『Andalusian Music from Morocco』
Moroccan Ensemble Fez
Editio Classica / Schola Cantorum Basiliensis Documenta
CD: Deutsche Harmonia Mundi/BMG
GD77241 (1991) 2CD
Compact Disc 1 48:48
Naubatu r-rașdi, mīzānu l-quddāmi (first part)
Naubatu r-rașdi, mīzānu l-quddāmi (second part)
Compact Disc 2 54:25
Naubatu l-māyati, mīzānu l-basīţ
Naubatu l-māyati, mīzānu l-quddāmi
In order to preserve the cyclical character of this music, the recording has not been divided into individual tracks.
Moroccan Ensemble from Fez
Hāǧǧ Abdelkarim Rais: rabab (two-stringed bowed instrument), voice
Muḥammad Baǧdub: voice
Sidi Samlali: violin, voice
Muḥammad Ben Hayyun: violin, voice
Hāǧǧ Muḥammad Buzuba: cūd (lute), voice
Saleḥ Cherki: qānūn (zither with trapezoidal soundbox), voice
Hāǧǧ Muḥammad Tazi: ṭār (tambourine with jingles), voice
Hāǧǧ Abdelahad Amri: darābukka (single-headed goblet drum), voice
Direction: Hāǧǧ Abdelkarim Rais
Recording: Robert Lattmann
Recorded: 3. 2. 1977
Phonag Tonstudio, CH-8307 Lindau ZH
Liner notes: Thomas Binkley
Translations: Meinrad Schweizer, Anne Smith, Geneviève Bégou, Isabel Rodriguez-Nogueras
Front cover picture: Miniature from the Cantigas manuscript
El Escorial, Real Monasterio de El Escorial, T.j.l.
Booklet cover illustration: The table shows a tree with "limbs" and "branches" representing the system of 24 tonalities employed in "Andalusian" music.
A co-production with Westdeutscher Rundfunk Köln
◆本CDについて◆
ブックレット(全32頁)にトーマス・ビンクリーによる解説(英・独・仏)および「Schola Cantorum Basiliensis - Documenta」紹介文(英・独・仏)とCDリスト。ブックレット裏表紙に写真図版(モノクロ)1点。
オリジナルは1984年にLP二枚組(独ハルモニア・ムンディ)『Andalusische Musik aus Marokko』としてリリースされました。
前回紹介したグレゴリオ・パニアグワ指揮アトリウム・ムジケー古楽合奏団による『アラブ=アンダルシアの音楽』(1976年録音)は、レコンキスタ以前のイベリア半島を支配したイスラム教徒によるいにしえのアンダルス音楽(アンダルシア地方のイスラム教徒の音楽)を、器楽曲で復元する試みでしたが、本作(1977年録音)は、レコンキスタでスペインを追われ、北アフリカに移住したイスラム教徒の子孫たちが伝承するアンダルス音楽の歌メドレーの演奏で、二つのナウバ(ヌバ、組歌)が演奏されています。これ自体は古楽というよりは民族音楽で、「バーゼル・スコラ・カントールム」は演奏には参加していません。
トーマス・ビンクリーは、中世のスペインではカンティガのようなモノフォニー歌曲の伴奏や器楽曲にアンダルス音楽の演奏法が取り入れられていたと考えていて、それは「バーゼル・スコラ・カントールム」との『聖母マリアのカンティガ集』の録音(1980年)にも反映されていましたが、1977年にバーゼルで開催された「地中海音楽と中世音楽」というシンポジウムで、ビンクレーの「ミュンヘン古楽スタジオ」(中世音楽代表)と共に会場で演奏を披露したのが本作のパフォーマーであるモロッコの音楽家たち(地中海音楽代表)で、本作のレコーディングもその会期中に行われたようです。
本作は録音もよく、音の輪郭もはっきりしていてよいです。歌入りのイスラム音楽というとどうしても熱くなりがちですが、本作は涼しげです。歌詞は掲載されておらず、トラックリストに記載されている各曲のタイトル=歌い出しの部分の歌詞もドイツ語表記だけですが、解説によると「日の出や日没、植物の美しさといった自然描写や、酒宴、遠く離れた恋人への想い、預言者ムハンマドへの称賛」が主なテーマとなっているようです。
★★★★★
Moroccan Ensemble Fez Andalusian Music From Morocco Part 1
Moroccan Ensemble Fez Andalusian Music From Morocco Part 2