幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

Guru Guru "Essen 1970"

Guru Guru

"Essen 1970"



サイケでアシッドでヒッピーなジャケ写真が郷愁をくすぐる、1970年10月25日エッセンでのライヴ音源の発掘CD。

1963年、チューリッヒで、フリージャズ・ピアニストのイレーネ・シュヴァイツァーのリズム隊としてウリ・トレプテ(ダブルベース)とマニ・ノイマイヤー(ドラム)が出会い意気投合(当時のシュヴァイツァー・トリオの演奏は後年FMPからLP化されています)。以降、フリージャズ・ドラマーとして、マニはマンフレッド・ショーフのグループやアレクサンダー・シュリッペンバッハの「グローブ・ユニティ」で演奏しているが、おなじくフリージャズのドラマーだったヤキ(ジャッキー)・リーベツァイト(のち「CAN」)もショーフのグループで録音(FMP)を残しているし、グローブ・ユニティのアルバムで二人は共演している。エレキベースに持ち替えたウリとマニを中心に、1968年にスイス人ギタリストを入れて、グルグルの前身バンド「グルグル・グルーヴ(Guru Guru Groove)」が結成される。1969年にバンド名を「グルグル」とし、元アジテーション・フリーのギタリスト、アックス・ゲンリッヒが加わってグルグル黄金トリオが誕生する。三人は一時ハイデルベルクに住んでいて、ジャケ写真はそのとき撮られたもの(左からアックス、マニ、ウリ)。オール(Ohr)レーベルと契約したグルグルは1970年にアルバム「UFO」をリリース、1970年10月22から25日にかけてエッセンで行なわれた「3rd Pop & Blues Festival」での演奏の発掘音源が本作ということになる(このとき出演したのはフォザリンゲイ、イースト・オブ・エデン、メイ・ブリッツ、サヴォイ・ブラウン、ライフタイム、ジョン・マクラフリン、ティラノザウルス・レックス、ジンジャー・ベイカー等、ドイツのバンドではフランピー、エンブリヨ、ウルフガング・ダウナーらが参加している)。収録されているのは「Stone in」「Der LSD-Marsh」(ファースト「UFO」収録曲)、「Bo Diddley」(セカンド「Hinten」収録曲)で、たいへんすばらしい演奏なのですが、残念なことに「Bo Diddley」の後半以降は、発見されたマスターテープが再利用されていたため、消されていたということで、途中でフェードアウトしています。

というわけで、主にCDライナーノート(英文)を祖述してまいりましたが、マニとウリは元々ジャズの人でもあるので、スタジオ盤よりもライヴのほうがノリのあるよい演奏をしています。それにしてもこのころのグルグルはとてつもなくハードでヘヴィでアグレッシヴでアナーキーでシュルレアリスティックでかつテクニカルでかっこよかったです。フリージャズとロックの恐るべき私生児。ビル・ラズウェルなんかウリ・トレプテの足もとにも及ばないのです。


Guru Guru - Essen 1970
Garden of Delights CD 075 (2002)

1. Stone in 12:00
2. Der LSD-Marsh 14:22
3. Bo Diddley 11:27

Ax Genrich: Gitarre
Mani Neumeier: Stimme (auf 1), Schlagzeug
Uli Trepte: Stimme (auf 3), Bass