幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『Josquin Desprez: Missa Pange Lingua』 Ensemble Clément Janequin/Ensemble Organum

『Josquin Desprez: Missa Pange Lingua』
ジョスカン=デ=プレ 
ミサ「パンジェ・リングヮ」 
Ensemble Clément Janequin/Ensemble Organum
アンサンブル・クレマン・ジャヌカン 
アンサンブル・オルガヌム/マルセル・ペレ指揮 


CD: Harmonia Mundi France
HMC 901239 (1986)
Made in W. Germany

発売元: 株式会社 ANF コーポレイション 
ANF-2139HMA (1990年)

 

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JOSQUIN DESPREZ (v. 1440-1521?)
ジョスカン=デ=プレ(1440頃~1521) 

Missa Pange Lingua
ミサ「パンジェ・リングヮ」 
1. Introït 5:40
イントロイトゥス(入祭文)※ 
2. Kyrie 2:43
キリエ 
3. Gloria 4:54
グローリア 
4. Graduel 5:59
グラドゥアーレ(昇階唱)※ 
5. Alleluia 4:26
アレルヤ※ 
6. Credo 7:00
クレド 
7. Offertoire 3:07
オッフェルトリウム(奉献文)※ 
8. Sanctus 6:28
サンクトゥス 
9. O Salutaris 0:58
作者不詳: モテトゥス
オー・サルタリス(おお、救い主なる生け贄よ) 
10. Agnus 8:00
アニュス・デイ 
11. Hymne "Pange Lingua" 2:47
賛歌(イヌムス)“パンジェ・リングヮ(舌よ、歌え)”※ 

※キリストの聖体の祝日のミサのためのグレゴリオ聖歌より

51'34


ENSEMBLE CLÉMENT JANEQUIN
アンサンブル・クレマン・ジャヌカン 
Dominique Visse: contre-ténor
ドミニク・ヴィス(C-T) 
Michel Laplénie: tenor
ミシェル・ラプレニー(T) 
Philippe Cantor: baryton
フィリップ・カントール(Br) 
Antoine Sicot: basse
アントワーヌ・シコ(Bs) 

ENSEMBLE ORGANUM
アンサンブル・オルガヌム 
Dir. Marcel Pérès 
マルセル・ペレ指揮
Gérard Lesne: contre-ténor 
ジェラール・レーヌ(C-T) 
Josep Benet: tenor
ジョゼ・ベネ(T) 
Josep Cabré: baryton
ジョゼ・カブレ(Br) 
François Fauché: basse 
フランソワ・フォシェ(Bs) 

Enregistrement janvier 1986
録音: 1986. 1/デジタル 
Prise de son Jean-François Pontefract
Direction artistique: Michel Bernard
Traductions Escha, A. Lenz, D. Yeld
Illustration van Eyck, L'Agneau Mystique (détail)


◆本CD別冊解説(今谷和徳)より◆ 

ルネサンス時代の作曲家の中でも最高峰に位置するとされるジョスカン・デ・プレ Josquin des Préz (1440頃~1521)は、生涯の間に数多くの作品を書いたが、中でも、名高いモテトゥス〈アヴェ・マリア〉とともに、〈ミサ・パンジェ・リングヮ〉は、その最高傑作のひとつに数えられる作品である。そのため、これまでにも多くのグループがこの曲をレコーディングしてきたが、(中略)このクレマン・ジャヌカン・アンサンブルとアンサンブル・オルガヌムの共演によるCDは、他のものとは大きく異なった特徴を備えている。他のものは、通常のようにこのミサ曲を〈キリエ〉から〈アニュス・デイ〉まで通して演奏しているのだが、ここでは、このミサ曲が当時の典礼の中で演奏されたと想定し、ミサの固有文聖歌等を含めて、グレゴリオ聖歌を混じえて演奏しているのである。」
「このミサ曲は、現在、少なくとも16の写本楽譜と4つの印刷楽譜によって伝えられているが、そのうち少なくとも2つの写本には、〈尊き秘蹟のミサ Missa de Venerabili Sacramento〉の名称が与えられており、また、現在ブリュッセルの王立図書館にある〈オッコ写本〉と呼ばれる写本には、このミサ曲と並んで、聖なる秘蹟典礼のために書かれたポリフォニー楽曲が含まれていることを考えると、ミサ曲の題名のもととなった聖歌がキリストの聖体の祝日に歌われるものである点を含めて、この曲は、おそらくキリストの聖体の祝日で演奏することを目的として作曲されたのではないかと考えられる。 さて、〈ミサ・パンジェ・リングヮ〉は、今述べたように、キリストの聖体の祝日の晩課で歌われるグレゴリオ聖歌のイムヌス〈舌よ、歌え Pange lingua〉の旋律を、各章に定旋律として用いた4声のミサ曲である。ジョスカンの初期のミサ曲では、定旋律の声部を一声部に限定したものが多いが、中期から後期のものになると、定旋律を全声部に拡げ、各声部間で模倣を行なわせる形のものになってゆき、やがて、その模倣が徹底的になされるようになる。このミサ曲では、もとのイムヌスの旋律が全声部にパラフレイズされ、各声部はお互いに模倣し合いながら、からみ合って流れるように動いてゆく形で書かれている。全曲を通じて、定旋律はつねに現われたり消えたりしながら、様々な形に変形されて歌われてゆくが、ジョスカンおよび同時代のフランス・フランドル楽派の作曲家たちによって確立された通模倣様式の典型が、まさにここにあるといえよう。」
「なお、前述のように、このCDでは、このミサ曲の合間にキリストの聖体の祝日のミサで歌われる固有文聖歌(〈イントロイトゥス〉、〈グラドゥアーレ〉、〈アレルヤ〉、〈オッフェルトリウム〉の4曲)が挿入されているが、この部分の演奏を担当しているアンサンブル・オルガヌムの指揮者マルセル・ペレは、聖歌に多少の装飾を加えて演奏を行なっている。(中略)ここでは、さらに、前述の〈オッコ写本〉の中に収められている、聖体の祝日のために書かれた作曲者不詳のモテトゥス〈おお、救い主なるいけにえよ O salutaris Hostia〉と、ミサ曲の定旋律として使われたグレゴリオ聖歌のイムヌス〈舌よ、歌え〉が、それぞれ歌われている。」


◆本CDについて◆ 

輸入盤に「別冊解説書」付。
原盤ブックレット(全24頁)に Jean-Pierre Ouvrard による解説(仏原文と英・独訳)と、Marcel Pérès による「L'interprétation du chant grégorien à la fin du moyen-age」(仏原文と英・独訳)。
別冊解説書に今谷和徳による「解説」「演奏者について」および歌詞対訳。

★★★★★ 


Missa Pange Lingua

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