読めなくても構いませんとか言うから、ますます混乱しちゃって(笑)。ただ、私は自分の書いた音楽が先にあるんじゃなくて、一緒にやるプレイヤーから何かを引き出すほうがずっと興味があるし、面白いんです」


◆本CDについて◆ 

見開き紙ジャケット(A式)仕様。ブックレット(全12頁)にトラックリスト&クレジット、土佐有明による藤井郷子インタビュー&演奏者紹介およびその英訳。中ジャケにトラックリスト&クレジット、写真図版(モノクロ)1点。

#1はセシル・テイラーを彷彿とさせます。#4はややキース・ジャレットふうです。

★★★★★ 


Sandstorm 


When We Were There