『エンゲルベルク写本314 ― 中世後期の音楽』 バーゼル・スコラ・カントールム

『エンゲルベルク写本314 ― 中世後期の音楽』
エンゲルベルク修道院の手写譜第314号による中世後期の聖歌
Codex Engelberg 314
Musik des späten Mittelalters
Gesänge aus dem Codex 314 der Stiftsbibliothek Engelberg
バーゼル・スコラ・カントールム 
Schola Cantorum Basiliensis


CD: BMGビクター株式会社 
BVCD-37 (1991年) 
税込定価¥3,000(税抜価格¥2,913) 

 

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エンゲルベルク修道院の手写譜第314号による中世後期の聖歌
Codex Engelberg 314
Musik des späten Mittelalters
Gesänge aus dem Codex 314 der Stiftsbibliothek Engelberg

1.女から生まれたもののうち/おおヨハネよ(洗礼者ヨハネのモテット) 2:31 
Inter natos mulierum / O Johannes doce nos (Motette auf Johannes den Täufer)
2.胸と心(聖母マリアの賛歌) 4:08 
Hertz vnd sinne muege dich („Ein lied von vnser frowen“: fol. 5r)
3.アレルヤ、おおマリアよ、赤いばらよ(聖母マリアアレルヤ唱) 3:18 
Alleluia, V.O. Maria rubens rosa (auf Maria: fol. 101v)
4.一角獣は捕えられ(復活祭のコンドゥクトゥス) 3:43 
Unicornis captivatur (Conductus für die Osterzeit: fol. 150v)
5.喜べ、信仰を持ったすべての人々よ(続唱《レタブンドゥス Laetabundus》のドイツ語版) 3:15 
Vrœt ùch alle geloubigù lùte mit Schall (deutsche Fassung des „Letabundus“: fol. 89r)
6.教会の栄光(ヨハネの黙示録より) 4:42 
Ad decus ecclesie / Lectio libri apocalipsis (farsierte Lesung zur Kirchweih: fol. 98v)
7.おおマリアよ、赤いばらよ(聖母マリアのコンドゥクトゥス) 3:10 
O Maria rubens rosa mater (Conductus: fol. 175v)
8.キリエ、善の泉よ(トロープ付きキリエ) 4:00 
Kyrie fons bonitatis (folio 94v)
9.来たれ、聖霊よ、盲目の心を照らせ(聖霊降臨祭のロンデルヌ) 2:26 
Veni sancte spiritus illustra cecam mentem (Rondellus zu Pfingsten: fol. 168r)
10.栄えあれ、民族の父よ/われらに耳を傾けたまえ(聖霊のモテット) 2:26 
Salve pater nominum / Exaudi nos (Motette auf den heiligen Geist: fol. 141r)
11.花婿のように進み出て(トロープ付きベネディカムス・ドミノ) 1:15 
Procedentem sponsum de thalamo (Benedicamus: fol. 127r. 180v)
12.汚れなく完全な乙女/名誉あるキリストの花嫁(聖母マリアのモテット) 2:07 
Illibata virgo casta / Egregia sponsa Cristi Maria (Motette auf Maria: fol. 135v)
13.アレルヤ、名高い指導者ベネディクト/ベネディクトよ、その功績(聖ベネディクトのアレルヤ唱、および続唱) 5:03 
Alleluia, V. Inclite dux Benedicte
Benedicte merita (Alleluia und Sequenz auf St. Benedikt: fol. 34r)
14.主があなたとともにあるように(ルカによる福音書より)(福音書朗読) 4:31 
Dominus vobiscum / Sequentia sancti ewangelii secundum Lucam / In illo tempore / Ingressus Ihesus (Evangeliumslesung nach Luk. 19,1-10: fol. 34r)
15.死は生のただ中にあり/ああ人よ、考えるがよい(トロープ付き交唱) 4:01 
Media vita in morte / Ach homo perpende fragilis (tropierte Antiphon: fol. 87v)
16.うるわしい救い主の母/乙女マリアの腹を身ごもらせたのは(トロープ付き聖母マリアの交唱) 3:39 
Alma redemptoris mater / Marie virginis fecundat viscera (tropierte Antiphon: fol. 83r)
17.すべての舌はほめ賛えよ(賛歌《パンジェ・リングァ Pange lingua》のドイツ語版) 2:52 
Lobt all zungen des eren richen gottes (deutscher Text zum „Pange lingua“, dem Mönch von Salzburg zugeschrieben: fol. 10v)
18.共に喜べ、信仰あつい民衆よ(クリスマスのトロープ付きベネディカムス・ドミノ) 1:48 
Congaudeat turba fidelium (Benedicamus zur Weihnacht: fol. 180r)

Total Time - 59:57


ドミニク・ヴェラール、エマニュエル・ボナルド、ゲルト・トュルク 
Dominique Vellard, Emmanuel Bonnardot, Gerd Türk
バーゼル・スコラ・カントールム・コラール・アンサンブル
Choralenseble der Schola Cantorum Basiliensis
ウルリッヒ・プファイファー、ゲオルク・ゼン、ヴィレム・デ・ヴァール 
Ulrich Pfeifer, Georg Senn, Willem de Waal 
指揮: ドミニク・ヴェラール&ヴルフ・アルト 
Leitung: Dominique Vellard und Wulf Arlt 

Aufnahme/Recording: Pere Casulleras
Aufgenommen/Recorded: 3.-6. III. 1986 Kirche Ottmarsheim/Elsaß (F)
Titelseite/Front cover illustration: Stiftsbibliothek Engelberg, Codex 60
(illustrierter lateinischer Psalter, ca. 1330), fol. 16r: "Als unser here gewaltlich ze der helle vuor"


◆本CD解説(金澤正剛)より◆ 

「現在のスイスのほぼど真ん中、ルツェルンの南約20-30キロほどのスイス・アルプスの谷間に、エンゲルベルク、つまり《天使の山》という名の古い村がある。12世紀のこと、この村にベネディクト派の修道院が建てられた。人里離れた辺鄙な山間に位置してはいたものの、東西の交流のルートからも程遠くはなかったこともあって、文化的には中世ヨーロッパのさまざまな活動の影響がこの修道院に常にもたらされていたらしい。その結果、14世紀の終わり頃ともなると、音楽の分野においても伝統的なグレゴリオ聖歌ばかりでなく、中世中期から後期にかけて見られたさまざまな音楽様式の影響が見受けられるようになっていた。例えば伝統的な聖歌に新しい歌詞を付け加えて歌うトロープの習慣も大いに行われていたらしい。また通常は唱えるだけの聖書朗読に節をつけて歌ったり、聖歌の歌詞をドイツ語に訳したりもしている。さらにはラテン語やドイツ語で新たに宗教的な歌曲を書いたりもしたが、そうした中にはトルヴェールやミンネジンガーのような、12-14世紀に活躍した十字軍の騎士たちの歌の影響もしばしば見られる。そして一方ではオルガヌムやモテットのようなポリフォニーも歌われていたし、行列歌として知られるコンドゥクトゥスにも単旋律のもの、ポリフォニーのものの二通りがあった。
 こうした種々雑多なこの修道院レパトリーを、14世紀の後半から15世紀の初めにかけて、何人かの修道士たちが少しずつ書き写しはじめ、ひとつの曲集にまとめ上げた。それが今日第314号の番号で知られている手写譜である。そこに含まれている歌の数々は、1400年頃にこの修道院で歌われていた標準的なレパトリーと考えてよいだろう。それは当時としては決して時代の先端を行くものではなく、むしろ極めて保守的な色合いさえ感じられるものである。1400年と言えばフランスではすでにアルス・ノーヴァでさえ過去のものとなりつつあり、極端に複雑なリズムを用いた作曲様式がもてはやされていた時代にあたる。この手写譜に含まれている単純なオルガヌムやモテットなどは1世紀、いや2世紀近く時代遅れであるとも言えよう。しかしそれがスイスの山中の修道院における現実であり、それはそれなりに面白いのではなかろうか。」


◆本CDについて◆ 

ブックレット(全28頁)に金澤正剛による解説と歌詞(対訳:金澤正剛)。

★★★★☆


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