幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

ダグマー・アンドルトヴァ 『ゴールデン・ゲート』

ダグマー・アンドルトヴァ
『ゴールデン・ゲート』
Dagmar Andrtová
golden gate
the magician of guitar from Prague I


CD: Alida/creativeman disc.
CMDD-00002 (1995年) 
税抜価格¥2,800 
manufactured by creativeman disc.

 

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帯文: 

「うたの奔流」 


帯裏文: 

チェコスロヴァキア(現チェコ共和国)、ボヘミア地方に生まれる。独学でギターを覚え、1970年初期にプラハで認められ、フォーク・シンガーとして成功した後、10年余り公の場所から締め出され、掃除婦としてプラハの路を掃いていた。再びステージに返り咲いた1985年以降、国外のフェスティバルにも積極的に参加し、チェコが世界に誇るアーティストとなる。ライブ録音7曲を含む本作品はDagmar自身によって、特別に日本でのリリースにむけて選曲されたものである。」


1.モレナ MORENA morena 3:30 
~異教徒の祝祭~ POHANSKY SVATEK pagan's feast
2.風よ吹け DUJ. VĚTŘÍČKU blow, you wind 6:12 
3.嘆きの鳩 HOLOUBEK dove 4:30 
4.ゴールデン・ゲート ZLATÁ BRÁNA golden gate 7:58 
(Lyrics taken from a traditional children's counting song)
5.無垢の供物 TOBĚ for you 5:46 
6.万物の歌声 ZPĚV singing 3:30 
7.目覚めよ、太陽 EJ. SLUNÍČKO hey, sun 6:34 
8.尖塔の下で MAKOVICE poppy-head tower 3:22 
(Based on a traditional folk-song lyrics)
9.口琴 GRUMLE jew's harp 1:12 
(instrumental interlude)
10.小さな林檎 JABLÍČKO little apple 6:10 
11.ある少女の飛翔 SKOČILA PANNA Z VĚŽE a maiden jumped down from the tower 6:54 
12.ジプシー・エンド CIKÁNSKÁ KONCOVKA gypsy end-flute 1:49 
(instrumental end)


Dagmar Andrtová: vocal & guitar, kazoo, gypsy end-flute
Ivo Viktorin: synthesizer in no.2, 3
Vaclav Cesely: electric guitar in no.5

all music and lyrics by Dagmar Andrtova
(no.4, 8 are adapted folk lyrics)

recorded at PANTON and SUPRAPHON studios in Prague, 1986 and 1987 (no.1~no.5)
live recording at the international music festival in Skagen, DENMARK (no.6~no.12)

mastered at RUDOLFINUM studio in Prague, October, 1994
engineer: Jan Petrusek (RUDOLFINUM)
director: Radim Hadík, Dagmar Andrtová

front cover painting 『door』: Yamamoto Naoaki
drawing: Dagmar Andrtová
photo: Tamaki Haruo
art direction: Kev
english translation: Helena Honcoopová


◆本CD解説(Phew)より◆ 

「1990年渋谷のクラブクアトロで見たチェコのシンガーDagmar Andrtováのステージは、わたしに強い衝撃を与えた。聞き手の想像力を掻き立てるギターや、どこか深い深い所からほとばしり出る彼女の声にも、もちろん心が動かされたが、何よりも、ただひとり楽器を抱えてステージに直立する彼女の姿に感動を覚えた。しかし、それは決して心地よいものではなく、彼女の前に自分が丸裸で放り出されているような、彼女の存在によってわたし自身の不在が露にされてしまったような、不安で心許ない感じだった。
 自分にとってリアルなこと。
 わたしや目の前の彼女がたとえ幻影にすぎないとしても、今その幻の自分が覚えている感じそのものは幻でありえないのではないか、彼女の歌を聞きながらぼんやり思った。
 それから4年後の去年の夏、自分のレーベルを持つチャンスを与えられた時、真っ先にDagmarのことが頭に浮かんだ。すぐに彼女に連絡をつけてCDを日本で出したい旨を伝えその1ヵ月後にはもうわたしはプラハにいた。」

「Dagmarは、これまでに3枚のLPと2枚のSP盤を発表している。いずれも1987年から1990年のあいだにリリースされたもので現在本国でも入手不可能なものばかりである。手元にある資料によると、彼女は10代の頃、独学でギターを覚え75年には彼女の歌がフォークチャートのトップになったこともあるようだ。が、その後まもなく公の場所から逐われ、10年間掃除婦としてプラハの路を掃いていたらしい。このため、彼女のアーティストとしてのキャリアのスタートは遅く、しかも寡作である。Dagmarは、しかし、チェコ人であるより、いや、ひとりの女性Dagmarであるより以前に、既に音楽家なのだと思う。だから、自分に加えられた政治的な抑圧に屈するどころか、それを自らの内に取り込んで、まだ彼女の中に眠っている音楽を育んでいく糧とすることができたのではないかと、僭越ながら思う。
 1980年代半ば以降、公の舞台に復帰したDagmarは、積極的に国外の音楽フェスティバルに参加し、各地で高い評価を得た。今回、日本でのリリースの為に彼女自身が選曲したベスト盤「ゴールデン・ゲート」にも、7曲、1987年デンマークのスカーゲンでのライブの模様が収められている。」
「Dagmarの曲は暗い感じのものが多く、彼女の歌を聴いても、何処にも連れていってくれないし、わたしの心を解放してくれるわけでもない。それどころか、聴くほどに、自分の中にある暗い暗い空洞に飲み込まれてしまいそうな感じになる。しかし、以前と違って覚束ない感じはしない。それは、彼女の声が、彼女の弾き出す音が、わたしたちが抱え込んでいる空洞のなかには、多くのものが、まだ生まれきらないまま眠っていることを伝えているからではないだろうか。
 言葉がわからなくても、歌を、歌のことばが生まれてくる源を、感じとることはできる。そして、それこそ、Dagmarが唄う対象、また唄うという行為を通して伝えたいことにちがいないと、チェコ語が全くわからないわたしは、勝手に思い込んでいる。

 はじめてプラハでDagmarに会ってから9ヵ月後、紆余曲折を経てやっと「ゴールデン・ゲート」のリリースが実現した。そして、このリリースを機に、本気で自分でレーベルをやっていこう、自分の居場所は自分で創ろうと思った。(中略)大切なのは、自分にとって何がリアルであるか、ということだと思う。いつ誰が何に対してどう思うか、ということよりも、心の動きそのもの、また、心を動かす力を信じること。まずは、自分の感覚を頼りに、徹底的にひとりよがりになること、音楽シーン、またはシーンを支えている人達(?)、そんな実際見たことも会ったこともない化物を相手に悪戦苦闘するより、自分の手の届く範囲のなかで、できるだけ多くの人に「ゴールデン・ゲート」、これからのALIDAの作品を届けられるように手探りで1歩1歩進んで行きたいと思う。実際にリリースするという行為の内に答えは既にあるのだ。」


◆本CDについて◆ 

Alidaレーベル(アリダ・ヴァリAlida Valliからとったのかな?)からはダグマーの2作目、Blind Light(アントン・フィアー、ビル・ラズウェルとのセッション)の『The Absence of Time』、Phew『秘密のナイフ』、Phew山本精一を中心としたNOVO-TONOの『パノラマ・パラダイス』がリリースされています。

4頁ブックレットにクレジットとモノクロ写真図版(ギターを弾くダグマー)、裏表紙にダグマー自身によるイラスト。投込(十字折)に「Dagmar AndrtováならびにALIDAレーベルのこと」(Phew)、歌詞原文と英訳。

★★★★★ 


blow, you wind

youtu.be

little apple / a maiden jumped down from the tower

youtu.be

「A maiden jumped down from the tower
Let her lie her down there on the earth, folk
let the earth prepare the burial for her
let the flash of lightning beat her deep into the earth
so that nobody would talk about her

She jumped she flew
how far could she fly
if the earth did not drag her down
by the weight of her heart」

少女が塔から飛び降りた 
人々よ、彼女を大地に横たわらせておくがよい 
大地をして彼女を葬らしめよ 
雷光をして彼女を大地深く埋もれさせよ 
世間の口さがない連中の噂話の種にならぬように 

彼女は跳んだ 彼女は飛んだ 
どれほど遠くまで飛んで行けたことだろう
彼女の心の重さによって
大地が彼女を引きずり降ろさなかったら


Dagmar Andrtová Voňková - Poslední večeře (live @ Bolkoviny)

youtu.be

Dagmar Andrtová-Voňková a Vlasta Redl s kapelou
Prázdniny v Telči, 11.8.2012

youtu.be

 

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