幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『荘厳と幽幻のガムラン/バリ島バングリ村〝スカール・サンダツ〟の古典銘器ゴン・グデ』

『荘厳と幽幻のガムラン/バリ島バングリ村〝スカール・サンダツ〟の古典銘器ゴン・グデ』
GAMELAN GONG GEDE
"Sekar Sandat" Ensemble of Bangli Village
JVCワールド・サウンズ
バリ/ガムラン・ゴン・グデ


CD: ビクター エンタテインメント株式会社
VICG-60359 (2000年) (旧商品: VICG-5216)
定価1,995円(税抜価格1,900円)

 

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1.タブ・ウンパッ(パガワ) Tabuh Empat: Pagawa 25:13
2.タブ・ウンパッ(プゲチェ) Tabuh Empat: Pengecet 17:01

3.バリス・グデ Baris Gede 3:42

演奏: スカール・サンダッ
1991年1月 インドネシア共和国バリ州バングリ村にて収録


企画・構成: 山城祥二
録音・解説・写真: 大橋力
制作ディレクター: 藤本草
録音エンジニア: 伊藤俊之
ジャケット・デザイン: 田中一光
ジャケット編集: 由井幸男


帯文: 

「巨大なゴングが創出する豊麗な響き!
古典銘器ゴン・グデのみが持つ甘美なサウンドの真髄を収録。」


◆本CD解説(大橋力)より◆

「このディスクでは、バリ島のガムランの古典的形式で、すべてのガムランの原点ともいえる、ゴン・グデの荘厳で神秘的な響きを、心ゆくまで味わっていただきます。」
「ゴン・グデの編成は、(中略)その演奏に最低でも40人は必要で、ゴン・クビャールの20数人に比べると2倍近い規模といえます。そして垂直ゴングと中低音の鍵盤楽器の数が圧倒的に多いことに驚かされます。これらがゴン・グデならではの重厚な響きを作っています。主旋律は音階をもった小さな水平ゴングを並べたトロンポンが奏でます。また高音の装飾性の強い楽器群が、ガンサ・ガントゥン、レヨンで構成され、更にチェンチェンと呼ばれる8組のシンバルが、他の形式には見られないゴン・グデだけの装飾性のリズムを作ります。」
「ゴン・グデの大音量は、祭礼の日に村中を包み込み、荘重に繰り広げられるその音楽は、いつ果てるとも知れない時間の流れを思わせます。」
「演奏しているのは、スカール・サンダッ(Sekar Sandat)という、村落共同体に根ざしたグループです。(中略)こうした、共同体を基礎にした芸能グループは、バリ島の本来のスタイルですが、観光化が急速に進んで伝統的スタイルが様々な面で変容しているバリ島で、今では極めて貴重な存在となりました。(中略)スカール・サンダッの演奏は超絶的な技巧や洗練を極めた究極的表現こそないのですが、素朴で敬虔な人々の精神世界がにじみでてくるような味わいをもっています。」
「今回の門外不出のゴン・グデの録音は、"スカール・サンダッ" の皆さんのたいへんなご好意によって実現したものです。村の人々にとってはこよなく重要な祭りの儀礼の中で、巨大なシステム、ゴン・グデを収録するための理想的条件を提供していただきました。」

「タブ・ウンパッ」
「レヨンとチェンチェンがコテカン(入れ子奏法)で刻む16ビートにのって、多くの鍵盤楽器がほとんどユニゾンでゆったりとしたメロディーを奏で、そこにトロンポンが装飾的メロディをのせていくというこの曲のスタイルは、ゴン・グデの一つの典型的な演奏スタイルです。」
「そして、いつ終るともわからない不思議な旋律を延々と聴いていくうちに、いつしかトランスの境地にいざなわれていくことを、今回私は強い感動と共に体験することができました。」
「バリス・グデ」
「ゴン・グデを紹介するうえで欠かせない、行列用のブレ・ガンジュールといわれるサブ・システムによる演奏です。」
「バリ島の村々の祭りでは必ず、ガムランの演奏と共に舞踊が神々に捧げられます。バリス・グデはその代表的な奉納舞踊の一つです。(中略)男性舞踊の代表としてよく知られている "バリス(戦士の踊り)" は、このバリス・グデを原点として練りあげられたものです。(中略)ときおり聞こえる「ウーッ」「イーッ」といった叫び声は、彼ら踊り手たちが戦いのシーンで発する気合いの入った掛け声です。」


◆本CDについて&感想◆

ブックレットに日本語および英語解説、写真図版(モノクロ)5点、「図」1点、「表」1点、「JVCワールド・サウンズ・シリーズ(全100タイトル)」CDリスト。

ゴン・グデの日本盤CDとしては、他にキングレコードから「バトゥール寺院」の祭礼での録音がリリースされています。

現場の話し声等のノイズを背景に、トロンポンのソロから始まって、ゴング、クンダン(太鼓)が入って、一定のゆったりとしたリズムを保ちつつ、じわじわと長時間の演奏が繰り広げられていきます。まるでクラウトロック、というか「CAN」みたいでかっこいいです。否、「CAN」がゴン・グデみたいでかっこいいというべきでありましょう。

★★★★★


Tabuh Empat-Pagawa

youtu.be


Tabuh Empat-Pengecet

youtu.be

 

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