デイヴィッド・マンロウ 『グリーンスリーヴズ』
Greensleeves to a Ground
David Munrow: recorder
Members of the Early Music Consort of London
George Malcolm: harpsichord & piano
CD: ワーナーミュージックジャパン
Originale (Period Instrumental Series)
WPCS-16267 (2016年)
定価¥1,400(本体)+税
帯文:
「マンロウが亡くなる3ヶ月前に行った最後の録音。名曲「グリーンスリーヴズ」などダウランドやパーセルたちの17世紀の曲から20世紀のイギリスの作曲家たちの、リコーダー作品の数々を収めた異色のアルバム。古典的な格調の高さの中に懐かしさと暖かさが溢れる、哀愁を帯びたリコーダーの響きが絶品。全曲盤としては世界初CD化。」
1.(グラウンド・バス上に奏される)「グリーンスリーヴズ」による変奏曲(作者不詳・17世紀) 4:12
Greensleeves to a ground (Anon. 17th Century)
デイヴィッド・マンロウ(リコーダー)、ジョージ・マルコム(ハープシコード)
オリヴァー・ブルックス(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
David Munrow (recorder), George Malcolm (harpsichord) & Oliver Brookes (viola da gamba)
2-6.「ラクリメ、あるいは7つの涙」より5つの舞曲(1605)(ジョン・ダウランド)
Five Dances from Lachrymae (1605) (John Dowland)
(1)ジョン・スーチ卿のガリアルド 1:49
Sir John Souch his Galliard
デイヴィッド・マンロウ、ジョン・ターナー(アルトリコーダー)
デイヴィッド・パグスリー、アラン・ラムスデン(テナー・リコーダー)
アンドリュー・ファン・デア・ベーク(バスリコーダー)
David Munrow & John Turner (treble recorders), David Pugsley & Alan Lumsden (tenor recorders), Andrew van der Beek (bass recorder)
(2)エセックス伯のガリアルド 1:23
Earl of Essex Galliard
(3)古いラクリメ 4:13
Lachrymae Antiquae
(4)デンマーク王のガリアルド 2:32
The King of Denmark's Galliard
デイヴィッド・マンロウ(アルトリコーダー)、ロバート・スペンサー(リュート)
David Munrow (treble recorder) & Robert Spencer (lute)
(5)ニコルス夫人のアルマンド 1:11
Mrs. Nichols Almand
(1)の奏者とロバート・スペンサー(リュート)
as (1) with Robert Spencer (lute)
7.鳥の鳴き声の模倣によるソナタ(ウィリアム・ウィリアムズ) 6:17
Sonata in Imitaton of Birds (William Williams)
デイヴィッド・マンロウ、ジョン・ターナー(アルトリコーダー)、ジョージ・マルコム(ハープシコード)
オリヴァー・ブルックス(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
David Munrow & John Turner (treble recorders), George Malcolm (harpsichord) & Oliver Brooker (viola da gamba)
8.劇音楽「ダイオクリージャン」より シャコンヌ(1690)(ヘンリー・パーセル) 3:13
Chaconne from Dioclesian (Henry Purcell)
デイヴィド・マンロウ、デイヴィッド・パグスリー(アルトリコーダー)、ジョージ・マルコム(ハープシコード)
オリヴァー・ブルックス(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
David Munrow & David Pugsley (treble recorders), George Malcolm (harpsichord) & Oliver Brookes (viola da gamba)
9.4本のリコーダーと通奏低音のためのソナタ (ジャック・ペジブル/ゴットフリート・フィンガー) 4:26
Sonata for 4 Recorders (Jacques Paisible / Gottfried Finger)
デイヴィッド・マンロウ、ヴァレリー・バッツ、ジョン・ターナー、デイヴィッド・パグスリー(アルトリコーダー)
ジョージ・マルコム(ハープシコード)、オリヴァー・ブルックス(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
David Munrow, Valerie Butts, John Turner & David Pugsley (treble recorders), George Malcolm (harpsichord) & Oliver Brookes (viola da gamba)
10.グリーンスリーヴズによる幻想曲(歌劇「恋するサー・ジョン」より)(レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ) 4:17
Fantasia on Greensleeves (from "Sir John in Love") (Ralph Vaughan Williams)
デイヴィッド・マンロウ(アルトリコーダー)、ジョージ・マルコム(ピアノ)
David Munrow (treble recorder) & George Malcolm (piano)
11.「カプリオル組曲」より ブランル(ピーター・ウォーロック) 2:02
Bransles (from "Capriol Suite") (Peter Warlock)
デイヴィッド・マンロウ(ソプラノリコーダー)、ジョン・ターナー(ソプラニーノ及びアルトリコーダー)、デイヴィッド・パグスリー(アルトリコーダー)、アラン・ラムスデン(テナーリコーダー)、アンドリュー・ファン・デア・ベーク(バスリコーダー)
David Munrow (descant recorder), John Turner (sopranino & treble recorders), David Pugsley (treble recorder), Alan Lumsden (tenor recorder) & Andrew van der Beek (bass recorder)
12.「悲しみの心」による瞑想曲(エドムンド・ラッブラ) 4:26
Meditazioni sopra "Coeurs Desoles" (Edmund Rubbra)
デイヴィッド・マンロウ(アルトリコーダー)、ジョージ・マルコム(ピアノ)
David Munrow (treble recorder) & George Malcolm (piano)
13.パイプ(竹笛)のための組曲(レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ) 10:44
Suite for Pipes (Ralph Vaughan Williams)
イントラーダ―メヌエット―ヴァルス―フィナーレ(ジグ)
Intrada - Minuet - Valse - Finale (Jig)
デイヴィッド・マンロウ(ソプラノリコーダー)、ジョン・ターナー(アルトリコーダー)、デイヴィッド・パグスリー(テナーリコーダー)、アラン・ラムスデン(バスリコーダー)
David Munrow (descant recorder), John Turner (treble recorder), David Pugsley (tenor recorder) & Alan Lumsden (bass recorder)
14.ビーチコマー(クライヴ・リチャードソン) 2:45
Beachcomber (Clive Richardson)
デイヴィッド・マンロウ(ソプラノリコーダー)、ジョン・ターナー(アルトリコーダー)、デイヴィッド・パグスリー(テナーリコーダー)、アラン・ラムスデン(バスリコーダー)
David Munrow (descant recorder), John Turner (treble recorder), David Pugsley (tenor recorder) & alan Lumsden (bass recorder)
Total Time 53:38
デイヴィッド・マンロウ(リコーダー)
David Munrow, recorder
ロンドン古楽コンソートのメンバー
Members of the Early Music Consort of London
ジョージ・マルコム(ハープシコード&ピアノ)
George Malcolm, harpsichord & piano
録音: 1976年2月
Recording Producer: John Willan
Recording Engineer: Stuart Eltham
「Originale」シリーズ・マスター制作: 杉本一家(JVCマスタリングセンター)
◆本CD「解説」(井上亨)より◆
「イギリスの音楽史を振り返ってみると、ルネサンス時代後期にイギリスで3度や6度の和音を利用した新たな響きが音楽に導入され、15世紀のダンスタブルを代表とするイギリスの音楽家の手法が大陸に伝わり、それが新たな音楽の華を咲かせます。その時期から17世紀末までがイギリス音楽の最初の黄金時代でした。」
「しかし、音楽の先端地であったイギリスは、その後、その国の作曲家が優れた作品を作り出していくことよりも、音楽を受容し、消費する土地として発達していきます。」
「19世紀後半から20世紀にかけて、欧米で国民楽派という形でその土地の民謡や歴史的な主題が音楽に取り入れられた時に、イギリス音楽も新たな息吹を迎えます。(中略)エルガー、ホルスト、ディーリアス、ヴォーン・ウィリアムズ、ブリテンなどが登場しイギリス音楽は再び世界に注目されるようになります。
この「グリーンスリーヴズ」は、デイヴィッド・マンロウがリコーダーによって、イギリス音楽の黄金時代を描き出そうとしたものといえます。前半の5曲は16~17世紀、後半の5曲が20世紀の曲で構成されており、2つの黄金時代を際だたせます。そして、それぞれの時代の冒頭を「グリーンスリーヴズ」で象徴してみせる構成の妙や、リチャードソンの「ビーチコマー」のような、通常、リコーダーのレパートリーとしては演奏されない軽音楽が選ばれているところが、広い音楽に関心を持ち続けたマンロウらしく、この録音をユニークなものにしています。」
◆本CDについて◆
ブックレット(全16頁)に「デイヴィッド・マンロウ最後の録音」「イギリス音楽の黄金時代」(井上亨/2016年9月)。
LPは1977年リリース。
リコーダーという小さな楽器で中世から現代までのヨーロッパ音楽史を通観してしまおうという試みが二枚組の大作『リコーダーの芸術』だったとすると、マンロウ最後の録音である本作は、リコーダーという小さな楽器による大英帝国史の試みだったのではなかろうか。
★★★★★
G
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