『ガムラン・ドゥグン~ブラン・ダゴアン』 グントラ・パスンダン
Gamelan Degung
Bulan Dagoan
Gentra Pasundan
CD: ライス・レコード
GNR-909
定価1995円(税抜価格1900円)
帯文:
「インドネシアから届いた、極楽ヒーリング・ミュージック。」
帯裏文:
「インドネシアのジャワ島西部のスンダ地方は、豊かな音楽文化を育んだ地として知られ、独特の小編成のガムランから繰り出される、気高く、そして慎み深いサウンドは、沖縄音楽を連想させる音階とナチュラルな響きで、聴く人の心を癒す。」
1.愛がゆえに GARA-GARA CINTA (Because of Love) [Ujang Suryana]
2.宵待ち月 BULAN DAGOAN (The Moon in Wait) [Mang Koko]
3.貧困 SELON (Poor) [Ujang Suryana]
4.きらめき KUCAP-KICUP (Twinkling) [Ujang Suryana]
5.燕 KAPINIS (Swallow) [Ujang Suryana]
6.白いハンカチ SALAM BAY BODAS (White Handkerchief Greeting) [Ujang Suryana]
7.踊りましょう GOYANG-GOYANG (Shake Your Body) [Ujang Suryana]
8.アイス・キャンディー ES LILIN (Ice Candy) [Ibu Mursih]
GENTRA PASUNDAN
Leader & Suling: Ujang Suryana
Kendang: Mang Ocd
Bonang: Agus
Saron: Agus & Ujang Suryana
Panerus: Uen
Gong: Didin
Kempul: Didin
Jengglong: Uen
Produced by Hendarmin Susilo (PT Gema Nada Pertiwi)
Recorded at Jugara Studio, Bandung (September 22, 1992) by Donny & Ceppy A.R.
Mixed at Pusaka Studio, Semarang (October 3, 1992) by Sukito
Digital remastered at The Mastering Suite, SIngapore (April 11, 1997) by Chong & Katsunori Tanaka 田中勝則
Design & Art Direction: Osamu Yoshioka 吉岡修 (Polka Dot Studio)
Photograph: Morio Kihara 木原盛夫
Directed by Masahiko Ebihara 海老原政彦
◆本CD解説(田中勝則)より◆
「スンダ地方にガムラン・ドゥグンというスタイルが生まれたのはかなり古く、パジャジャラン王国(1333-1579)まで溯れるのだそうだ。その後のオランダ統治下の時代も含めて、ドゥグンはチアンジュールやスメダンあたりの宮廷において貴族たちに向けて演奏される音楽だった。そんな音楽伝統は貴族社会がなくなった独立後にも受け継がれ、いまでもテレビやラジオ、あるいは結婚式などの場で演奏される。もちろん独立後には現代感覚を折り込んだ新作も多く作られ、それはドゥグン・カウィ(新しいドゥグン)と呼ばれていると言う。」
「ドゥグン音階というのは、西洋音楽でいうところの2音と6音を抜いたようなペンタトニックだが、これは日本の沖縄音階と似ている。演歌などで使われる四七(よな)抜き音階は汎アジア(あるいはヨーロッパにも)的に多く見れるが、この2・6抜きは宮廷文化が栄えたジャワ島と沖縄くらいだ。」
「ウジャン・スルヤナは1939年8月15日、バンドゥン生まれ。生まれながらの全盲で、ほかに仕事も出来ないからという理由から音楽家になった。しかも当時演奏していたのはスンダの伝統音楽ではなく、クロンチョンやポップ・ソング。57年から65年までは主にギターを演奏して流しのようなことをしていたが、65年にはカチャピを手にして、伝統音楽の分野に入る。そしてスリンを吹きはじめたのはやっと71年になってからだと言うから、伝統音楽家としては珍しいタイプの人だ。
どうして65年に伝統音楽に乗り換えたのか、本人に理由をたずねたところ、50年代にはクロンチョンでお金を儲けられたが、(クロンチョンを保護したスカルノ大統領が失脚した)65年からは、むしろ伝統音楽の方が儲かるようになったのだそう。そこでギターと同じ弦楽器であるカチャピをまず覚え、そして(ソロ楽器であるため)よりお金が儲かるスリンに転向したと言う。」
「このアルバムはそんなウジャン率いるグントラ・パスンダンの1992年録音。」
「ウジャンさんの曲はどれもシンプル。なによりも分かりやすさを追及した感じだ。」
「なおウジャン作品以外の2曲のうち、タイトル曲の「宵待ち月」を書いたマン・ココ(本名ココ・コスワラ、1915-1985)は、インドネシア独立後に新しいスンダ音楽の基礎を築いた名作曲家。(中略)この曲はもともと歌曲として発表されたものだと思う。
そしてラストの「アイス・キャンディー」は(中略)スンダ語歌謡の最高の名曲。(中略)この曲のみ音階がマドゥンダに変わっている。」
◆本CDについて◆
1992年にインドネシアのKeratonレーベルからリリースされたCDを1997年にリマスターした日本盤(GNR-004)の再発です。
ブックレット(全12頁)に解説「インドネシアから届いた極楽ヒーリング・ミュージック」(田中勝則)、「Enjoy cool breeze of Asia」(Katasunori Tanaka)、写真図版(モノクロ)5点、イラスト1点。
★★★★☆
Bulan Dagoan
Es Lilin
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