幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

peter blegvad john greaves  『unearthed』

peter blegvad john greaves 
『unearthed』


CD: sub rosa 
sr75 

 

 

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7734

1. BOTTLE  2:53 
2. THE GYNAECOLOGISTS  7:24 
3. NEW LIQUID  3:16 
4. LINH-LE  5:01 
5. THE ONLY SONG  3:42 
6. HARDWARE  3:43 
7. CHILDREN  3:58 
8. CHRISTMAS PAST  5:46 
9. HANDKERCHIEF  2:00 
10. DOG WITH A CONSCIENCE  5:57 
11. THE BLACK DOG  2:37 


Peter Blegvad VOICE, GUITAR, PSALTER, MUSIC BOXES [7], HARMONICA 
John Greaves BASS, SYNTHS, RECORDERS [7], VOICE [3], TALKING DRUM [5], TAPES 
TRANSLATION AND ADDITIONAL VOICE ON 7 MARIE-ROSE LEFEVRE 
RECORDED AT ON-OFF STUDIOS MAY 1994 PARIS 
PRODUCED BY JOHN GREAVES 
DRAWINGS-TEXTS PETER BLEGVAD 
MUSIC JOHN GREAVES EXCEPT 3-5-8 BLEGVAD-GREAVES 
MOST OF THE TEXTS ARE INCLUDED IN 'HEADCHEESE' BY PETER BLEGVAD AVAILABLE FROM BCM ATLAS PRESS LONDON WC 1N 3XX 
DESIGN INSPIRAL ICON 
SUB ROSA-PO BOX 808-CM1000 BRUSSELS-BELGIUM


◆本CDについて◆ 

透明ジュエルケース。ブックレット(全12頁)にテクスト&歌詞、トラックリスト&クレジット、Peter Blegvadによるイラスト3点。

1994年作。ピーター・ブレグヴァドが自作パタフィジカル小話10篇(アルフレッド・ジャリやアルフォンス・アレーのような)を朗読し、ジョン・グリーヴスがアンビエント伴奏を提供しています。#5のみ歌ですが、「世界にこの歌しか歌がなくて、一日中この歌をきいていなければならないと想像してごらん」という歌詞が繰り返される歌で、歌自体が小話になっています(のち1998年の『Hangman's Hill』にロングバージョンが収録されています)。タイトルの「unearthed」は「発掘された、出土した、墓から掘り出された」。2篇を除いて死の影が色濃く差しています。「Children」は「リヴァイアサン」(旧約聖書に登場する水棲の怪物)への言及とか「顔がなくなる」とか、顔のない幼児リヴァイアサンと哲学猫(ニャンコ先生?)が主人公のブレグヴァド筆の新聞連載漫画「Leviathan」(1991~1999年)を連想させます。

「Children」
子どもたち、貯水池に釣りに行くときは友だちと一緒に行くように。一人で行くとリヴァイアサンが孤独を嗅ぎつけて出てくるぞ。深い所は避けて浅瀬に留まること。浅瀬で釣った魚をお父さんの夕食に出せばお父さんは機嫌が良くなって君を祝福するだろう。そして君は夢も見ずに安眠し、そして貯水池の深みの暗闇、原始の魚たちが燐光を発しつつ泳ぐ所で、リヴァイアサンも眠り、君の存在など夢にも見ないだろう。
子どもたち、森のなかでは道を外れないように。古木の幹にひそんでいる異界の子どもたちが君に悪さを仕掛けてくるから。歩みを止めずに、冷静に、危ういときに歌うようにお父さんから教わった歌を歌うんだ。木のなかの子どもたちは君のお父さんのお父さんのお父さんよりずっと昔から生きている――古木と同じくらい昔から生きていて、人間がまだいなくて動物もほとんどいなくて木々が地上を支配していた頃のことを覚えている。そして世の中がまたそうなるといいと思っている。
何年も前に森を歩いていたとき、モットという名の少年が楡の古木の枝に登った。友人のボーは道に留まっていた。楡の木はダイオウイカのようにモットに巻きついた。樹皮が開くと幹の中で子どもたちが笑っていた。モットの姿はそれきり見えなくなった。ボーは冷静に歩き続けた。お父さんが教えてくれた歌を歌いながら。ボーというのは私で、今ではすっかり年老いてしまったが、ちょっとした用心のおかげで、無鉄砲な友人たちのような目にあわずに済んだのだ。お父さんが教えてくれた歌はこうだ。「リボンとレース/お前の顔はどこ?/跡形もなく消え失せた――/お尻だけ残して/たくさんのリボンとレース」。

★★★★☆