デイヴィッド・マンロウ 『リコーダーの芸術』
The Art of the Recorder
David Munrow
CD: ワーナーミュージックジャパン
Originale (Period Instrumental Series)
WPCS-16265/6 (2016年)
定価¥2,300(本体)+税
帯文:
「リコーダー音楽を時代別に大きく俯瞰し、それぞれを最高水準の録音として残したマンロウ。中世から現代のリコーダー作品と、マンロウ自身の手で書き上げた興味深いライナーノーツまで完成させたのが、この「リコーダーの芸術」です。初版ライナーノーツからの新規解説・日本語訳と、演奏風景や楽器の写真も多数掲載。」
CD 1 51:37
中世
1.イングリッシュ・ダンス(作者不詳・13世紀) 1:39
English Dance (Anon. 13th Century)
2.サルタレロ(作者不詳・14世紀) 4:09
Saltarello (Anon. 14th Century)
ルネサンス
3.愉快な歌(ジャック・バルビロー) 2:44
Een Vrolic Wesen (Jacques Barbireau)
4-7.ピエール・アテニャン出版の曲集より: 4つのシャンソン
Four chansons published by Pierre Attaingnant
4.愛する人の苦しみが私を苦しめる(ジャコタン) 1:56
Yoyant souffrir (Jacotin)
5.3人のブルジョワ娘(ギヨーム・ル・ユーテュール) 1:14
Troys jeunes bourgeoises (Guillaume le Heurteur)
6.ため息が火を付ける(クローダン・ド・セルミジ) 1:27
Allez soupirs (Claudin de Sermisy)
7.悲しまずに私を愛して(クローダン・ド・セルミジ) 0:55
Amour me voyant (Claudin de Sermisy)
8.ファンタジー「木々の葉は青く」(ウィリアム・バード) 4:49
Fantasy: The Leaves be green (William Byrd)
9-13.5つの舞曲(アントニー・ホルボーン)
Five dances (Anthony Holborne)
9.いつも通り 1:38
Sic Semper soleo
10.パヴァン 3:16
Pavan
11.ガリアルド 1:14
Galliard
12.選択 2:01
The choice
13.とてもかわいい人 1:14
Muylinda
初期バロック
14.7本のリコーダーのためのソナタ(ヨハン・ハインリヒ・シュメルツァー) 3:27
Sonata à 7 flauti (Johann Heinrich Schmelzer)
15.グラウンド・バス上の3声のためのファンタジア(ヘンリー・パーセル) 5:57
Fantasia: Three parts upon a Ground (Henry Purcell)
後期バロック
16-18.リコーダーと2本のヴァイオリンのための協奏曲 イ長調 RV.108/P.77(アントニオ・ヴィヴァルディ)
Concerto in A minor (Antonio Vivaldi)
16.アレグロ 2:59
Allegro
17.ラルゴ 2:25
Largo
18.アレグロ 2:39
Allegro
19-21.リコーダーのための協奏曲 第2番 二長調(ジョン・バストン)
Concerto in D major (John Baston)
19.アレグロ 2:04
Allegro
20.アダージョ 1:42
Adagio
21.プレスト 2:05
Presto
CD 2 47:32
後期バロック(続き)
1.さくらんぼよりなお紅く(マスク「エイシスとガラティア」より)(ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル)
'O ruddier than the cherry' from *Acis and Galatea* (Georg Friedrich Händel) 3:08
2.羊は憩いて草を食む(カンタータ第208番「楽しき狩りこそわが悦び」より)(ヨハン・セバスティアン・バッハ) 4:37
'Schafe können sicher weiden' from Cantata *Was mir behagt, ist nur muntre Jagd* BWV208 (Johann Sebastian Bach)
3.ソナティナ(カンタータ第106番「神の時こそいと良き時」より)(ヨハン・セバスティアン・バッハ) 2:34
Sonatina from Cantata *Gottes Zeit ist die allerbeste Zeit* BWV106 (Johann Sebastian Bach)
4.アリア「飢えている者は良いもので飽かせ」(マニフィカト BWV243a 第1稿 変ホ長調より)(ヨハン・セバスティアン・バッハ) 3:16
'Esurientes' from *Magnificat in E flat major (BWV243a) (Johann Sebastian Bach)
5.緑林の木陰で(劇音楽「お気に召すまま」より)(トマス・オーガスティン・アーン) 2:14
'Under the Greenwood Tree' from *As You Like It* (Thomas Augustine Arne)
6-7.2つのミュゼット(フランソワ・クープラン)
Two Musétes (François Couperin)
6.選り抜きのミュゼット 3:06
Muséte de Choisi
7.居酒屋のミュゼット 2:19
Muséte de Taerni
現在
8.スケルツォ(ベンジャミン・ブリテン) 2:05
Scherzo (Benjamin Britten)
9.トリオ(「プレーンの音楽の日の曲集」より)(パウル・ヒンデミット) 8:31
Trio from the Plöner Musiktag (Paul Hindemith)
10.ノドジロムシクイ(ナイジェル・バターリー) 2:29
The White Throated Warbler (Nigel Butterley)
11.リコーダー・ミュージック(ピーター・ディキンソン) 13:07
Recorder Music (Peter Dickinson)
デイヴィッド・マンロウ・リコーダーコンソート
The David Munrow Recorder Consort
デイヴィッド・マンロウ
David Munrow
ジョン・ターナー
John Turner
デイヴィッド・パグスリー
David Pugsley
アラン・ラムスデン
Alan Lumsden
アンドリュー・ファン・デア・ベーク
Andrew van der Beek
ロンドン古楽コンソートのメンバー
Members of The Early Music Consort of London
器楽
サイモン・スタンデイジ(バロック・ヴァイオリン)
Simon Standage, baroque violin
エレナ・スローン(バロック・ヴァイオリン)
Eleanor Sloan, baroque violin
オリヴァー・ブルックス(レベック、バスヴィオル、ヴィオローネ、バロック・チェロ)
Oliver Brookes, rebec, bass viol, violone, baroque cello
ジェーン・ライアン(バスヴィオル[CD2 #3])
Jane Ryan, bass viol
エリザベス・ペイジ(バスヴィオル[CD2 #3]、バロック・アルトリコーダー[CD1 #14])
Elizabeth Page, bass viol, baroque treble recorder
ロバート・スペンサー(キタローネ)
Robert Spencer, chitarrone
ジェイムズ・タイラー(リュート、シトール、ルネサンス・テナーリコーダー[CD1 #14])
James Tyler, lute, citole, renaissance tenor recorder
クリストファー・ホグウッド(オルガン、ハープシコード)
Christopher Hogwood, organ, harpsichord
デイヴィッド・コークヒル(打楽器)
David Corkhill, percussion
声楽
ノーマ・バロウズ(ソプラノ)
Norma Burrowes, soprano
ジェイムズ・ボウマン(カウンター・テナー)
James Bowman, counter tenor
マーティン・ヒル(テノール)
Martyn Hill, tenor
ロバート・ロイド(バス)
Robert Lloyd, bass
録音: 1975年頃
Recording Producer: John Willan
Recording Engineer: Stuart Eltham
「Originale」シリーズ・マスター制作: 杉本一家(JVCマスタリングセンター)
◆本CD解説(井上亨)より◆
「この「リコーダーの芸術」というアルバムは、まさに「中世・ルネサンスの楽器」のリコーダー版といえるでしょう。中世から現代に至るまで、音楽のスタイルと楽器の変化を簡潔な解説とともに音によって描き出しています。」
「〈古楽の演奏ピッチについて〉
この録音では、ほとんどの楽曲はA=440Hz、デンナーやステインズビー・ジュニアのオリジナル、または複製を使用したものがA=415Hz、ブレッサンのオリジナル楽器を使用したものがA=403Hzで演奏されています。
現在、標準ピッチとして定められているA=440Hzは1939年に国際会議で定められたもので、モダン・ピッチと呼ばれることもあります。実際はオーケストラやアンサンブルで、より張りのある音を求めて高くなる傾向にあり、442‐445Hzで調律されることもあります。」
「一方で、古楽演奏が当たり前になる中で、バロック時代はAは415Hzだったとか、ルネサンス時代は逆に高くて466Hzだったということがあります。これは大きな誤解の元になりかねません。この415Hz、466Hzといった値は、現代の都合に合わせて便利な値を採用しているにすぎず、バロック時代やルネサンス時代にみながこのピッチで演奏していたわけではないことに注意が必要です。
各時代、各都市によって、基準のピッチは異なり、残された楽器(特にオルガン)をみる限り、バロック時代ではA=380‐460Hzの範囲にばらついていることがわかります。リコーダーに限っても、この録音で使われているブレッサン作のリコーダーがA=403Hzであることからもわかるように、オリジナルのバロック後期のリコーダーでもA=400‐420Hzの範囲にばらついており、統一したピッチが存在しないことは明らかです。
現在、ヴェルサイユピッチ(A=392Hz、モダンピッチの全音下)、バロックピッチ(A=415Hz、モダンピッチの半音下)、ルネサンスピッチ(A=466Hz、モダンピッチの半音上)といわれるものは、単に鍵盤楽器が簡単に半音単位でピッチを移行する仕組みを組み込むための簡素化した規則にすぎないことを忘れてはなりません。」
◆本CDについて◆
24mm厚ジュエルケース入り。ブックレット(全48頁)に「デイヴィッド・マンロウとは何者だったのか?」「リコーダー小史」(井上亨/2016年)、「曲目紹介」(デイヴィッド・マンロウ/訳:井上亨/2016年)、図版(モノクロ)24点。
1975年に二枚組LPとしてリリースされました。
★★★★★
Saltarello
Muséte de Choisi