幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『轟鳴と炸裂のガムラン/バリ島テジャクラ村のゴン・クビャール』

『轟鳴と炸裂のガムラン/バリ島テジャクラ村のゴン・クビャール』
GAMELAN GONG KEBYAR
The Ensemble of Tejakula Village
JVCワールド・サウンズ
バリ/ガムラン・ゴン・クビャール


CD: ビクター エンタテインメント株式会社
VICG-60357 (2000年) (旧商品: VICG-5352)
定価1,995円(税抜価格1,900円)

 

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1.タブ・グギラカン Tabuh Gegilakan 15:34
2.タブ・ピサン Tabuh Pisan 20:59
3.タルナ・ジャヤ Tarna Jaya 16:37
4.エピローグ Epilogue 0:39

演奏: テジャクラ村のガムラン・グループ
1993年1月 インドネシア共和国バリ州ブレレン県テジャクラ村にて現地録音


企画・構成: 山城祥二
録音・解説・写真: 大橋力
制作ディレクター: 藤本草
マスタリング・エンジニア: 今泉徳人
ジャケット・デザイン: 田中一光
ジャケット編集: 由井幸男


帯文:

「響きわたる迫力とスケールで〝炸裂するゴング〟の異名をとる
ガムラン・ゴン・クビャール。その発信源、テジャクラ村における
技巧とスピード感にあふれた超弩級の演奏を収録。」


◆本CD解説(大橋力)より◆

「このディスクは、ゴン・クビャールが発祥したバリ島北部のブレレン(シンガラジャ)地方随一の実力を誇る、テジャクラ村のみなさんの演奏を収録したものです。本家本元だけがもつ音量の凄まじさや、スケールの大きい雄大絢爛たる演奏は、まさに想像を絶するものです。
 録音をおこなったテジャクラ村の集会所は、村にはめずらしい大型のコロセニアム形式で、たいへんよく響く音空間をもっていました。(中略)テジャクラ村のゴン・クビャールは、すでにこのシリーズからリリースされているプリアタン村の(中略) “ティルタ・サリ” のゴン・クビャールとくらべるとより楽器編成が大きく、音色がハードな系統に属します。」
「ゴン・クビャールは、ゴン・グデとよばれる儀式用の大編成のガムランをもとにして、1900年代の初頭にバリ島北部で開発された新しい演奏形態です。高音の鍵盤楽器群(ガンサ、カンティラン)を充実させ、中音域や低音域が主体であったゴン・グデにはなやかな音色がくわわりました。」
「テジャクラ村は、小さいけれども古い歴史をもつ村です。たとえば、いまではバリ島でも演じられることがすくなくなってきた「ワヤン・ウォン」とよばれる古典舞踊劇が完璧なかたちで保存され、伝承されてきています。」
「このような基盤を土壌に、テジャクラ村のゴン・クビャールの演奏グループは1960年に設立されました。(中略)テジャクラ村出身のSTSD(国立芸術大学)講師パンデ・グデ・ムスティカ氏とパンデ・マデ・スクルタ氏がその指導にあたり、1993年には来日公演もはたすなど、精力的にその活動を続けています。
 バリ島の数多いゴン・クビャールのなかでも、テジャクラ村のゴン・クビャールを決定的なものにしているのは、完全フルセットでの演奏を固持しているからでしょう。楽器の数や編成は、村や地方ごとにそれぞれ工夫や特色がみられます。テジャクラ村の場合、他のグループでは省略されることの多いチェンチェン・コピャックを4人の奏者が演奏することにより、ダイナミックレンジの幅を驚異的にひろげています。そして、リズムセクションとしての機能を極限まで追及したレヨンの奏法とが相乗効果をうんでいます。」

「タブ・グギラカン
「ゴン・グデの荘重な雰囲気を彷彿とさせるゴングやクンダンなどのひびき、ガンサやカンティランなどの鍵盤楽器の素早いパッセージ、レヨンがつむぎだす目もくらむようなリズムの網目模様と一糸乱れぬ超絶のコンビネーション。さらにチェンチェン・コピャックのはなつ大音量がくわわれば、脳内はまさに音の大曼陀羅図のような状態となり、トランスの境地にいざなわれていきます。」
「タブ・ピサン」
ガムラン・スマルプグリガンなどでも演奏されることの多い、古典的な曲です。全体的にハードでスピーディーな演奏のなかに、高音部のかなでるあいらしいメロディーやトロンポンの優雅なひびきなどが効果的にいかされ、テジャクラ村ならではのみごとな演奏にしあがっている1曲です。」
「タルナ・ジャヤ」
「タルナは男性の若者を、ジャヤは勝利者を意味します。(中略)1950年代に完成された伝統的な作品でありながら、きわめてあたらしいシャープな感覚をそなえ、音楽・舞踊ともに、あふれでる現代性をあらわしています。」
「エピローグ」
「バリ島ではガムラン演奏や舞踊の前後に、短い器楽曲が演奏されます。この曲は、演奏会の終了をつげるエピローグの曲としてこのグループが演奏するものです。」


◆本CDについて&感想◆

ブックレットに日本語および英語解説、写真図版(モノクロ)4点。

録音環境によるのか、音はややくぐもった感じです。何があろうと木魚のように一定のビートを叩き続けるカジャールが印象的でした。スリン(笛)の含有量は少なめですが、①の雪崩れるようなクンダン(太鼓)と金属楽器の音塊は圧巻です。「エピローグ」の後に拍手が入っています。

★★★★☆


Tabuh Gegilakan

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