幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

Univeria Zekt  『The Unnamables』

Univeria Zekt 
『The Unnamables』 
ユニヴェリア・ゼクト 
無敵艦隊 


CD: MUSEA 
FGBG 4086.AR 
Made in France 

マーキー/ベルアンティーク 
MAR 95136 (1995年) 
税込定価¥2,575(税抜¥2,500) 

 

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帯文: 

「マグマの別ユニットとでもいうべき集団。
マグマ・ファミリーの豪華キャストにて、
初期のマグマに通じる 
ヘヴィーなフレンチ・ロックを得意とする
ユニヴェリア・ゼクト
唯一のアルバム。」


1. You Speak and Speak and Colegram (Lasry)  2:10 
ユー・スピーク・アンド・スピーク・アンド・コレグラム 
2. Altcheringa (Cahen/Zabu)  3:27 
アルテリンガ 
3. Clementine (Lasry)  3:00 
クレメンタイン 
4. Something's Cast a Spell (Lasry/Ledissez)  4:16 
サムシングス・キャスト・ア・スペル 
5. Ourania (Vander)  4:23 
オーラニア 
6. Africa Anteria (Vander)  11:30 
アフリカ・アンテリア 
7. Ündïa (Vander)  4:47 
ユンディア 


MUSICIANS: 

Christian VANDER: Drums, percussion, voice on "Africa Anteria". 
Klaus BLASQUIZ: Vocal on "Something's Cast a Spell", 'Ündïa", percussion. 
François CAHEN: Pianos. 
Francis MOZE: Bass, organ. 
Teddy LASRY: Saxophones, flute, organ. 
Jeff SEFFER: Saxes. 
Tito PUENTES: Trumpet. 

Claude ENGEL: Electric and acoustic guitar. 
ZABU: Vocal on "Altcheringa". 
Lionel LEDISSEZ: Vocal on "Something's Cast a Spell". 


Recorded at Strawberry Studios, Hérouville, France, August 1971. 
Sound engineer: Dominique BLANC-FRANCART. 
Produced by Laurent THIBAULT. 
Cover design: DUNCAN. 
Thélème and Magma designs by Marie-Josephe PETIT 
Photography of MAGMA: Klaus BLASQUIZ collection. 
Photography of Tito PUENTES: Désiré PORTIER. 

Re-release executive producers: Francis GROSSE, Bernard GUEFFIER and Alain ROBERT for MUSEA 
Biography and booklet notes by Francis GROSSE 
English translation by Dorian CUMPS and Paul STUMP. 
Art and layout on the CD reissue/Electronic publishing: Alain ROBERT. 


◆日本語解説(中西暢久)より◆ 

「ユニヴェリア・ゼクトなるこのグループ唯一の作品、フレンチ・ロックに少しでも関心がある者なら御存知のとおり、フランス最大のグループ、マグマの物として認知され得るものである。何せ、クリスチャン・ヴァンデ(ds, vo)、クロース・ブラスキス(vo, per)、フランシス・モーズ(b, org)、テディ・ラスリ(sax, fl, org)、ジェフ(ヨシコ)・セファー(sax)、以上の面々はそのままマグマのライン・アップであり、他にクレジットされている四人の内、クロード・アンゲル(g)、ザブ(vo, ②のみ参加)もかつてマグマに居た事がある。(中略)にもかかわらずやはりこのアルバム、純粋なマグマのアルバムと言う訳では無い。では、このアルバムは何を目指し、どう言った意図を持って造られたのだろうか?
 ここでローラン・ティボーと言う名が出て来る。マグマの最初期にメンバーであった彼はエンジニア/プロデューサーとして、さらには唯一のソロ・アルバム「Mais On Ne Peut Pas Rever Tout Le Temps」等でも知られるが、この時期にはバークレー・レーベルでの仕事を経て、自分のレーベルThelemeを設立しようとしていた。彼は’70年代に入り急速に拡大しつつあったフランスならではの方向性を持ったプログレッシヴなロック・シーンに着目すると同時に、そのシーンを取りまく状況(中略)の未熟さを変えるべく努めていた。(中略)その中でも最も知られるべきグループとして彼の頭にあったグループとは、勿論の事マグマだった。当時のシーンにあって余りにも特異なマグマの音楽を世に知らしめるべく企画されたのが、このユニヴェリア・ゼクトと言う訳だ。」
「本作のメンバー選びはヴァンデとティボーがそれぞれ行なっている。ヴァンデは自身を含めて総勢6名からなる当時のマグマをそのままに加えトランペット奏者のティト・プエンテ加藤茶のコントで有名な“タブー”の作曲者でマンボの王様と言われた人とは当然別人)を選び、一方のティボーはThelemeレーベル契約者の内、元マグマの二名、クロード・アンゲルとザブに加え、エルゴ・サムのヴォーカリスト、Lionel Ledissezを選んだ。もっともザブとLedissezは共に一曲のみの参加なので、実質的にはマグマ+アンゲル/プエンテという編成が主となっている。アルバムの構成としては①~⑤がA面、⑥、⑦がB面に配され、最初の四曲がラスリ(①、③、④)、カーン(②)による物、残り三曲がヴァンデによる物になっている。(中略)A面の小曲群はホーン主導のリズミックなリフを中心に、黒人音楽色の強いヴォーカル、ギター、管楽器のソロを中心に置いたシカゴ、ブラッド・スウェット&ティアーズ等を意識したかのようなブラス・ロック色の強い物が占める。(中略)とは言えマグマ・ファンにとって主な興味の対象となるのはやはりヴァンデ作曲の三曲だろうが。(中略)そしてアルバム中、最も印象的な曲が最後の“Undia”だろう。(中略)映画「トリスタンとイゾルデ」にも使われたこの曲、唯一ブラスキスがコバイア語で唄う事もあり、ここではユニヴェリア・ゼクトの仮名を取払ったマグマの姿が見える。」


◆本CDについて◆ 

国内仕様輸入盤。原盤ブックレット(全12頁)にトラックリスト&クレジット、Francis Grosseによる解説(英文)、写真図版(モノクロ)5点、「Musea Productions」(CDリスト)。別冊ブックレット(全8頁)にトラックリスト、中西暢久による解説、写真図版(モノクロ)1点。

オリジナルLPは1972年リリース。邦題は「無敵艦隊」となっていますが、原題の「The Unnamables」はジャケットに使用されているアイルランドの画家「Duncan」による油絵のタイトルを流用したものだということで、それならばたぶんアイルランドの作家サミュエル・ベケットの「名づけえぬもの」(The Unnamable)か、あるいはラヴクラフトの「名状しがたいもの」(The Unnamable)です。音的にはアース・ウィンド・アンド・ファイアーの1stとかに近いです。

★★★★★